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12月7日(火) 総選挙の結果と野党共闘の課題 [論攷]

〔以下の論攷は、安保破棄中央実行委員会の機関紙『安保廃棄』第487号、2021年12月号、に掲載されたものです。〕

 総選挙は大変残念な結果となりました。自民党は15議席減となったものの261議席を獲得し、単独で多数を得たばかりか、常任委員会に委員長を出しても多数を維持できる絶対安定多数を獲得しました。公明党は3議席増でしたから、与党は12議席減の293議席となって政権を維持しています。
 これに対して、政権交代を迫った共闘勢力は、立憲が14議席減の96議席、共産が2議席減の10議席、れいわが2議席増の3議席、社民は増減なしで1議席となりました。注目されるのは、立憲が小選挙区で11議席を増やしているのに比例代表では23議席も減らしたことで、共闘の効果と立憲自体の「自力」の無さが端的に示されています。
 このどちらにも加わらなかった「第三極」の維新は30議席増の41議席、国民民主は3増で11議席となっています。この結果、与党に維新を加えた改憲勢力は334議席で発議に必要な3分の2の310議席を大きく超え、改憲の危機が高まりました。
 どうして、このような結果になったのでしょうか。

 結果を生み出した背景と理由

 その第1の理由は、自民党による「奇襲攻撃」が成功したことにあります。菅義偉前首相の不出馬表明による「敵失」の消滅、総裁選によるメディアジャックと野田聖子立候補によるイメージアップ、宏池会出身の岸田文雄新首相の選出などによって好印象を強め、自民党はその効果があるうちに解散・総選挙を仕掛けました。コロナ感染の収束とも相まって、この自民党の作戦が功を奏したと思われます。
 第2には、政権選択選挙固有の困難性が存在したということです。参院選とは異なって衆院選で多数を失えば直ちに政権を去らなければなりません。「一票による革命」ともいえる大転換によって権力を失うことを恐れた支配層は警戒感を高めて反撃に転じ、野党共闘の側が一時的に押し返されたというのが今の局面になります。
 それだけ野党共闘が効果的な戦術だったということです。甘利明幹事長や石原伸晃元幹事長など自民党の重鎮が落選し、統一候補の当選が62、接戦区は54など、次につながる成果があったからこそ、全力を挙げて共闘を破壊しようとしているのです。
 第3に、国民の側からすれば、直ちに政権が変わることへの不安やためらいがあったように見えます。一方では、アベスガ政治やコロナ失政に対する怒りや失望は大きく、自民に「お灸」を据えたいと思っていても、他方で、コロナ禍によって政治と生活との関りを痛感し、野党連合政権に任せて大丈夫かという懸念もありました。
 民主党政権時代の忌まわしいイメージを払しょくし、不安よりも期待感を抱いてもらうという点で十分ではなかったということです。その結果、国民は政権交代なしで与党に「ノー」を突きつけるために「第三極」を選んだように見えます。政権批判票が「途中下車」して維新や国民民主にとどまったということになります。

 野党共闘の課題

 来年夏には参院選があります。それに向けて捲土重来(けんどちょうらい)を期すためには何が必要なのでしょうか。今後の闘いにおいて留意すべき点や野党共闘の課題はどこにあるのでしょうか。
 第1に、野党共闘の成果を確かめ、その維持・強化を図ることです。与党の奇襲に対して、共闘側は9月8日に政策合意を行い、30日に立共党首会談で部分的な閣外協力についても合意しました。これ自体は重要な前進でしたが、遅すぎました。衆院議員の任期は決まっていましたから、もっと早く政権交代によって実現可能な「新しい政治」のビジョンを示し、国民の期待感を高める必要があったのではないでしょうか。
 第2に、共闘に取り組む各政党の本気度を目に見える形で示すことが必要です。問題は共闘したことにあったのではなく、それが十分に機能しなかったところにありました。特に、反共主義の連合が横やりを入れ、それに遠慮した立憲の枝野代表は共産との同席を避けていました。このような「ガラスの共闘」ではなく「鋼鉄の共闘」へと鍛え直すことが必要です。
 第3に、今後も逆流は強まることが予想されます。すでに、連合と国民民主による立憲への揺さぶりや維新による攻撃、共産排除など共闘破壊の動きが強まっています。反共攻撃など根拠のない誹謗や中傷に的確に反論し、統一の歴史と連合政権の政策についてのきちんとした学習と情報発信が重要です。無きに等しい政治教育や与党に忖度したメデイアによる歪んだ報道と偏見も正さなければなりません。

 特別の役割への期待

 国民の誤解を晴らすという点では、安保破棄中央実行委員会には特別の役割が期待されます。安保・自衛隊について立憲と共産の間に大きな隔たりがあるかのように報じられているからです。実際には、安保破棄は軍事同盟をなくして日米間の平和友好関係を強め、軍事的従属状態から対等・平等な関係に変えることで、それは将来の目標であって直ちに実行されるわけではありません。急迫不正の侵害に対しては自衛隊を活用して反撃するということですから、当面の政策では立憲と共産の間にそれほど大きな違いはありません。
 だからといって、安保の現状を容認するのではなく、安保破棄の国民的合意を目指して安保そのものを正面から取り上げて活動しなければなりません。同時に、憲法に基づいた厳格な運用に努め、安保破棄を可能にするような環境整備に努めていくことが、連合政権の外交・安保政策の基本になります。具体的には、戦争法の違憲部分の廃止、日米地位協定の改定、米製兵器の爆買いの中止、防衛費の削減、核兵器禁止条約への参加、北朝鮮との国交回復と拉致問題の解決、韓国との関係改善を始めとした周辺諸国との緊張緩和と友好促進などです。
 安保破棄を要求する団体がこのような展望を示し情報発信を行ってこそ、大きな説得力が生まれるのではないでしょうか。それは政権交代への国民の不安を払拭し、新しい「希望の政治」への期待を高めるにちがいありません。

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12月5日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』12月5日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「また札幌なんてとんでもない 「五輪は厄災」が国民の共通認識」

 もし、国民が五輪招致を喜ぶと考えているなら大間違いだ。「2020東京五輪」を目の当たりにし、いまや「五輪は厄災」が全国民の共通認識になっているに違いない。

 なにしろ「東京五輪」は、なにからなにまでデタラメだった。日本中がコロナに苦しんでいたのに、IOC幹部は「アルマゲドンでもない限り大会は実施だ」と発言。五輪を開催する場合、IOCと“不平等条約”を結ばされることも分かった。大会が中止になってもIOCは財政的な責任を負わず、開催都市が中止を切り出したらIOCから巨額の賠償を請求される。式典の簡素化を提案しても、放映権料を支払う米テレビ局への配慮から一蹴された。IOCにがんじがらめにされ、日本の裁量はほとんどなかった。

 その揚げ句、残ったのは巨額の赤字なのだからバカみたいだ。なのに、再び“札幌で五輪”とは狂気の沙汰である。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。

 「日本人が抱いていた、夢、希望、経済成長といった五輪神話は、完全に崩壊したと思います。IOCの傲慢さや、商業主義も思い知らされた。バッハ会長に嫌悪感を持った人も多かったはずです。そもそも近年は、開催費負担があまりにも高額なため、立候補を辞退する都市が相次いでいるのに、どうして札幌市が手を挙げるのか疑問だらけです。火中の栗を拾うつもりなのでしょうか」

 だいたい、ここまでオリンピックに執着するのは、先進国では日本くらいのものだ。いまや欧米先進国は、さして五輪を重視していない。むしろ、経費負担や環境破壊を懸念する声が強く、五輪人気はどんどん落ちているのが実態である。「五輪は毎回ギリシャで開けばいい」という声まで上がっているほどだ。

 神戸大の小笠原博毅教授によると、体操や水泳を学ぶ子どもたちに「将来は五輪代表選手になりたい」などと言わせる国は、世界で日本くらいのものだという。「週刊現代」(5月15日号)で指摘している。

 「五輪開催は発展途上国には意味があるでしょう。国威を発揚させ、インフラを整備できる。先進国の仲間入りを果たした、という自信にもつながります。1964年の東京五輪は、まさにそうでした。でも、いま日本は人口が減少し、経済力も低下している。ピークを過ぎた国にとって、莫大な経費がかかるオリンピックは負担になるだけです。政治家や業者が五輪開催にこだわるのは、もはやオリンピック以外、夢も描けず、景気浮揚の起爆剤も見つからない裏返しなのではないか」(五十嵐仁氏=前出)

 「東京」に続いて、「札幌」でもとは、時代錯誤もいいところである。


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12月3日(金) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』12月3日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「追及型野党の今後は? ワルを野放しにするのか、立憲民主」

■「反対ばかり」のレッテルは与党の策略

 「立憲が『反対ばかり』というレッテル貼りは、野党の牙を抜くための与党側の策略です。それに乗っかるメディアの問題もある。だからといって立憲が提案型をアピールすれば国民の支持を集められるわけではないでしょう。それに、すでに日本維新の会も、国民民主党も自分たちは政策提言型の政党だと主張しています。自民・公明の与党に加えて維新、国民も政策提言する補完勢力になり、そこに立憲までスリ寄ったら国会は完全に緊張感が失われてしまう。政権の監視は野党の重要な役割だし、大メディアがその機能を果たしていない今はなおさら、野党の追及が大事なのです。そもそも、政策提言をして与党に採用されたところで、それは野党の手柄にはなりません。教育無償化やコロナ禍での現金一律給付など、野党の提言を取り入れたり抱きついたりしてきたケースは枚挙にいとまがありませんが、それらはすべて与党の実績になるだけです」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)

 野党が憲法53条に基づく臨時国会召集の要求をしても、与党側は都合が悪いと国会も開かない。開いたところで、政府はマトモに答弁しない。安倍元首相なんて、「桜を見る会」前夜祭の問題だけで118回も虚偽答弁していたことが衆院事務局に認定されている。国会のお墨付きを得た嘘つきなのだ。

 第2次安倍政権以降、国会は軽視され、形骸化してしまった。こういう現状を打破しないかぎり、国会論戦はセレモニーでしかなく、政策提言なんて野党の自己満足に終わる。相手の土俵に乗り、野党第1党がわざわざ負け戦をしにいってどうするのか。

■追及型からの転換より追及力を高めることが必要

 「立憲が選択すべき道は、提案型への路線変更ではなく、対決型で追及力を高めることです。共産党のような調査能力もなく、週刊誌報道に頼ったり、揚げ足取りのような批判ばかりしていたら、国民から愛想を尽かされても仕方がない。野党ヒアリングだって、官僚を吊るし上げているだけに見えることが問題であって、国会で政府がきちんと答弁しない以上、役所の担当者に直接ただすやり方があってもいい。そこで疑惑解明につながる重要な証言が出てきたこともあるのです。ただ難癖をつけているだけと見られないよう、調査能力を磨いて、理詰めで政権を追い詰めることが野党の矜持です。それを忘れたら、自公政権のデタラメを黙認する存在になってしまいます」(五十嵐仁氏=前出)

 立憲は、真摯な追及型だった辻元清美氏や川内博史氏が落選してしまったことが、つくづく惜しい。本会議の代表質問や、予算委の貴重な質問時間を自己満足の政策提言に充てているようでは、与党を喜ばせるだけだ。

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12月1日(水) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』11月30日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「分配も口だけ 岸田首相、もう露呈した「空っぽ」の危うさ」

新しい資本主義の内実は大企業優先の古い資本主義

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。

 「本来、補正予算は本予算とは別に、緊急の手当てが必要な時に組むものです。今回は、新型コロナウイルス感染拡大防止と、コロナで傷んだ経済を立て直すための経済対策が目的のはず。米国から防衛装備品を買うことが経済対策になるのでしょうか。21年度当初予算の5兆3422億円と合わせて年度を通した防衛費が初めて6兆円を超える。補正予算に紛れ込ませてゴマカす手口で、衆院選公約で掲げた『防衛費のGDP比2%以上』に近づけようというのです。岸田首相はハト派のイメージを利用して、軍国化を加速させようとしているように見える。理念がないから、米国の言いなりで戦争にも参加しかねない。ソフトなイメージにだまされていたら大変なことになります」

 補正予算の総額は35兆9895億円で、このうち経済対策に充てる分は31兆5627億円だが、規模を膨らませただけで、効果は期待薄。あちこちから言われるままにカネを無意味に使って「やってるフリ」だけなのだ。

 補正予算に計上された「分配戦略」を見ても、「看護、介護、保育、幼児教育などの現場で働く方々の収入の引き上げ」は2600億円。その一方で、マイナンバーカード保有者に最大2万円分のポイントを付与するマイナポイント事業には1兆8134億円もの予算を計上している。分配より、場当たりのバラマキ重視ということだ。

 「岸田首相は『新しい資本主義』などと言っていますが、その中身は大企業優遇の古い資本主義そのものです。非正規社員の待遇などの格差問題を放置したまま、大企業に形ばかりの賃上げを要請するのは欺瞞と言うほかない。政界では“真面目でいい人”というのが岸田首相の人物評ですが、それは操りやすいということでもある。何でも言うことを“ハイ、ハイ”と聞き、財界の要望に押されて、むしろ新自由主義が加速していく危うさを感じます」(五十嵐仁氏=前出)



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11月25日(木) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』11月25日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「自社、自公政権の自民党が「立憲共産党」を揶揄する笑止」

 そもそも連立合意する以前の1990年代、自公は与野党に分かれて罵り合っていた。自民は「政教一致批判」で創価学会の池田大作名誉会長の証人喚問まで要求、公明にとって自民は「仏敵」だったのだ。

 もっと言えば、自民は55年体制で長年対立してきた社会党(現・社民党)とすら手を組んだ。93年に誕生した8党派連立の非自民政権から社会党と新党さきがけが離脱すると、自民は水面下で、当時の村山富市・社会党委員長を首班に担ぐことを画策、94年に自社さ連立政権を樹立した。

 社会党は憲法9条を守る「護憲」が金看板。日米安保は反対が党是、「自衛隊は違憲」と主張してきた政党だ。しかし、連立発足と同時に社会党はそれらをかなぐり捨て、一方で自民は、先の大戦を「侵略戦争」とすることを受け入れたのだった。

 憲法、安保、自衛隊、歴史認識まで全く違うのに、選挙で有権者の審判を得ることなく成立させた政権こそ、野合と言わずして何と言うのか。

■「恩讐を乗り越えて」というゴマカシ

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)がこう話す。

 「自社さ政権は当面の政策をどうするのかを事前に明らかにしないまま発足したため、村山首相が国会で、日米安保や自衛隊などに関してそれまでとは百八十度異なる答弁をすると大混乱になりました。それに比べれば、野党共闘は市民連合を介して6項目の政策合意をしていますし、共産党は当面は安保の廃棄を求めず、自衛隊の解散も求めないことを明確にしています。自社さより、よほどきちんと準備できていたじゃないですか。政党が違うのですから理念や政策が全部一致することはない。立憲と共産の共闘は、合意できるところと、違うところをもっとハッキリさせ、もっと説明すべきだったというのが反省点です」

 村山首班による自社さ連立を水面下で主導した亀井静香元衆院議員は後に、「自社さ政権は、最大野党だった自民党が、連立を離脱した社会党と組むウルトラCを考えた結果だった。自民党が政権復帰するために使える手をなんでも使うという執念から生まれたのだ」と明かしている。

 政策の一致など眼中になく、すべては、ただただ与党に戻りたいだけ。そんな自民党が「立憲共産党」と揶揄するのは笑止千万だ。自社さ政権や自公政権の成り立ちをメディアも忘れたとは言わせない。

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11月24日(水) 総選挙の結果をどうみるか(その2) [論攷]

〔以下の論攷は、『学習の友』No.820 、2021年12月号、に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます。〕

 漁夫の利を得た「第三極」

 今回の総選挙で注目を浴びたのは、与党でなく野党共闘にも加わらない「第三極」政党の健闘でした。とりわけ維新は11議席から30増の41議席へと4倍近くも躍進し、国民民主も8議席から3増で11議席へと前進しました。この両党は独自性をアピールすることで、「漁夫の利」を得たのです。
 与党が支持できなくても、直ちに政権交代をもとめない有権者がかなり存在していました。これまでとはちがった政治を望み、政治を変えたいと願っていても、政権が代わることには不安を抱いたのではないでしょうか。このような人びとの「受け皿」になったのが「第三極」だったと思われます。
 維新は「遅れてきた右派ポピュリズム」で、岸田政権に飽き足らない極右や「改革」の旗印に幻想を抱く反自民層をひきよせたようにみえます。コロナ禍によって全国的に知名度をあげた維新副代表の吉村洋文大阪府知事の「人気」や地元大阪での地方議員や首長を総動員した組織力の成果でもあります。
 維新はこれまで自公政権の補完勢力でしたが、総選挙では意識的に対決姿勢を示して政権批判の「受け皿」をめざしました。これが功を奏しましたが、基本的には新自由主義で右からの政権批判勢力にすぎません。今回の選挙でよせられた期待にどれだけ応えられるかが、これから問われることになるでしょう。

 次の決戦は来年の参院選

 今回の結果、決戦は来年7月の参院選と、その後の総選挙へと先送りされました。その決戦にむけて、野党共闘を本気の共闘へと質的に高めていけるかどうかが問われています。とりわけ、立憲にとっては連合の横槍を跳ね除けて本腰を入れた共闘にとりくめるかどうかが試されることになるでしょう。
 野党共闘は紆余曲折が避けられません。その発展によって政権交代が現実の課題となり、支配層は大きな危機感を抱いて必死に巻き返したというのが、現在の局面です。初めてのチャレンジで厳しい試練にさらされましたが、本格的な分断工作はこれからで臥薪嘗胆が求められます。共闘をまもり強化し、何が足りなかったのか、課題を明らかにして参院選での捲土重来を期さなければなりません。

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11月23日(火) 総選挙の結果をどうみるか(その1) [論攷]

〔以下の論攷は、『学習の友』No.820 、2021年12月号、に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます。〕

 はじめに

 日本の命運を決するとして注目されていた総選挙の結果がでました。コロナ禍のもとでのはじめての国政選挙(補選などを除く)であり、市民と野党の共闘が与党とがっぷり四つに組んで政権交代を迫った初の選挙でもあります。この総選挙での各政党の議席は図(省略)のようになっています。
 自民党は議席を減らしたものの公明党は増加し、政権与党は過半数を維持しました。「めでたさも最小限の自民減」というところです。野党では立憲民主党と共産党が後退し、日本維新の会が躍進しました。その背景と要因は、どのようなものだったのでしょうか。

 自民党は最小限の敗北

 自民党は改選前の276議席より15減らして261議席になっていますから、敗北したことは明らかです。しかし、当初予想されていたほどではなく、最小限の敗北でふみとどまりました。単独過半数の233議席を超えただけでなく、常任委員会に委員長をだしても多数を占められる「絶対安定多数」の261議席に達しています。
 公明党は29議席から3増の32議席になりました。自民と公明の与党は306から293へと12議席減になっています。しかし、これに維新を加えた改憲勢力は334議席となって3分の1の310を大きく超えたことに注意しなければなりません。
 小選挙区では幹部の落選が相次ぎ、甘利明幹事長が敗北して辞意を表明し、石原伸晃元幹事長も敗北しました。野田毅元自治相、若宮健嗣万博担当相、平井卓也前デジタル相、桜田義孝元五輪担当相、塩谷立元文部科学相、金田勝年元法相、原田義昭元環境相、山本幸三元地方創生相なども負けるなど、その打撃は数字以上のものがありました。
 自民党が議席を減らしたのは、野党の分裂によるアシストがなく、安倍・菅政治の民主主義・立憲主義破壊やコロナ失政への強い批判があったためです。これまでの自公政権のあり方にたいして、有権者は明らかに「ノー」を突きつけました。
 しかし、それがこの程度にとどまったのは、自民党の「作戦勝ち」だったように思われます。菅前首相のままで総選挙をたたかっていれば、もっと多く議席を減らしていたはずです。総裁選でのメデイアジャックによって自民党への好印象と支持が高まり、それが消えないうちに、新内閣のボロが出ないうちに、コロナの感染拡大が収まっているうちに、総選挙での決着を急ぐという奇襲攻撃が功を奏したことになります。

 共闘に新たな試練

 これにたいして、野党の側は「選挙共闘」という態勢を整えて迎え撃ちましたが、大きな試練にさらされました。立憲民主が110議席から14減で96議席、共産が12議席から2減で10議席、れいわは1から3議席で2増、社民は1議席で増減なしになったからです。
 ただし、共闘が一定の成果を生んだことは明らかです。289小選挙区中217で国民をふくめた一本化が実現しました。そうでなければ、小選挙区で甘利氏や石原氏などを落とすことは不可能だったでしょう。野党共闘は62選挙区で勝利し、惜敗率80%以上が54、1万票以内での敗北が31もありました。接戦にもち込んで次回への可能性を残した点でも、共闘には大きな意義がありました。
 それが十分な成果を生まなかったのは、立憲民主と連合(日本労働組合総連合会)の対応に問題があったからです。連合が共闘の足を引っ張り、それに遠慮した立憲民主が共闘に及び腰だという姿がみえたために、政権交代の「受け皿」として有権者に十分に認知されなかったのではないでしょうか。
 連合傘下のトヨタ労組が自民党に配慮して愛知11区で候補を取り下げたり、連合東京が12区で公明支援を打ち出したりするなど、疑問だらけの対応をくり返しました。このような連合に遠慮して、10月23日夜の新宿での野党共闘を呼びかける街頭演説の後、枝野氏が志位氏と2人で並ぶことを避けるという一幕もありました。
 これではブームが起きるわけがありません。このような中途半端なものではなく、本気の共闘こそがもとめられていたのではないでしょうか。共闘に問題があったのではなく、十分に機能できなかった点にこそ問題がありました。有権者に不安を抱かせず、沸き立つような期待感を高めることができるかどうかが、これからの大きな課題だと思います。

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11月21日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』11月21日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「立憲はまだ甘い「小川淳也が出れば盛り上がる」とは早計」

 最大の問題は、ガタガタになった立憲を立て直せるのか、どん底まで落ち込んだ党勢を回復できるのか、ということだ。野党第1党なのに、立憲の支持率は1桁に低迷し、政党支持率は維新に負けたままだ。誰が新代表になっても、相当な覚悟を持って再生を図らないと、有権者の支持は戻らないのではないか。

 なのに、この状況でも、立憲の議員は危機感が薄いのだから、どうしようもない。なにしろ、ドキュメンタリー映画「なぜ君は総理大臣になれないのか」で取り上げられ、知名度が上がった小川が出馬したくらいで、「これで代表選は注目される」という期待の声が上がっているのだから、考えが甘すぎる。

 たしかに、自民党は総裁選をやったことで支持率を急上昇させたが、同じように立憲の支持率が回復すると思ったら大間違いである。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)がこう言う。

 「いまだに立憲民主党内には、野党第1党の“甘え”と“楽観”が蔓延しているように見えます。もし、野党第2党に転落していたら、危機感も違ったのではないか。危機感があったら、西村智奈美と小川淳也の2人が、20人の推薦人を集めるのに苦労することもなかったはずです。自民党だって総裁選に2人の女性候補を立てた。なぜ、最初から“代表選には女性にも出てもらいたい”“若い人も手をあげて欲しい”という発想にならなかったのか」

 しかも、野党は完全に分断されている。維新と国民民主は立憲と距離を置き、いつ自民党とタッグを組んでもおかしくない状況だ。そのうえ、立憲のなかで戦闘力のあった辻元清美や川内博史といった論客は、次々に落選してしまった。この状況で立憲は、本当に自民党と対峙できるのか。

 「安倍首相や菅首相は、立憲からしたら戦いやすい相手だった。でも、岸田首相は戦いづらいと思う。御用聞きのような岸田首相は、なんでものみ込んでしまう。しかも、ハト派のイメージがある。以前、枝野代表が目指すと公言していた“保守中道”のイメージです。立憲が自民党を追い込むのは、そう簡単ではない。代表を代えればどうにかなると考えているとしたら甘すぎます」(五十嵐仁氏=前出)

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11月16日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』11月16日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「勘違いと謀略報道 立民は“負け”を共産党のせいにするな」

 枝野も、辞任会見の質疑応答で野党共闘に関して「新代表にも同じ方向性を求めていくのか」と問われると、「戦略、戦術論としては、実態以上に(共産党と)近い関係と受け止められてしまった」とか言っていたが、それは共産に対して失礼ではないか。協力は欲しいが仲間と思われたくないというのは、あまりに都合が良すぎる。何様なのかという話だ。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。

 「共産党のせいだと責任転嫁しているようでは、話になりません。現行の小選挙区制で自公に勝つには、候補者を一本化するしかない。共産党と共闘したから、甘利前幹事長や石原元幹事長に選挙区で勝つことができたのです。共闘を解消すれば、野党が乱立して自公を利するだけ。立憲がさらに議席を減らすのは自明です。実際、衆院選の小選挙区では公示前の46から57に議席を増やしている。共闘の効果はあったのです。全体で14議席減の96議席に落ち込んだのは、比例代表で23議席も減らしたことが主因で、政党名を書いてもらえなかった立憲自身の問題です」

 共産と手を組んだせいで負けたと思いたいのかもしれないが、敗因というのは往々にして自らの内にあるものだ。

■批判は自公の危機感の裏返し

 引退した自民の伊吹元衆院議長も10日の福岡市内での講演で、衆院選は「自民が政権を失った(2009年の)時と似たような雰囲気があった」と話していた。その上で、「立憲はとんでもないミスをした。国家運営の基本に関わる意見が違う党が、選挙の票のために集まった」と批判していたが、危機感の裏返しだ。自民と公明だって、基本に関わる意見は違う。それなのに、ことさら野党共闘の失敗を喧伝するのは、解消してもらった方が今後の選挙が楽だからだ。

 「そういう共闘解消論に大メディアも加担している。野党も支持者もこれに惑わされないことです。立憲が見直すべきは共産よりむしろ連合との関係でしょう。連合の主体は大企業の労組ですから、コロナ禍にあえぐ一般庶民の気持ちは分からない。派遣や非正規労働者の待遇改善にも関心がありません。立憲は、連合の顔色をうかがわなくても勝てるように地方組織をしっかりつくって足腰を鍛えることに注力すべきです。労組に“おんぶに抱っこ”では、独自の政策を打ち出すこともできない。連合と共産の仲介役を担えるような地力をつけることが先決です。問われているのは共産との関係ではない。民主主義か非民主主義かの戦いで、共産との共闘を解消すれば、来年の参院選で野党はさらに惨敗し、自民独裁の暗黒国家が未来永劫、続いてしまうことになりかねません」(五十嵐仁氏=前出)

 野党第1党の座を守ることだけに汲々とすれば、かつての社会党の二の舞いになるだけ。

 公示前より減らしたといっても野党第1党である以上、新たな政治の希望を有権者に提示して欲しいし、そのためには野党共闘が欠かせない。人権より利権の自公政権が制度疲労を起こしていることは疑いようもないのだ。


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11月10日(水) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』11月10日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「やがて大政翼賛会 世にもおぞましい維新と国民民主の連携」

 改憲勢力もうごめき始めた。維新と国民民主はきょう、両党の幹事長と国対委員長会談を開催。今後の国会運営で連携を強化するというが、眼目は何といっても憲法改正だ。維新代表の松井大阪市長が早々に「来年の参院選までに改憲案をまとめ、参院選と同時に国民投票を実施すべきだ」とブチ上げたのは、自民、公明、維新の3党で憲法改正の国会発議に必要な3分の2の議席を上回るからだ。ここに国民民主が加わることで改憲勢力は公示前の324から347に膨張。トップ5党のうち4党を改憲勢力が占めることになる。参院でも4党の会派で3分の2以上だ。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)は言う。

 「維新と国民民主の連携は非常に危険です。自民党以上に急進的な維新は憲法改正に意欲を強めていて、与党に圧力をかけるでしょう。改憲勢力が多数を形成することで一気に事が進む可能性がある。維新は教育無償化、統治機構改革、憲法裁判所設置を主な項目に掲げていますが、9条改憲や防衛力強化にも積極的です」

 国民投票の利便性を高める改正国民投票法が6月に成立。改憲勢力は手続き法の議論は一段落したと主張し、改憲案起草の開始に向けて攻勢を強めているのだ。今度の選挙は民主主義の天王山だったが、立憲民主が自壊していく中、案の定の危険な予兆にマトモな有権者はどう動けばいいのか。

 「国民生活にとって憲法改正は緊急を要する議題ではありません。改憲勢力に対抗するにはリベラル勢力の結集が必要です。立憲民主は政権交代を自己目的化せず、野党共闘の新しい体制構築に向けて腹を決めて議論し、この国が進むべき方向をしっかり考えてもらいたい」(五十嵐仁氏=前出)

 立憲は枝野代表の後任を選ぶ代表選日程について「11月21日告示、30日投開票」「11月22日告示、12月1日投開票」の2案を軸に調整に入った。12月6日召集が見込まれる臨時国会までに、党勢を立て直せるか。

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