６月26日（木）　秋葉原通り魔殺人事件と派遣労働問題：五十嵐仁の転成仁語：SSブログ

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６月24日（火）　フィンランドからの珍客｜６月28日（土）　規制改革会議のその後ブログトップ

６月26日（木）　秋葉原通り魔殺人事件と派遣労働問題　[労働] [編集]

　一昨日の火曜日、研究所にドイツからのお客さんがやってきました。客員研究員として２ヵ月間、研究所で受け入れた女性の大学院生です。

　月曜日には我が家にフィンランドからのお客が見え、火曜日にはドイツからの研究員がやってくる。なかなか、国際的です。
　昨日は、この方のささやかな歓迎会を開きました。めじろ台駅前の焼鳥屋で一杯やったのですが、菜食主義者だと言います。
　「鶏肉なら」と仰ったのですが、あまり召し上がりません。ビールもあまり飲まないし。「ドイツ人は水の変わりにビールを飲む」というわけではないようです。

　帰宅したら、『日刊ゲンダイ』から取材の電話がかかってきました。秋葉原の通り魔事件と派遣労働問題について意見を聞きたいと言います。
　『日刊ゲンダイ』からのこれまでの取材は政局関連が中心でした。労働問題はあまりなかったのです。
　とうとう、労働問題を取り上げる方向でのマスコミの変容が、ここまで行き渡ってきたということなのでしょうか。それとも、ようやく私も、労働問題の研究者として認識されるようになったということなのでしょうか。

　秋葉原の事件の直接の原因については、色々な見方や議論があるでしょうが、その背後に社会の問題、端的に言って派遣労働という働き方の問題が大きな影を投げ掛けていることは明らかです。それは、加藤容疑者のブログを読めば、誰も否定できないでしょう。
　秋葉原の事件は、それだけの広がりをもっているということです。同様の事件が起きるような社会的土壌があるという事実を直視しなければなりません。
　それは派遣労働という働き方の問題であるだけでなく、若者が将来に希望を持てず、自暴自棄となってしまうような社会の問題でもあります。そのような社会を生み出している政治の責任でもあるでしょう。

　桝添厚労相は、派遣への規制強化を行うための法改正を、秋の臨時国会に前倒しする意向を示しています。当然でしょう。
　派遣については、日雇い派遣を禁止する方向でほぼ一致しています。しかし、これを登録型派遣にまで拡大するかという点では、与野党の違いがあります。
　野党の中でも、派遣労働者の労働組合を傘下に持つ連合は、登録型派遣の禁止には消極的です。しかし、これは拙著『労働政策』でも書いたことですが、いつ仕事があるのかハッキリせず、待機中には支払われない登録型派遣は極めて不安定ですから、原則禁止にするのは当然でしょう。

　このように、労働関連の法制度は、緩和から再規制へと、そのトレンドが変化しました。それは何故なのでしょうか。
　このような変化は、いつから、どのようにして始まったのでしょうか。その経過は、どのようなものだったのでしょうか。

　実は、これらの問いに答えるのが、この間、書き続けてきたちくま新書『反転の構図－労働の規制緩和をめぐって（仮題）』のテーマなのです。今日、基本的に原稿を書き上げて筑摩書房に送りました。
　特に問題がなければ、印刷に回される予定です。いつ頃の刊行になるのか、間もなく、スケジュールなども分かることでしょう。

2008-06-26 21:32 nice!(0) コメント(1) トラックバック(0)