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4月24日(土) これで保てるのか、政治への信頼 [政局]

 せっかくの政権交代だったのに、それが政治への信頼を高めるのではなく、損なう結果となっているのは誠に残念です。しかも、それが、政権交代の先頭に立っていた鳩山首相自身によるものですから、ガッカリさせられるやら情けないやら、言うべき言葉が見つかりません。

 鳩山首相の「政治とカネ」の問題についての判決が、東京地裁でありました。首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」の偽装献金事件で、政治資金規正法違反(虚偽記入)に問われた同会の元事務担当者で、首相の元公設第1秘書・勝場啓二被告に禁固2年、執行猶予3年(求刑・禁固2年)が言い渡されたのです。
 勝場被告の弁護人は控訴しない意向を示し、勝場被告は判決後、弁護人を通じて「犯した罪と社会的影響の重大さを痛感している。改めて心からおわび申し上げる」とのコメントを出しました。鳩山さんも、「政治家としての責任を痛感している。国民におわびしたい。このことは一生の戒めとしたい」と述べたそうです。
 でも、鳩山さん自身がどのように関与したのか、そのお金はどのように使われたのかなどについては、今も分かりません。国民の納得が得られるような説明を行わなければ、このモヤモヤ感は、いつまでもたっても払拭されないでしょう。

 同時に、指摘しておきたいことがあります。その一つは、「政治とカネ」の問題は、鳩山首相だけではなく、二階さんなどの自民党政治家や小沢さんについても残されているということです。鳩山さん同様、これらの人についても真相の解明や納得できる説明を求めるべきでしょう
 しかし、「政治とカネ」の問題は、重要ではあるけれども、政治が取り組まなければならない問題の一部だということです。この問題だけで鳩山政権の全てが否定されるということも、大きな間違いでしょう。
 さらに、この問題を何らかの制度改革に結びつけていかなければならないということです。企業・団体献金の禁止や政治資金の透明化などが実現されなければ、問題が真に解決されたということにはなりません。

 政治の信頼を損ねているという点では、このところの新党結成で生じている問題点も見過ごせません。自民党の候補者として比例代表選挙で当選した与謝野馨さん(衆院)、舛添要一さん(参院)の2人が、自民党を離党してそのまま新党結成に走ったからです。この点では、「自民党を離党するなら、議員を辞職するべきだ」と批判している谷垣自民党総裁の言い分が正しいと言うべきでしょう。
 また、政党結成のあり方としても、大きな問題が生じています。政党というものは、理念や政策中心に賛同者を募るのが本来のやり方だからです。

 しかし、最近結成された新党「たちあがれ日本」や昨日結成された「新党改革」は、そうなっていません。政党結成の本筋を逸脱していると言わざるを得ないものです。
 「たちあがれ日本」の場合、理念や政策の違いに目をつぶり、引退する予定だった議員まで引き入れて新党を立ち上げました。政党要件の国会議員5人を満たすために無理をしたわけです。
 「新党改革」の場合、既存の政党「改革クラブ」を舛添さんが乗っ取って代表に収まり、理念や政策の違いなどから反発する者を追い出すというやり方がとられました。参院選に向けて結党を急いだためで、政党交付金目当ての選挙互助会作りだとの批判は免れません。

 さらに、政治のトップリーダである鳩山首相の指導力のなさや発言の揺れも、深刻な政治不信を引き起こしています。『日経新聞』4月23日付の記事「『決められない』政権」は「決められない」「決まらない」として、「鳩山政権の意思決定の迷走」について指摘しています。
 ここで取り上げられている課題は、米軍普天間基地の移設問題や高速道路料金の改定の問題だけではありません。税制改革、高齢者医療、子ども手当、温暖化対策、郵政改革などが列挙されています。
 いずれの問題についても、鳩山首相は十分な指導力を発揮せず、発言が揺れているというわけです。国民は、何を信じて良いのか分からなくなっているのが現状です。

 このようななかで、鳩山内閣は大きなチャンスを逃したように見えます。沖縄返還に関する日米密約についての文書開示裁判での上告です。
 日米密約問題の調査と関連文書・資料の公開は、鳩山内閣が放った数少ない「長打」でした。ところが、せっかく「得点圏」に「ランナー」を進めたのに、「ファールフライ」を打ち上げてしまいました。
 どうして、密約開示請求訴訟で東京高裁に控訴なんかしたのでしょうか。東京地裁での判決を受け入れて再調査を行えば、得点をあげて政治への信頼を回復できる絶好のチャンスだったのに……。

 しかし、まだ「逆転ホームラン」を放つチャンスが残されています。それは、普天間移設問題での鳩山首相による指導力の発揮です。
 4月16日にテニアン島などからなる北マリアナ連邦上院議会が普天間飛行場の誘致決議を全会一致で可決するなどの動きが出ているそうです。鳩山さんにとっての「助け船」が、太平洋の彼方からやってきたというわけです。
 テニアン島などへの移設の可能性も考慮に入れつつ、アメリカに対して普天間基地の撤去を求めれば、5月末での「決着」は可能かもしれません。国内での適地を探すなどという「不動産屋」のようなことは止めて、「出て行って欲しい」と米政府にきっぱりと伝えるべきです。

 普天間基地の撤去と国外移設に向けての道筋を付ける。これこそ、鳩山内閣への支持率低下を逆転させ、政治への信頼を取り戻す最大の秘策であり、起死回生の「場外ホームラン」になること間違いないでしょう。
 政治家にとって、歴史に名をとどめることができるチャンスは、そうそうあるものではありません。鳩山さん、今こそ、そのための絶好のチャンスがめぐってきたのですよ。
 引っ越し先を探し回る不動産屋などさっさと廃業して、本来の政治家に戻りなさい。
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通りすがり

通りすがりで失礼します。

なぜか大手マスコミは全く報道しないのが不思議でならないのですが、北マリアナ連邦にて、テニアンヘの誘致を議会が正式に表明しました。詳細は以下の4月22日の琉球新報および沖縄タイムスの記事を参照下さい。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-161169-storytopic-3.html
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2010-04-22_5933/

常識的に考えれば、これで普天間問題は一件落着のはずです。
そもそもアメリカだって全世界的な米軍再編でグアムへ機能集約したがっているから、全く問題ないです。
唯一困るのは、日米の辺野古移転の利権を当てにしていた連中だけでしょう。
世の中には「抑止力を考えると国内」とバカなことをのたまう輩がいますが、普天間の海兵隊は東南アジア、西アジア方面へ展開するための部隊で、日本の抑止力には何の影響も及ぼさないのです。抑止力を考えると、沖縄ではなく北朝鮮に近い山陰や北陸に置くべきでしょう。
これ以上沖縄に過度な負担を与えることは、琉球民族に対する人種差別の恐れがあると、国連からも勧告が出ています。
それに空軍の嘉手納基地など複数の基地がまだ沖縄に残り続けることをお忘れなく。

これまで鳩山氏が、米軍基地の国外移設の目的を達するために、のらりくらり国民を欺いて「ルーピー総理」を演じていたのなら、小泉純一郎に匹敵する「大役者」です。
でも、これだけ好条件が揃っていて、結局5月末までに我々国民に見せた姿そのままに「移設先を決めることができませんでした」では、安部晋三や麻生太郎に匹敵する「バカ総理」と評されるでしょう。
by 通りすがり (2010-04-24 07:42) 

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