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8月4日(水) 「労働再規制」と所得の再配分のための税制改革こそが求められている [労働]

 今日の新聞に、『労働経済白書』の内容が報じられていました。『東京新聞』は次のように書いています。

「非正規労働者が増加して所得格差が広がった背景に、労働者派遣制度の規制緩和や、企業がコスト抑制志向を強めたことがあったと分析。派遣の対象業務の自由化を進めるなど、政府の労働分野の規制緩和が所得格差を助長させた、と総括した異例の白書となった。」

 企業で働く人びとの年収は、1997年と2007年とを比較すれば、10年間で100万~200万円台半ばの低所得者層の割合が高まったこと、大企業が非正規労働者を増やしたことが低所得者層の増加や格差拡大を招き、所得や消費の成長力が損なわれたと主張していることも報じています。
 このようなことは、拙著『労働再規制』でも再三、指摘していたことです。しかし、「何を今更」などというのはやめましょう。
 当たり前のことが認識されるようになったのは、大変、良いことです。これも、政権交代の成果でしょうか。

 『東京新聞』8月2日付は2007年時点での「ワーキングプア641万人」と報じています。「現役世代(20~64歳)の男性労働者の9.85%、女性労働者の13.39%が該当」するそうです。
 ここで「ワーキングプア」とされているのは、「標準的な世帯所得の半分(1人世帯で約124万円)以下」です。『労働経済白書』が問題にした「低所得者層」(100万~200万円台半ば)の中でも下位に属する人びとであることに注意していただきたいと思います。
 その「低」低所得者層でさえ、641万人もいるというのが、厚生労働省研究班による推計です。以前に指摘したとおり、日本が「大貧困社会」に突入していることは明らかでしょう。

 このように貧困が拡大しているときに、消費税の税率を引き上げて低所得者層の負担を増やそうなどというのは、全く逆転した発想だと言わざるを得ません。調査にあたった阿部彩国立社会保障・人口問題研究所部長が指摘するように、「ワーキングプアの解消には恒常的な所得補てんが必要」なのです。消費税増税による「恒常的な所得収奪」ではありません。

 これらの報道から明らかなことは、労働者派遣法の改正による「労働再規制」が急務であること、所得の再配分を可能にするような税制改革こそが求められているということではないでしょうか。

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