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5月27日(金) 連合は原発推進政策を凍結するだけでは不十分だ [労働組合]

 昨日の『朝日新聞』夕刊に、次のような記事が出ていました。「連合、原発推進方針を凍結 昨夏決めたばかりですが」という表題が付いています。

 連合(古賀伸明会長)は東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて原発推進政策を凍結し、新規立地・増設を「着実に進める」としてきた方針を見直す。26日午後の中央執行委員会で決定する。民主党の有力な支持団体だけに、民主党政権のエネルギー政策に影響するのは必至だ。
 連合は中央執行委に提出する文書で、原子力エネルギー政策について「より高度な安全確保体制の確立、地域住民の理解・合意という前提条件が確保され難い状況に鑑み、凍結する」と明記し、原発政策の総点検・見直しに着手する方針を打ち出す。新増設推進の姿勢を改め、当面は政府のエネルギー政策見直しの行方を見守る姿勢に転じる。
 連合は昨年8月、傘下の労組間で意見が割れていた原発政策について、初めて「推進」を明確に打ち出したばかりだった。(以上、引用終わり)

 ここで指摘されている「昨年8月」の政策転換については、5月20日付のブログ「連合は脱原発へと明確にエネルギー政策を転換するべきだ」で紹介しました。昨年の8月19日に連合第11回中央執行委員会で採択された「エネルギー政策に対する連合の考え方」のことです。
 このときのブログでも書きましたが、原発推進政策の「凍結」は当然です。しかし、それだけでは不十分です。
 更に歩を進める必要があります。原子力発電に依存する社会のあり方やエネルギー政策からの転換を明確に打ち出し、連合もそのためにイニシアチブを発揮すべきでしょう。

 連合の傘下には電力総連があり、そこには電力会社で働く人々が沢山います。だから、電力総連は職場を守るためとして原発推進政策を掲げてきたわけです。
 しかし、原子力発電所ばかりが電力労働者の働く場ではありません。再生可能な自然エネルギーによる発電が拡大していけば、そこもまた電力会社の職場となることでしょう。
 それに、原発の職場は、常に放射能による被曝の危険と隣り合わせです。そのような危険に満ちた労働から働く人々を守ることも、労働組合としての当然の役割ではないでしょうか。

 つまり、原発で働く人々の安全と健康を守るために、本来、労働組合こそが大きな役割を果たすべきだったということになるでしょう。電力総連や連合などは、労働者を危険にさらす原発の推進ではなく、脱原発こそ先頭になって訴えるべき立場にあったはずです。
 それが、原発推進の立場に立ってしまいました。大きな間違いを犯したというわけです。
 できるだけ早く、そのような間違いを是正しなければなりません。今もなお、福島第1原発の放射能漏れの防止と沈静化のために必至で働いている人々を守り、二度と再び、このような危険な作業が必要とされないようにするために、連合も、電労総連や電機連合などの労働組合も力を尽くすべきでしょう。

 これを機会に、連合はアンチ・ニュークリア(非核・脱原発)国家を目指して働き方を変えるところまで構想しなければなりません。核兵器の開発に反対し、原子力発電への依存から脱却する方向を明確にするべきです。
 省エネルギー社会を実現し、ワークシェアリングによって労働時間の短縮を図り、過労死のないディーセント・ワークに支えられた新しい社会を目指すべきです。このようにして人間らしい労働と生活を実現することこそ、「福島の教訓」を踏まえた労働組合の使命であることを自覚していただきたいものです。

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