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5月3日(火) 対米従属によって犯された3つの大罪 [国際]

 今日は、64回目の憲法記念日に当たります。1947年5月3日に、日本国憲法が施行されたからです。

 この日に当たって、『東京新聞』一面下のコラム「筆洗」は、次のように書いています。

 憲法九条と日米安保条約。戦後日本は、矛盾する二つの原則を共存させながら復興した。米軍基地を沖縄に押し付けて、防衛費を抑えて手に入れた豊かさ。それが経済大国の実像だった▼繁栄の陰に沖縄の犠牲がある。何かにそっくりだ。そう、過疎地に立つ原子力発電所の存在を意識することなく、電気を際限なく使うことに疑問を持たなかった私たちの暮らしぶりと驚くほど似ている(以上、引用終わり)

 似ているのは、安保条約と原発政策だけではありません。もう一つ、農政も付け加えたいと思います。
 今回の帰省でも、畑に変えられた田んぼや耕作が放棄された田んぼを目にしました。これは減反政策の結果です。
 このような形で米作り中心の日本農業の破壊をもたらした農政も、アメリカからの押し付けに唯々諾々と従ってきた結果でした。日米同盟と原発推進、それに農業破壊は、対米従属によって犯された3つの大罪であると言うべきでしょう。
 
 水田の転換は減反政策によるものです。減反は米の需要が低下したからであり、それは日本人の食生活が米食からパン食に変わったからです。
 どうして日本人が米中心の食事ではなくパン食になったのでしょうか。自然にそうなったのではなく、それはアメリカによる強力な働きかけの結果でした。
 その変化は、1950年代中葉に生じます。アメリカが戦地の兵士用に生産した小麦が、朝鮮戦争の停戦によって余ってしまったからです。

 1954年にアメリカは余剰農産物処理法(PL480)を成立させて売り込み先を探しました。その最大のターゲットとなったのが日本です。
 この法律には学校給食に対して無償で食糧援助できるという条項があり、これに乗ったのが財政難に苦しんでいた日本政府です。アメリカ側からの提案で、56年に学校給食に関する取り決めを行い、その原料を全てアメリカからの輸入に頼ることになります。
 そこにアメリカの狙いがありました。給食を通じて日本人の食生活を変えさせ、膨大な余剰農産物の売り込み先を長期にわたって確保しようとしたのです。

 その結果、どうなったでしょうか。穀類や芋類を主食とし、季節の野菜や豆類、海藻類、魚介類を中心とした伝統的な食生活は一変してしまいました。
 朝食にパンを食べる家庭がどんどん増え、今ではパンにコーヒーという「欧米風」の朝食が一般的になりました。その結果、米の消費量が激減し、輸入小麦粉(パン、スパゲティ、ラーメン、ピザなど)、バターやマーガリンなどの油脂類、砂糖を含めたさまざまな甘味料、牛乳・乳製品、肉・食肉加工品などが急速に増えたのです。
 これだけ短期間に食生活が激変した国は、世界広しといえども、そうはないでしょう。私も子ども時代、専業農家として美味いお米を生産していたのに、学校の給食では不味いコッペパンに脱脂粉乳の給食を食べさせられましたが、それは全てアメリカによる差し金だったのです。

 当時、「欧米風の食事の方が栄養があって健康にも良い」と、盛んに宣伝されました。しかしそれは、「クリーンで安全だ」ということで売り込まれた原発とうり二つの大嘘です。
 今では、「健康に良い」ということで、欧米でも和食を愛用する人が増えています。パンにバター、コーヒーや牛乳の食事は、健康に良くない「ジャンクフード」の代名詞になっているほどです。
 このような食事が「ジャンクフード」であるとすれば、原発は「ジャンクエネルギー」でしょう。「ジャンク」というのは、「がらくた」や「屑」という意味ですが、このようなものは、文字通り「がらくた」や「屑」として、一刻も早く葬り去らなければなりません。

 アメリカによって、日本の伝統的な食生活は変えられ、健康は破壊され、農業もまた危機に追い込まれてきました。日本の食糧自給率が40%を割るほどに低下してしまった背景には、このような事情があったのです。
 そして、今や、このようなアメリカによる日本農業の破壊は、環太平洋経済連携協定(TPP)への参加によって最終的な局面を迎えようとしています。この協定が締結されて日本の農業が壊滅すれば、54年の余剰農産物処理法(PL480)が目指した目的は完全に達成され、アメリカ農産物の輸出先は未来永劫、確実に保障されることになるでしょう。

 でも、そのとき、日本人の食と健康はどうなるのでしょうか。国家としての自立を維持できるのでしょうか。
 アメリカによって押し付けられた原発と同様、「想定外」の危機に直面して「こんな筈ではなかった」と、ほぞを噛むことになるのではないでしょうか。

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