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8月9日(月) マイカー保有台数の初の減少というニュースが示しているものは [報道]

 とうとう、こうなってしまったということでしょうか。日本社会の変容を象徴するようなニュースですが、それほど注目されていないというところに、かえって問題の深刻さがあると言うべきでしょう。

 『日経新聞』8月7日付が「マイカー保有、初の減少」と報じています。「都市・40歳代で顕著」「地方・高齢者は増加」という見出しが続いています。
 記事によれば、「総務省による世帯別の自家用車の保有台数調査によると、2009年時点の1世帯当たりの保有台数は調査開始以来、初めてマイナスになった」そうです。「大都市や50代以下の世帯で減少が目立つ。国内市場の頭打ち傾向を改めて裏付けている」という指摘が続きます。
 昨日のブログで、私は「非正規労働者の増大によって雇用は不安定になり、収入の減少によってワーキングプアが増大し、国内市場は低迷して消費不況に陥ってしまいました」と書きましたが、マイカー保有台数の減少も、その一つの現れにほかなりません。

 マイカー保有台数の減少が「都市・40歳代で顕著」なのは、都市での公共交通がそれなりに整備されているため、無理をして車を持つ必要がないからでしょう。40歳代の保有台数が減っているのは、社会の中堅クラスが車を買えるだけの収入を得ていないということではないでしょうか。
 都市部でも格差が拡大しているということかもしれません。車を買うことができる中間層が減少しているということが考えられます。
 これについて記事は、「将来不安を抱える若年層のクルマ離れに拍車がかかり、所得環境の悪化などで中年層も自動車を手放す世帯が増えていることがうかがえる」と解説しています。「所得環境の悪化」とは、貧しくなっているということを意味しています。

 他方で、「地方・高齢者は増加」という指摘もあります。これも、当然でしょう。
 地方では、クルマがなければ身動きがとれません。鉄道やバスなどの公共交通に頼れなくなってしまったからです。
 それに、高齢者には、まだ良かった時代の年金があります。現役で働いている子どもの収入よりも、リタイアした親の年金の方が多いというのは良くある話です。

 そういえば、「川崎市制記念多摩川花火大会」で、今年から新たに始めた一般向け有料観客席の販売が不振に陥っているという報道もありました。「市の用意した6千席のうち、6日までに売れたのは3分の1程度」だそうです。
 これも、都市中間層の減少の一つの反映ではないでしょうか。お金を払ってでも、特等席で花火を見物したいと考える人が減っているということでしょう。
 以前なら、このような席には申し込みが殺到したにちがいありません。しかし今や、そのような状況は過去のもになってしまいました。

 若者の自動車離れや花火大会での有料席の販売不振に、関係者は頭を痛めているにちがいありません。しかし、本来、その対策は難しくありません。
 車を買えるだけの収入を若者に保障し、お金を払って花火を見物できるような安心感とゆとりを人びとに与えればよいのです。たった、それだけのことなのです。

 とはいえ、今の政治と経済の担当者にとって、それは決して容易なことではないでしょう。今日における政治家と官僚、大企業経営者の無能ぶりからすれば……。

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