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3月25日(金) 上と下から挟み撃ちされたプロ野球セ・リーグ [文化・スポーツ]

 昨日の私のブログを読んで方針を変更した、というわけではないでしょうが、良かったと思います。プロ野球のセ・リーグは緊急理事会を開いて、4月12日に公式戦開幕を延期することを決めました。

 緊急理事会で決まったのは次の3点です。①開幕は412日、②東電・東北電管内での4月中のナイター自粛、③延長回は3時間30分を超えて新しいイニングに入らない(9回打ち切りから変更)、また東京ドームでは4月中、デーゲームも実施しない。
 これで、今シーズンのプロ野球はセとパが同日に開幕することになります。当然とはいえ、もっと早く決められなかったのでしょうか。
 二転三転して醜態をさらすことになったのは、読売巨人軍が駄々をこねたからでしょう。しかし、その巨人も最終的には折れざるを得なくなりました。

 そうなったのは、セ・リーグが上と下から挟み撃ちされたからだと思われます。上からというのは、政府の指導です。
 高木文科相と蓮航節電啓発担当相が、再三にわたって延期を要望していました。これに対して、「開幕はお上(政府)が決めることですか」と不快感を示していたのが、巨人軍の滝鼻オーナーでした。
 下からというのは世論の批判であり、それを受け止めたセ・リーグ選手会の要求です。電力が不足して困っているときに、大量の電力を消費するようなことはやめてもらいたい、ファンを困らせるようなことはしたくないという声が、セ・リーグを動かしたのだと思います。

 結局、3月29日単独開幕というセ・リーグの方針には道理がなかったということです。道理がなければ多くの人に支持されず、反発されるだけです。
 プロ野球も興行ですから、ファンに支えられています。セ・リーグの理事たちはファンの支持がなくなったらプロ野球は成り立たないという当たり前のことを忘れていたのではないでしょうか。
 新聞だって、読者に支えられています。多くの人に購読してもらえなくなったら成り立たないということを、『読売新聞』には思い出してもらいたいものです。

 さらにもう一つ、見逃してならないのは、選手会は単なる親睦団体ではないということです。選手会は労働組合なのです。
 今回、ストライキをやるとは言いませんでしたが、それを行う権利を持っています。それだけでも発言力・交渉力が格段に増大しますし、その点に労働組合の威力があるのです。
 日本プロサッカー選手会(JPFA)が労働組合化することを決めているといいます。プロ野球選手会をお手本に、正式に労働組合化することを急いだ方がよいでしょう。

 それにしても、労組・プロ野球選手会の会長を務める阪神の新井貴浩内野手は良くやりました。セ・パ同時開幕決定の一報を受けて会見を行い、開幕問題で世間を騒がせたことに「ファンの方にはおわび申し上げます」と陳謝したうえで、選手会の意見が認められたことについては「大変、大きな決断をしていただき、選手会の意志を理解していただき感謝しています。12球団の選手会が団結して意志を表示し続けたことが大きかったと思います」と語ったそうです。
 このとき、会見では目に涙浮かべ、声をつまらせていたと報道されています。世論やファンの声と理事会との板挟みになって、苦しい思いをしていたのでしょう。
 1リーグ制移行も視野に入れた球団数削減に反対した2004年の史上初のストライキでの古田選手会長に匹敵する働きでした。古田さんも、ナベツネに「たかが選手」と罵倒されながら、ストライキを成功に導いて要求を実現するなど、プロ野球を守るために立派な働きをしました。

 今回の決定で、昨日のブログで書いた3つの要求(①3月29日セリーグ単独開幕ではなく、4月12日セ・パ同時開催にすべき、②東京電力と東北電力の管内でのナイターは行うべきではない、③計画停電期間中の東京ドームでゲームを開催するべきではない)のうち、いずれも「4月中」という期限付きで実現することになりました。
 しかし、5月以降はどうするのでしょうか。計画停電が続いていたときの巨人軍の対応を見守りたいと思います。

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