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6月27日(月) 「原発は環境に優しい」というのは事実を無視した弁護論であり無知から生じた誤解だ [原発]

 今回は、24日のブログからの続きです。「発電に使用されているのは原発によって発生する熱量の3分の1にすぎず、残りは温排水として海水の温度を上げ、地球温暖化を促進している」という点について、説明することにしましょう。

 これは、温暖化効果ガス(CO2)を出さないから、地球温暖化防止に効果があるという原発に対する弁護論、ないしは誤解に対する反論です。
 そもそも、地球の温暖化に対してCO2が主要因であるのか、どれほどの寄与をしているのかについては、色々と議論のあることころです。私はこれについては専門的な知見を持たず、おそらく原因の一つではあり、CO2の排出を抑えることは地球温暖化防止にそれなりの効果があるだろうと考えている程度です。
 それを前提にすれば、ここで指摘するべきは、第1に原発は発電時以外にCO2を出していること、第2にCO2を排出するという間接的な方法ではなく、海を温めるという直接的な方法で、地球の温暖化を促進しているということです。

前回にも書いたように、原発の原料はウラン燃料であり、それは鉱石から精製されなければなりません。この生成の過程で、CO2が排出されます。
 このウラン燃料は国内で供給されず、海外から輸入されます。オーストラリアなどから海を渡ってくる過程でもCO2が出ます。
 また、ひとたび事故が起きれば、火力発電所などによる代替電力の供給が必要になりますから、ここでもCO2の排出量が増えます。そして、原子力発電所に事故は付きもので、度々、稼働停止になってきたことは私たちの良く知るところです。

 しかし、原発が抱える独自の問題はCO2の排出という点以外の所にあります。CO2を出さなくても地球を温めているからです。
 それは、原子力による発電という仕組み自体が持っている問題点でもあります。ウラン燃料による核融合反応によって高熱を発生させ、高温の水蒸気でタービンを回転して発電するのが原発だからです。
 このタービンを回すために発生した蒸気を冷却する時、大量の海水を使用するため、発電所は海岸近くに建設されます。当然、排出される海水は蒸気の熱で温度が上昇しますが、この温まった海水が「温排水」です。

 このように、原子力による発電は必ず熱を生みます。しかし、その全量が発電に利用されているわけではありません。
 原子力発電の熱効率は33~35%程度ですから、3分の1ほどしか利用されていないのです。後はどうしているかといえば、日本の原発は全て水冷式ですから大量の温排水が排出され、一部は、魚や貝などの養殖、道路の融雪、建物などの暖房、植物類栽培の温室などに利用されますが、ほとんどはそのまま海に流されます。
 この温排水は7度以下と制限され、取水口と排出口はできるだけ離されることになっています。しかし、繰り返し取水され、温められて排水されれば周辺の海水温は次第に上昇して生態系にも微妙な影響を及ぼし、巨大化や(放射能汚染はないとされていますが)奇形魚の噂なども絶えませんでした。

 このように、日本の原発は、発生される熱量の3分の2を用いて、せっせと周りの海を温めているのです。これを温暖化と言わずして何と言ったらよいのでしょうか。
 CO2による温暖化効果には議論の余地もありそうですが、原発の温暖化効果には議論の余地はありません。最低でも、周辺の海水温を7度上昇させているという事実があるからです。
 しかも、前回説明したように、原発は事故を起こさなくても放射能被ばくを前提とした「悪魔の施設」でした。温暖化よりも放射能汚染の方がずっと環境破壊につながることは明らかでしょう。

 「原発は環境に優しい」などということが、どうして言えるのでしょうか。それは事実を無視した弁護論であり、無知から生じた誤解にほかならないものです。

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