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7月4日(土) 笹森清元連合会長との10年ぶりの邂逅 [労働]

 今日は、元連合会長だった笹森清さんの「連合運動の20年」と題した講演を聴きに行ってきました。久しぶりに笹森さんの話を伺いました、と言いたいところですが、実は、つい最近も笹森さんのお話をお聞きしています。

 2週間前の6月12日(金)、生活経済政策研究所の「『労働と福祉国家の可能性:労働運動再生の 国際比較』出版記念シンポジウム」に参加したからです。このシンポジウムでは、湯浅誠反貧困ネットワーク事務局長が「派遣村から見た日本社会」、竹信三恵子朝日新聞編集委員が「いまなぜ労働運動か-生活と職場のはざまで」、笹森清労働者福祉中央協議会会長が「連合運動の20年」、篠田徹早稲田大学社会科学総合学術院教授が「問われる労働運動の構想力-物語の作り替え」と題して講演し、京都大学の新川敏光さんが司会をされました。
 会場で、旧知の新川さんや青年ユニオンの河添さんにお会いしてご挨拶しました。しかし、あいにく笹森さんとは言葉を交わす機会がありませんでした。

 ということで、今日、社会運動ユニオニズム研究会が始まる前に、ご挨拶にうかがいました。笹森さんと直接言葉を交わすのは、実に10年ぶりのことになります。
 1999年の11月2日、大原社会問題研究所創立80周年・法政大学合併50周年記念シンポジウム「労働の規制緩和と労働組合」が開催されました。このとき、報告者と司会者として同席して以来のことです。
 あれから10年の月日が経っています。当時、連合の事務局長だった笹森さんは、その後、連合会長となり、今では連合も退職され、労働者福祉中央協議会(中央労福協)の会長さんです。

 このときのシンポジウムには、笹森清連合事務局長をはじめ、坂内三夫全労連事務局長、木陸孝日経連経済調査部長、高梨昌日本労働研究機構(JIL)会長の各氏がパネリストとして出席されました。今から見ても、なかなかの豪華メンバーです。
 司会は、この私です。坂内さんや木陸さん、高梨先生とは、その後も何回かお会いする機会がありました。しかし、笹森さんとは、お会いするチャンスが一回もありませんでした。
 なお、このときのシンポジウムの内容は、その後、研究所の『大原社会問題研究所雑誌』に掲載されています。お読みになりたい方は、http://oohara.mt.tama.hosei.ac.jp/oz/497/index.htmlをご覧下さい。

 このシンポジウムは、今から振り返ってみても大きな意義のあるものだったと思います。 第1に、すでに99年の段階で、「労働の規制緩和」をシンポジウムのテーマに掲げていたことです。これは、かなり早い例に属するのではないでしょうか。
 『大原社会問題研究所雑誌』の「特集にあたって」では、次のように書かれています。ここでは「昨今の規制緩和のとうとうたる流れ」と書かれていますが、その「流れ」はこの後、さらに強まっていくことになります。

 この企画は、昨今の規制緩和のとうとうたる流れを見るにつけ、とくに労働の規制緩和について、それがすぐれて働く人の利害関係に関わり、物の規制緩和などとは質的に異なる特別な意味をもつのではないかといった関心から、浮かび上がったテーマであった。同時に、社会・労働問題に関する研究機関であり、専門図書館・資料館である大原社会問題研究所にとって、いまこの問題を取り上げるのは時宜に適したことではないかとの認識から、このシンポジウムの企画が決まった。

 第2に、労働者派遣法の産みの親だった高梨さんを招いていたことです。すでにこの時点で、労働の規制緩和における労働者派遣法制定の意味と高梨先生の役割を、それなりに意識していたということになりましょうか。

 第3に、笹森、坂内、木陸という労使の実質的な責任者が顔を揃えていたことです。とりわけ、連合と全労連の事務局長がシンポジウムの報告者として同席したため、大きな注目を集めました。
 しかも、このシンポジウムで笹森さんは、「同時多発的にやるというような行動までは否定しませんよ」と発言されました。これはその後、連合内で問題になって笹森さんは苦労されたようですが、その後、連合と全労連との関係を一歩前進させる契機となった大きな意味のあるやりとりだったように思われます。
 ということで、その時のやりとりを、以下に紹介しておきましょう。

(笹森)……その中で全労連さんと共同歩調の問題は、私の立場からいうと無理です。共闘はできません。それは今までのこの10年間、それからこの10年の前までのいろいろな、組織を連合としてつくり上げていく過程の中で、何があったかということで、問題はいまだクリアできていないんです。現場の段階では、特に地方自治体の職員を含めて、激烈な組織的な競合をやっている中で、表だけで形だけの共闘を取っていいのかどうかというのは、組織事情が許さないという意見があります。だから少なくとも共闘はできないけれど、この2年間の実績の中では同時多発的にやるというような行動までは否定しませんよということを申し上げてきているのだということです。

(坂内)……これから必要なのは、何が違うかを追い求めるのではなしに、何なら一緒なのか、何なら共通するのかということを大いに追い求めていくことではないでしょうか。連合と全労連が正式な関係で共同する形が今の現状の中でただちに実現するとは、私自身も思っていません。笹森さんがよく言われる同時多発的共闘でいいじゃないかと。私はそれで結構だと思います。

(五十嵐)……最後に司会者としてひとこと述べさせていただきます。今日の報告及び発言の中にもありましたけれども、労働者の雇用と生活を守るという点、人間尊重の社会を実現し、安心して働ける社会をつくるという点については、ここに参加されているすべての人の間で少なくとも一致できる点ではないかと思われます。
 また、このテーマは大原社会問題研究所が創立以来80周年にわたって追い求めてきた課題でもあります。安心して働き、生活できるような世の中をつくるために何が必要かを明らかにし、その実現に向けて力を尽くすということです。そのために、同時多発的行動を可能な限り、特に今の大リストラの中では雇用を守るという点で、追求していくことが重要になっているといえるでしょう。
 この点において、本日のシンポジウムが何らかの形で役に立てば、あるいは貢献できれば幸いです。

 以上のような形でのやりとりがありました。この後、「同時多発的行動」という言葉は運動内部で広まり、大きな意味を持つようになります。

 今日の講演の前に、私がこのシンポジウム時のお礼を兼ねてご挨拶したとき、笹森さんはこう仰いました。
 「そうそう、バンちゃんとご一緒しましたね。」
 「笹森さんには、ご迷惑をおかけすることになったようで、申し訳ありませんでした。」
 「色々と言う人がいましたが、私はそういうことをあまり気にしない方ですから。でも、あれが一つのきっかけだったかもしれませんね。」

 昨年末の「年越し派遣村」では、連合、全労連、全労協が一緒に取り組んでいます。個別課題での連合と全労連の連携や同席は、もう珍しいものではなくなりました。
 この日の報告でも、右・左というイデオロギーの分類は終わったこと、垣根を取り払って共同することが重要であることが強調されました。その通りだと思います。
 この10年間で、連合と全労連との関係も変化してきています。そのきっかけになったのが10年前の研究所主催のシンポジウムであったとすれば、これほど嬉しいことはありません。

 貧困ネットワークの呼びかけ人でもあるということで、笹森さんの胸には「お化けバッヂ」が着いていました。これこそ、労働運動と社会運動の合流を「可視化」するものであると言えるでしょう。
 新しい波は、着実に動き始めています。この10年間、時間は無駄に流れていなかったのだ、ということを確認できたような気がしたものです。

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by モンクレール (2011-08-24 12:39) 

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