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11月4日(日) 「策士」福田、策におぼれる  [首相]

 抜けるような青空でした。絵に描いたような行楽日和です。
 カミさんの車に乗せてもらって、陣馬山下の「夕焼け小焼けふれあいの里」までドライブしました。色づき始めた木々の葉が、秋の陽光に美しく輝いていました。

 さて、福田・小沢の党首会談は、その後も波紋を広げています。小沢代表は記者会見し、「(自民党との)連立政権の樹立を巡り、党内外に政治的混乱が生じたけじめをつけたい」として、代表を辞任する意向を明らかにしました。こうなることは分かっていたはずです。
 だから、小沢さんは福田さんの誘いに乗るべきではなかったのです。余人がうかがい知ることのできない「密室」での2者会談であれば、後になって、有ること無いこと言い立てられることは分かり切っているじゃありませんか。
 会談が決裂したために、両者共に傷を負ったとされています。しかし、これまでは、辞任に追い込まれた小沢さんの傷の方が大きかったと言えるのではないでしょうか。

 この党首会談の「黒幕」は、またも「あの人」だとされています。「ワタツネ」こと、渡辺恒夫さんです。
 中曽根さんや森元首相も動いていたようです。「もう、年も年」なのですから、ジッとしていればいいものを……。
 政局に手を突っ込んでかき回す癖は、いくつになっても直らないのでしょうか。それとも、政治に対する脂ぎった情熱こそ、若さを保つ秘訣なのでしょうか。

 今回の首脳会談では、大連立問題だけでなく、自衛隊の海外派兵についての恒久法についても協議されたと見られています。これは小沢さんの持論ですが、福田さんは丸呑みするつもりだったのかもしれません。
 どのような条件の下であっても、自衛隊の海外派兵は憲法違反になります。国連の決議や承認があったとしても、自衛隊である限り、海外への派兵は憲法に抵触すると言うべきでしょう。
 したがって、国連の旗の下であれば自衛隊を派兵できるとする小沢さんの主張も、憲法違反になります。OEFであってもISAFでも、自衛隊であるかぎり、海外への派遣はできないのです。

 ところで、福田首相はインド洋での給油活動を継続するために、小沢さんの主張する恒久法の制定を丸呑みしようとしたようです。しかし、小沢さんが主張する恒久法では、インド洋での給油活動を継続できません。
 小沢さんの給油活動への反対根拠は、この活動は国連の決議に基づくものではなく、アメリカの自衛権発動への協力だというところにあるからです。たとえ、恒久法での合意がなっても、OEFに対するこのような評価が変わらないかぎり、給油の再開は不可能です。
 福田さんは、この違いが分かっていたのでしょうか。問題は、期限付きの特措法か、期限の付かない恒久法か、ということだけではなかったのです。

 さらに言えば、小沢さんの元々の主張は、国連の下に正式に編成される国連軍の一員としての自衛隊派兵というものでした。これも、自衛隊の海外派兵に当たりますから、基本的には憲法違反です。
 しかし、この小沢さんの主張からすれば、アフガニスタンのISAFにも、本来は自衛隊を派遣することができないはずです。それは、国連が承認した多国籍軍にすぎず、正式の国連軍ではないからです。
 実は、国連の指揮下に置かれる正規の国連軍は、これまで編成されたことがありません。近い将来においても、そのような国連軍が編成されるかどうかは極めて不確定です。

 つまり、小沢さんの本来の主張からする国連軍への自衛隊派兵論は、基本的には絵に描いた餅にすぎないのです。それを丸呑みしても、直ちに自衛隊の海外派兵を可能にしたり、インド洋での給油活動を再開したりできるものではありません。
 しかし、一般的には、このような違いはほとんど理解されていません。恒久法での合意は給油活動継続を可能にするかのような報道が溢れています。
 しかも、この恒久法についても、福田さんは小沢さんと合意できませんでした。とはいえ、どのような「密約」があったか、部外者にはうかがい知ることはできません。

 この最後の点が重要です。大連立についての拒否ははっきりしていますが、それ以外の問題での「密約」や何らかの合意があったかどうかは、明確ではないからです。
 このような事情を利用して、自民党は揺さぶりをかけ続けています。野党や民主党内での疑心暗鬼を生み出し、足並みを乱すところに、今回の党首会談の狙いがあったのですから、それは当然です。
 しかし、このようなやり方が、どのような政治的効果を生むか、自民党は分かっているのでしょうか。それは民主党の強い反発と敵対を生み出すという形で、自民党に跳ね返って来るに違いありません。

 福田さんとたった二人で時間を過ごした小沢さんです。いったんは、大連立構想を持ち帰ってしまったというチョンボまで犯しました。
 何が話し合われ、どのような「合意」があったのか。全く「合意」されることはなかったのか、具体的な内容は分かりません。
 小沢さんは、強い疑いの目で見られ、それを払拭するために辞任に追い込まれました。民主党も同様です。他の野党から、嫌疑をかけられています。

 民主党は、このことを良く自覚しているはずです。疑いを晴らすには、今後の具体的行動で示すしかありません。
 自民党の誘いに乗らなかったということを示すためには、自民党に対する強い反発と敵対以外にないのです。そうすることで、他の野党や国民の信頼を回復しなければなりません。
 ということは、給油新法での妥協など、トンでもないということになります。痛くもない腹を探られないためには、その他の問題でも強い態度で与党に対抗せざるを得ません。

 あと1週間で期限切れを迎える臨時国会は、1ヵ月ほど延長される見通しです。この間、自民党は、今まで以上に強い対応をする民主党を目にすることになるでしょう。
 もし、民主党がそうしなかったとすれば、その時には、何らかの取引や「密約」があったということになります。そう見られないためには、今まで以上に対決姿勢を強めざるを得ないのです。
 こうして民主党は、野党としての対決姿勢を強めることになるかもしれません。そのためにも、民主党が党としての結束に意を用いることになれば、福田さんにとっては失敗を意味します。

 福田さんは、小沢さんを辞任に追い込んで、「してやったり」とニンマリしているかもしれません。しかし、民主党の対決姿勢と攻勢を強めることになれば、結局は「策士、策におぼれる」ということになるでしょう。


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