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7月2日(金) だから言ったじゃないの、消費税は「劇薬」だって [消費税]

 今日の『日経新聞』に、菅首相に対するアメリカからの「援護射撃」が掲載されていました。射撃に加わったのは、ジョセフ・ナイ米ハーバード大学教授です。
 「民主党の参院選マニフェスト(政権公約)は現実的、合理的だ。菅氏は主義主張の人ではないようだ。好印象を抱いている」というのが、ナイ教授の発言です。手放しでのベタ褒め、というところでしょうか。

 「民主、1人区に危機感 首相の『還付』発言で」という記事も出ていました。『毎日新聞』7月1日付です。「経済が疲弊する地方の1人区で民主党離れが加速しかねないとの危機感がある」と言います。
 民主党内も分裂気味です。小沢さんと枝野さんの新旧幹事長がやり合っているとの報道がありました。
 一方が「約束してきたことをちゃんと実行しないと駄目だ」と言えば、他方は「無責任な行動は政権党としてすべきではない」と反論する。民主党内の内ゲバだと騒がれています。

 どれも、背景は一つです。菅首相が消費税の増税を打ち出したからです。
 しかも、首相の発言は揺れています。「10%への引き上げ」は公約なのか、使途は何なのか、どのような軽減措置をとるのかなど、一向にはっきりしません。低所得層に還付するのかという点では、年収は「200万円とか300万円より少ない人」「300万円とか350万円以下の人」「400万円以下」と、発言がブレまくっています。
 1998年の参院選での橋本首相のことを思い出しました。あのときも、橋本首相の定率減税についての発言が二転三転し、自民党は大敗して橋本さんは首相を辞任しました。

 だから、言ったじゃありませんか。「消費税は気楽に手を出してはならない『劇薬』だ」(4月19日付「『秘密の花園』と『大きな落とし穴』-税制改革における消費税増税論の陥穽」)と……。
 ところが、民主党や内閣支持率のV字回復に気をよくした菅首相は、突然、自民党が参院選公約に盛り込んだ消費税の10%を「参考にさせていただきたい」と発言したのです。直後の支持率は低下し始め、慌てた民主党と菅首相は、右往左往し始めたというわけです。
 自民党の「口車」に乗ってしまったわけです。支持率急落の坂道が待っているというのに……。

 しかも、民主党は企業減税も打ち出しています。一方で企業の税金を減らし、他方で消費税率を引き上げるというわけです。
 増収になった税金は、企業減税によって生じた穴埋めに使われることになります。たとえ、消費税を目的税化して社会保障だけに使うということにしても、事情は変わりません。
 そのうえ、低所得層への還付をやるというのですから、そのための財源が必要になります。全体としての税収が増えなければ、増加する社会保障の財源をまかなうことはできず、まして、財政赤字を補填することなどできるはずがありません。

 98年の橋本内閣の時と同じように、民主党は苦戦する可能性が高まってきました。しかし、一人区や二人区で、民主党に代わって当選する可能性があるのは自民党で、その自民党も消費税率の引き上げを主張しています。
 第一党の与党と第二党の野党が、消費税率の引き上げで足並みを揃えてしまいました。まさに、小選挙区制と「二大政党制」の害悪が典型的に示される例となっています。
 参院選は不毛の選択となってしまったということでしょうか。消費税率の引き上げに反対する民意は、代表されずに終わるのでしょうか。

 そうなっては、日本の民主主義は死んでしまいます。選挙制度の不備を明らかにし、民意をはっきりと示すために、消費税率の引き上げに反対する政党に投票することが必要でしょう。
 たとえ、小選挙区での当選が難しくとも、民意を示すことはできます。小選挙区でなければ当選の可能性は出てきますし、比例代表区なら投票は無駄になりません。
 橋本辞任は、消費税率が引き上げられた後でした。今度の選挙は、引き上げを決める前に実施されるという点が重要でしょう。引き上げが決まってからでは、後の祭りですから……。

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