11月19日(水) 公約の軽重を問う年金と給油 [首相]
今日は大原社会問題研究所の忘年会です。いよいよ、今年も押し詰まってきました。
おそらく、夜遅くに酔っぱらって帰ることになると思いますので、朝のうちにアップしておくことにしましょう。
昨日の夕刊に、「海上配備型ミサイル、初実験成功」と出ていました。ミサイル防衛(MD)構想のための実験で、ハワイ沖で行われました。
敵に見立てた目標のミサイルに、海上自衛隊のイージス艦「こんごう」から発射されたミサイルが大気圏外で命中したそうです。米国以外の国が、SM3の実射実験をしたのは初めてになります。
自衛隊関係者は大喜びでしょう。でも、これで約100億円の税金が吹っ飛びました。
ミサイルが命中して爆発するまで7分かかったそうです。あらかじめ準備して待ちかまえて発射して、それでも7分かかるのです。
いつ、どこに向かうか分からないミサイルが、突然、発射される場合はどうなるのでしょうか。それでも、7分以内に命中させることができるのでしょうか。
もし、北朝鮮から発射されるとすれば、日本に着弾するまで7~8分だと言われています。7分後に命中ということであれば、それは着弾するとき、地面の上ということになってしまうでしょう。
こんな無意味なミサイル防衛のための実験に、税金を100億円も使うなんてとんでもない話です。MD計画は最低1兆円とされ、実際にはその数倍もかかるだろうと言われています。
これも、利権獲得のために、無理矢理やらされているのではないでしょうか。日米の軍需産業が利益を上げ、防衛族が甘い汁を吸うために、無駄な装備と計画が押しつけられているにちがいありません。
数兆円ということからすれば、わずか1%のリベートでも数百億円になります。利権屋どもがむしゃぶりつくには十分な額です。
このような国費を海に捨てるような愚策は、直ちに止めるべきです。これまでも、日本の政府は馬鹿な政策を繰り返し、税金を無駄にしてきました。
皆さんはもうお忘れかも知れませんが、原子力船「むつ」の開発、農道空港の建設、2000円札の発行など、一体、何のために行われたのか理解できないような愚策に税金がつぎ込まれ、結局、無駄になりました。やがて、MD構想もこの愚策のリストに入れられることは確実です。
北朝鮮との関係が改善されれば、MDなど無用になります。改善されなくても、防衛手段として実際に役立つことはあり得ないでしょう。
それはともかく、アメリカの言うがままというのは、MD構想だけではありません。インド洋での給油もそうです。
すでに、この給油のために660億円の税金がつぎ込まれました。それでもまだ足りず、新テロ特措法を成立させてアメリカに油を貢ごうと、福田首相は躍起になっています。
福田さんは9月14日、インド洋での海上自衛隊の給油活動について「対外公約という形になっている。約束を果たす方向で最善の努力をするのは当然だ」と述べました。この言葉通り、臨時国会を2度にわたって延長し、無理に無理を重ねてアメリカに対する「対外公約」を果たそうとしています。
ところが、消えた年金記録についての公約に関しては、「そんなの関係ネー」とでも思っているようです。福田さんは、945万件について「公約違反というほど大げさなものなのか」と語り、「公約でどう言っていたか頭にさっと浮かばなかった」と弁解しました。
アメリカに対する公約は、臨時国会を2度も延長し、越年になっても果たそうとする。しかし、国民に対する公約は「頭にさっと浮かばなかった」というのです。
この違いを、どう理解したらよいのでしょうか。給油のための対米公約で頭がいっぱいで、年金についての国民への公約など忘れてしまったというのでしょうか。
原油価格の高騰で必要な灯油を買えずに寒さに震えている国民を尻目に、アメリカにはただで油をあげようというのが福田内閣です。しかし、インド洋での給油など再開する必要はありません。
ブッシュ大統領から文句を言われたら、「公約違反というほど大げさなものなのか」と言ったら良いではありませんか。給油について、「公約でどう言っていたか頭にさっと浮かばなかった」と……。
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