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2月18日(木) 民を救うことを最優先とし、そのために全力を尽くすべきだ [労働]

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 これが、100年に一度の危機に際しての、国民に対するメッセージなのでしょうか。これで国民が勇気づけられ、危機に立ち向かう意欲を高めるとでも言うのでしょうか。

 12月16日に、二つの重要な会議が開かれました。一つは、日本経団連の経営労働政策委員会であり、もう一つは、政府の経済財政諮問会議です。
 前者は経営労働政策委員会報告(経労委報告)を発表し、雇用維持を「努力目標」に格下げして賃上げを否定しています。後者は「中期プログラム」の原案を決め、企業減税を打ち出して3年後の消費税率の引き上げを明記しました。
 つまり、この二つの会議を通じて、雇用維持はほどほどに、賃金は上げず、大企業は減税し、3年後には消費税をアップすることを明らかにしたわけです。これが、これから政府・財界がやろうとしている政策の基本だというのです。

 何ということでしょうか。雇用不安と生活苦にあえぐ国民を励ますどころか、更なる不安を与えようというのです。
 一体、何を考えているのか、と言いたくなります。これで勇気づけられる国民がどれだけいるというのでしょうか。
 政府や財界は、国民を励ますことも、勇気づけることも必要ないと考えているようです。これでは、日本が元気になるはずがありません。

 日本は2006年から人口減少社会に突入しました。生産年齢人口の減少は、それ以前から始まっています。
 このような総人口や生産年齢人口の減少が続けば、日本社会は滅亡します。ここでいう「滅亡」は象徴的な意味ではなく、文字通り、「誰もいなくなる」ということです。
 すでに、日本社会はそのような滅びの道に入り込んでいます。このような現状に対する危機意識を共有できるかどうかが、将来的な施策を考える前提とされなければなりません。

 働く場所から放り出され、生活する場を失う。運良く働くことができても、普通の生活を維持できない。このような社会では、人口が減り続けるのは当たり前です。
 労働力としての自己を保存・維持できないのに、結婚して家庭を持ち、子どもを生んで育てることができるでしょうか。少子化社会となって労働力の再生産が危機に瀕しているのは、あまりにも当然のことです。
 ワーキングプアによって構成される貧困社会では、労働力の保全や再生産は極めて困難です。新自由主義的な構造改革後の日本は、このような社会へと変貌を遂げてしまいました。

 ここからいかにして抜け出すかが、現在の日本が直面している最大の課題なのです。日本経団連も経済財政諮問会議も、このような問題意識が完全に欠落しています。
 雇用を減らし、賃上げを抑制すれば、確かに、企業は生き残れるかもしれません。企業の税金をまけても消費税を上げれば、財政は安定するかもしれません。
 しかし、社会は崩壊します。人口はますます減少し、社会問題は激増するでしょう。

 それで良いのでしょうか。労働力が減少し、その質が低下すれば、企業だって困るでしょう。
 収入が減って購買力が弱まり、内需が冷え込めば、ものが売れなくなります。貧困化した社会は、企業の土台を掘り崩すことになるでしょう。
 滅びに至る道から抜け出すことは、この日本で企業が生き残るための前提条件でもあるのです。企業経営者は、そのことをもっと真剣に考えるべきでしょう。

 「大企業栄えて民滅びる」という言葉があります。しかし、「民滅びる」ような社会で企業が栄えるはずはありません。
 このような困難なときにこそ、公器としての企業の役割を発揮するべきです。政治や行政はそれを支えなければなりません。
 民を救うことを最優先とし、そのために全力を尽くすべきです。今こそ、経営者や為政者は、その真価を問われているのだということを自覚するべきではないでしょうか。


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コメント 1

クセルサケス

彼らの解決策は、移民入れれば、いいと思ってるんではないでしょうか?労働力不足は防げそうです。
by クセルサケス (2008-12-21 18:50) 

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