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7月13日(金) 強まり続ける安倍首相と与党への逆風  [参院選]

 昨日のブログで、「自民党が40議席を割ることもあり得る」という、自民党にとっての「悪夢」について書きました。公示日の動向や報道を見ると、その「悪夢」は「正夢」になりそうです。

 『読売新聞』は10日から12日にかけて参院選に関する第4回継続世論調査(電話方式)を実施し、その結果を報じています。
 それによると、有権者がどの政党に投票するかでは、比例区で民主党が前回(3~5日)に比べ3ポイント増の28%で、自民党21%(前回比2ポイント減)を引き離しました。選挙区でも民主党が27%(同5ポイント増)となり、自民党の22%(同2ポイント減)を上回っています。
 これまでの継続調査でも、比例区は第1回(6月5~7日)以降、民主党が自民党を1~3ポイント上回っていましたが、今回はその差が7ポイントに広がっています。選挙区では、前回は自民党が1ポイント上回っていたのに、今回は逆転され、5ポイントの差がつきました。

 つまり、自民党は巻き返しに成功していないということです。それどころか、自民党は比例区と選挙区でいずれも2ポイント減らし、逆に、民主党は比例区で3ポイント、選挙区で5ポイント増やしています。
 安倍内閣の支持率も下がり続けて1.8ポイント減の30.2%になり、不支持率は3.8ポイント増の57.7%にまで増えています。支持率は「危険水域」の2割突入寸前で、不支持率は過半数どころか6割に達しようという勢いです。
 昨日紹介した『朝日新聞』調査では、内閣支持率31%、不支持率51%で、比例区への投票予定は自民22%、民主26%でした。今回の『読売新聞』調査は、内閣支持率30.2%(0.8ポイント減)、不支持率57.7%(6.7ポイント増)で、比例区への投票予定が自民21%(1ポイント減)、民主28%(2ポイント増)ですから、さらに厳しい結果になっています。

 また、選挙後の与野党の勢力関係についても聞いています。これも、昨日のブログで紹介した89年と今回の『朝日新聞』調査と比べてみましょう。
 選挙後について、『朝日新聞』の89年調査では安定多数+伯仲が56%、与党の過半数割れが36%で、今回の調査では与党が多数29%、野党が多数48%となっていました。これに対して、今日報じられた『読売新聞』調査では、与党が過半数を維持する方がよい29.1%、与党が過半数を下回る方がよい53.0%となっています。
 選挙後の勢力関係については、『読売新聞』の調査が最も厳しくなっています。政府に近いと見られている『読売新聞』の調査でも、与党が過半数を下回る方がよいという意見が過半数を上回っている点は、大いに注目されます。

 ただ、『読売新聞』は、自民党を慰めるように、選挙区選で33%、比例選でも34%の人が投票先を「決めていない」と答えたと報じています。3割ほどの人が態度未定だというわけです。
 その多くは無党派層でしょう。問題は、これらの人々を安倍首相が引きつけられるのかという点にあります。『朝日新聞』の調査によれば、これも難しそうです。
 というのは、今日の『朝日新聞』が、朝日新聞社と東大の蒲島郁夫、谷口将紀両研究室が有権者を対象に実施した共同調査の結果を報じているからです。

 この記事「安倍、小沢両氏、好感度ではともに苦戦 朝日・東大調査」によれば、「両党首とも有権者からの好感度という尺度では苦戦」しており、「両党とも党首の魅力には頼れ」ないとしています。
 安倍首相と小沢代表の好感度は「好意も反感も持たない」中立点を0度とすると、そろってそれより低い「マイナス8度」だそうです。安倍首相は自民党の「マイナス5度」、小沢代表は民主党の「プラスマイナス0度」を下回り、ともに自分の党の好感度に及びません。
 特に、安倍首相は無党派層での好感度が低く「マイナス14度」で、小沢代表の「マイナス9度」や自民党の「マイナス12度」を下回っています。ということは、安倍首相は自民党よりも嫌われていることになりますから、首相が自民党候補を応援に行けば無党派層の票が減るというわけです。

 自民党が最低の36議席にとどまった89年参院選では、宇野首相は応援を断られ、街頭演説ができませんでした。これに比べれば、安倍首相は街頭演説ができるだけましかもしれません。
 ただしそれは、宇野首相のときとは異なって、今回の苦戦が安倍首相自身の醜聞などによるものではないというにすぎません。首相の演説によって無党派層離れが生ずるとなれば、やがて応援を断る候補者も出てくるでしょう。
 現に、長崎では、自民党の候補者が安倍首相と一緒に写ったポスターをはがして回っていると報じられています。首相の不人気を、いち早く感じたからにちがいありません。

 なお、付言すれば、拒否感情が強いのは安倍首相に対してだけではありません。自民党に対する拒否も強いということが、上述の『読売新聞』調査から明らかです。
 昨日のブログで、内閣不支持率が51%と、過半数を超えたままで参院選に突入した例はなく、それだけ安倍政権に対する拒否感情や政治のあり方に対する怒りが強いと書きました。『読売新聞』調査では内閣不支持率が57.7%ですから、なおさらそう言えるでしょう。
 しかも、同じ『読売新聞』調査の「議席が一番増えてほしくないと思う政党」では、自民党40.1%、民主党11.2%、公明党12.3%、共産党11.6%、社民党5.5%となっています。自民党と公明党の「議席が一番増えてほしくないと思う」人々が1位(40.1%)、2位(12.3%)ですから、与党に対する拒否感情が高まっているのです。

 このように、首相や与党に対する拒否感情の高まりという点で、安倍首相は史上最大の敗北を被った宇野首相とよく似ていますが、それだけではありません。44議席という2番目の敗北となった橋本首相との類似もあります。税金問題での発言の揺れです。
 安倍首相はテレビ番組で、「消費税を上げないとは一言も言っていない」と胸を張りましたが、その後、野党側に「それなら引き上げるかどうかを選挙で国民に問うべきだ」と突っ込まれると、「歳出削減をギリギリまで行えば、消費税を上げなくても済む可能性は十分ある」と弁解しました。
 消費税を上げると言えば選挙に不利になるから、あわてて訂正したわけです。このような腰の定まらない発言のブレや増税隠しもまた、89年参院選での橋本首相の失敗を彷彿とさせるものです。

 成功にはいろいろなものがあるが、失敗は似通っている、ということになりましょうか。安倍首相をめぐる状況は89年や98年とよく似たものになってきていますが、ある意味では、さらに厳しいという見方もできます。
 状況がよく似ていれば、その結果もまた似たものになるでしょう。さらに厳しいものであれば、より厳しい結果となるかもしれません。
 小泉前首相は「自民党をぶっ壊す」と宣言し、安倍首相は基本的にこれを引き継ぎました。今回の選挙は、小泉前首相がどれほど自民党をぶっ壊したかを、数字によって確認できる得難いチャンスになろうとしています。


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