12月22日（月）拙著『労働再規制』に対する池田信夫氏の書評への反論（その３）：五十嵐仁の転成仁語：SSブログ

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12月22日（月）拙著『労働再規制』に対する池田信夫氏の書評への反論（その３）　[論攷] [編集]

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　拙著『労働再規制－反転の構図を読みとく』（ちくま新書）刊行中。240頁、本体740円＋税。
　ご注文はhttp://tinyurl.com/4moya8またはhttp://tinyurl.com/3fevcqまで。
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　池田「書評」に対する反論を続けますが、その前にお知らせを一つ。

　本日の『朝日新聞』の24面に、写真入りで、私の談話が掲載されています。11月28日にインタビューされたものですが、ようやく掲載の運びとなりました。
　「労働者にも法的知識必要」という表題です。ご笑覧いただければ幸いです。

　もう一つ、昨日の叙述に補足しておきましょう。「著者も新日本出版社や大月書店から本を出している。版元の筑摩書房もマル経の本を毎月のように出している」と書かれている点についてです。
　①確かに私は、新日本出版社から『保守政治リストラ戦略』という本を出していますが、それは今から10年以上も前の1995年のことです。しかも、これまで書いた13冊の単著のうちの一冊にすぎません。
　②「大月書店から本を出している」と書かれていますが、これは法政大学大原社会問題研究所／五十嵐仁編『「戦後革新勢力」の源流―占領前期政治・社会運動史論1945-1948 』大月書店、2007年、のことで、私の単著ではありません。研究所のプロジェクトの結果をまとめた研究所叢書ですので、私が「大月書店から本を出している」例として挙げるのは不適切でしょう。
　③「版元の筑摩書房もマル経の本を毎月のように出している」と書かれていますが、筑摩書房がそれほど沢山の「マル経」の本を出しているとは知りませんでした。「毎月のように」というからには、今年だけでも10冊以上（過去10年では100冊以上!?）になると思われますが、その書名を教えていただきたいものです。ちなみに、拙著『労働再規制』は、「マル経」の本ではありません。
　④これまで私は、単著13冊と20冊ほどの共編著を出しています。単著を出している出版社は、新日本出版社と筑摩書房に加えて、労働旬報社（２冊）、法律文化社（２冊）、御茶の水書房、小学館、八朔社、日本経済評論社、績文堂・山吹書店、こうち書房、ゆぴてる社の11社にのぼります。それなのに、新日本出版社と筑摩書房しか例示していないのは、あまりに意図的ではありませんか。

　ということで、前置きが長くなりました。昨日の続きです。

　第３に、「本書は『日本は格差社会だ』とか『小泉改革が格差拡大の犯人だ』といった通俗的な話を、新聞やテレビなどの二次情報の切り貼りで繰り返す。『格差社会』の根拠は、なんとNHKの番組『ワーキングプア』だ。著者は『研究所』の所長だというのに、一次情報はまったく出てこない」と書かれている点です。
　この部分は、私が最も侮辱に感じた点です。また、研究所に対する信頼と名誉を毀損する最も大きな問題点でもあると思います。さらに、池田さんの研究者としての資質と読解力に大きな疑問を感じたところでもあります。
　以下、順番に反論させていただきます。

　まず、「『格差社会』の根拠は、なんとNHKの番組『ワーキングプア』だ」と書かれていますが、これは完全な嘘です。このような、すぐにばれる嘘を何故つくのか、私には理解できません。
　「格差社会」については、第２章「反転の背景」の第１節「経済的背景－格差の拡大と貧困の増大」で扱われています（50～53頁）。しかし、ここには「NHKの番組『ワーキングプア』」についての記述がありません。
　記述がないのに「根拠」にされていると、池田さんは仰るわけです。これだけでも、池田さんの主張がいかにデタラメかは明らかでしょう。

　「NHKの番組『ワーキングプア』」の記述が登場するのは、第５章「反転を生みだした力」の第３節「マスコミにおける変化」の最初の項「『ワーキングプア』の衝撃」です（132頁）。それは「社会に大きな衝撃を与えた」例として出てくるのであって、「『格差社会』の根拠」として示されているのではありません。
　そもそも、80頁も後で出てくる第５章の記述が、どうやって第２章の記述の「根拠」になりうるのでしょうか。こんなマジックのようなことは、私にはできません。
　また、「格差の拡大」を直接に扱っている第２章第１節の第２項「広がる格差」では、「純金融資産」についての「野村総研の推計」を紹介しています。池田さんはこの事実を無視しています。

　さらに、「新聞やテレビなどの二次情報の切り貼りで」「一次情報はまったく出てこない」という指摘に答える必要があるでしょう。池田さんは、「ただ最後に出てくる規制改革会議と厚労省の官僚の対立はおもしろい」と評価されていますが、ここで引用されている規制改革会議の公式の議事録や答申、厚労省の報告、さらには本書全体で利用している経済財政諮問会議の議事録などは、「一次情報」ではないのでしょうか。
　これらの組織内での議論を検討する場合、公式の議事録は欠かすことができません。「あとがき」で私は、「出典が明示されていない引用文は、全てウェブ状で公開されたものです」と書きましたが、このような形で引用されている各組織の公式発表資料は全て「一次情報」であると考えています。
　これらを一次情報と認めない池田さんは、直接、見聞きしたものだけを一次情報だとする極めて狭いとらえ方をしているように思われます。見解が分かれるところかも知れませんが、少なくとも、「新聞やテレビなどの二次情報の切り貼りで」「一次情報はまったく出てこない」という記述も、誹謗や中傷に近いものだといわざるを得ないでしょう。

2008-12-22 11:08 nice!(0) コメント(8) トラックバック(0)

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昨日、本を買わせていただき、読ませていただきました。非常に面白く情報を得られたので非常に良かったと思います。ありがとうございました。

池田氏の件、このブログでも過去にやりとりがありました。（先生の本にも書かれている濱口先生のブログです。）正直、人間としてなんかおかしなひとだと私はおもいました。他人を尊重しようとしないのです。
濱口氏のブログから
池田信夫氏の3法則
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/3_a7ad.html

こんなのもあります。
あるサイトに下のように書いてありました。
池田氏はもう、何十年も同じようなことをいろんな
場所で同じことを繰り返しているのでしょう。
以下引用です。
◇「ネット・ストーカー」について（２００３．１０．１）
http://homepage3.nifty.com/martialart/sikou.htm
（略）
　この人にならって昔話をすれば、私は幾度かこの人を見かけたことがある。彼は学生時分に西部氏の追っかけのようなことをしていて、かまって欲しいのか、うるさくがなり立てては西部氏に一喝され、しゅんとして逃げ出すといったことを幾度か繰り返していた。しばらく見かけなかったが、インターネットという利器を得て、またぞろ学生時分の恨みを晴らそうとしているらしい。追っかけても受け入れられないので妄想にかられつつ「一派」にまで執拗なストーカー行為を及ぼすわけだ。まあ、こうした例を見せつけられると、淋しい人にとって、ネット社会は憂さ晴らしの天国に違いないと改めて感じる。それでいてこうした人物に限って「信頼できる制度」うんぬんと説教するのだから、たまらない。
（略）

by 地方に住む人 (2008-12-23 07:31)

なぜか、左の人は、マルクス主義者と名指しされることを嫌いますね。そのくせ、市場原理主義とかいうレッテル張りはやっている。
先生は、マルクス主義者だとなぜ堂々と認めないのですか？？
by 元左 (2008-12-24 01:43)

左＝マルクス主義者じゃないということがわからない人もいるんですね

by 現左 (2008-12-24 10:14)

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