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10月21日(日) この「爆発」は福田内閣を吹き飛ばすか? [内閣]

「背水の陣内閣」を自称し、「地雷原」を歩んでいる福田内閣です。すでに、いくつかの「地雷」を踏んで爆発してしまったようです。
 この爆発による損傷は、どれほどのものなのでしょうか。福田内閣は、切り抜けることができるのでしょうか。

 かなり大きな「爆発」は防衛省と航空・防衛分野の専門商社「山田洋行」との癒着問題の発覚です。守屋武昌前防衛次官が山田洋行の元専務から100回以上にわたって一緒にゴルフをし飲食の接待を受けていた事実が明るみに出たからです。
 接待を受けていたのは、守屋さん本人だけでなく、その奥さんや娘さんまで、一緒にゴルフをしたり、留学の激励会を開いてご馳走してもらったりしていました。
 その後、山田洋行の元専務が、防衛省幹部OBの天下りを積極的に受け入れていたことも分かりました。多い時で8人前後に達し、防衛省幹部の家族の採用にも力を入れていたそうです。

 また、元専務が設立した「日本ミライズ」という会社は、山田洋行と航空自衛隊次期輸送機CXの総額1000億円近くとされるエンジンの納入などをめぐって争っており、守屋さんは次官在任中の今年6月上旬、この会社の資金調達を助けるため、大手企業の系列会社の経営者に口利きをしていたことも分かっています。今日の『朝日新聞』では、日本ミライズと「随意契約すればいいじゃないか」と、守屋さんは天の声とも受け取れる発言をしていたと報道されていますが、まさに典型的な官業癒着だと言えるでしょう。
 防衛省関連では、守屋さんだけでなく、業者との癒着や不明瞭な資金の流れなどが、以前から指摘されていました。今回の疑惑は、そのほんの一端にすぎません。
 海外の建設コンサルタント業務の大手「パシフィックコンサルタンツインターナショナル(PCI)」の元社長らが、国から受注した中国の遺棄化学兵器の処理事業をめぐって約9000万円を不正に流用したとされる事件も起きています。東京地検特捜部は多摩市の同社本社を特別背任容疑で捜索しましたが、押収資料から何が明らかになるのか、注目されます。

 政府は17日の臨時閣議で、海上自衛隊によるインド洋での給油活動を継続するための「補給支援特措法案」を決定し国会に提出したばかりです。その矢先に、防衛省をめぐる疑惑や不正が明るみに出ました。
 当然、これらの問題の解決を優先するべきだという声が強まるでしょう。野党は、守屋元次官の証人喚問を求め、石破防衛相は「証人喚問するかは国会が決めること。仮に国会で決まれば、応じるべきだ」と述べています。
 癒着の実態は、さらに明らかになるにちがいありません。問題はどこまで拡大するのでしょうか。

 もう一つの「爆発」は、インド洋での海上自衛隊による給油活動についてのアメリカからの回答です。米国防総省は18日に声明を発表し、油の使い途をたどることは複雑な作業だとしたうえで、「米国政府は(対テロの)『不朽の自由作戦』(OEF)に参加する艦船だけに油を供給するとした、日本政府との合意に忠実に従ったと信じる」との立場を明らかにしました。
 つまり、「日本政府との合意に忠実に従ったと信じる」のみで、実際にそうなったかどうかは分からない、というわけです。石破防衛相は「唯一の同盟国である米国の表明を信頼するのは当然、政府としてあるべきこと」と述べています。信ずる者は救われる、ということでしょうか。
 日本が供給した燃料が他の作戦に流用されたかどうか、過去については分からないというのであれば、これから供給される燃料についても他の作戦に流用されるかどうか分からないということになります。これは、燃料の流用は否定できないということを意味しています。否定できる具体的事実があれば、「信じる」などとは言わずに、そのような事実を示すでしょうから……。

 注目されるのは、分からないとされた理由です。声明は、①海上自衛隊から提供された油は別のタンクに貯蔵されるわけではない、②他の補給艦を経由した場合にはさらに複雑になる、③(米海軍の)艦船は複数の任務を帯びることもある、の3点を挙げて説明しています。
 日本から供給された燃料は、他の燃料と一緒になって、イラク攻撃を含むさまざまな作戦行動に使用されているということになります。これも当然でしょう。日本から供給された燃料が海上阻止活動だけで使われているなどというのは虚構にすぎません。
 今日の『東京新聞』の「こちら特報部」でも報道されているように、自衛隊が給油活動を行っている「不朽の自由」作戦・海上阻止行動(OEF-MIO)は、事実上、「イラクの自由」作戦(OIF)の一部として扱われており、米軍の作戦行動は一体化しています。「米軍の同一部隊は複数の周辺海域での作戦に加わっている」ので「両作戦の区分に意味がないのが実状」であり、供給される燃料も、これは海上阻止活動用、これはアフガン用、これはイラク用などと区別されることはあり得ません。

 つまり、この米国防総省からの回答によって、海上自衛隊の給油活動がテロ特措法違反の活動を行っていたことが、ほぼ裏付けられたことになります。供給された燃料は「別のタンクに貯蔵されるわけではな」く、「他の補給艦を経由した場合には」何に使われたか特定できず、しかも「(米海軍の)艦船は複数の任務を帯びることもある」のですからから……。
 空母キティホークやイオージマなど、イラク攻撃に参加した艦船に給油したのは事実でしょう。そのほかの多くの艦船にも、同様の供給が行われていたはずです。
 私は、先週の金曜日に日本テレビで放映された「太田総理」の番組で、「イラク攻撃の前の月に給油量が2万キロリットルに跳ね上がっているのは何故か。その理由を説明できるのか」と質問しましたが、答えは明らかです。翌3月のイラク攻撃に参加した艦船に燃料を供給したからです。

 このように、数々の不正と疑惑が明らかになりつつあります。その解明なしに、「補給支援特措法案」の審議を始めることは許されません。
 防衛省をめぐる官業癒着は、政官業の癒着に発展する可能性、大です。防衛利権の闇に光を当て、その実態を解明し、メスを入れることが何よりも必要とされているというべきでしょう。

 なお、この間、拙著『労働政策』の執筆に専念し、ブログを書く余裕がありませんでした。来週月曜日の入院まであと1週間ほどですから、それまでに何とか拙著の執筆にメドをつけたいと思ったからです。
 これからも更新が滞ると思いますが、このような事情ですので、ご了解いただければ幸いです。


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