SSブログ

7月8日(金) 九電「やらせメール」は誰の指示だったのか [原発]

やっぱり、課長級の社員が勝手にやったものではありませんでした。九電「やらせメール」の発信です。

 もともと、メールの形式や内容からして「私信」でないことは明らかでした。企業社会の常識からして、個人としての社員が「国主催の佐賀県民向け説明会へのネット参加について」という表題で「協力会社本店 各位」に宛てて、勝手にメールを出すなどということはあり得ませんから……。
 もっと上位の誰かからの指示でメールを出させられたことは、当初からはっきりしていました。「そんなことをするのは、まずいんじゃやないか」と思っていても拒否できません。
 中間管理職である課長の辛いところです。その課長に指示できるとすれば、その上の部長か、さらにその上の役職者ということになります。

 そして、今日、一斉に、それが誰であるかが報道されました。九電の原発担当の元副社長や原子力発電本部長だった元常務だそうです。
 この2人は、すでに6月一杯で退職しているそうですが、その責任は免れません。もちろん、原子力部門トップ2の指示があった事実が明らかになったのですから、真部利応社長の責任も免れず、辞任は避けられないでしょう。
 昨日の『朝日新聞』の「天声人語」では、「やらせメール」を「サクラメール」と呼んでいました。これで社長辞任となれば、「サクラメール」で「桜散る」ということになります。

 ところで、この「やらせメール事件」の背後関係はこれで解明されたのかという疑問が残ります。ここで、一連の流れを振り返っておきましょう。
 この事件の発端は、6月18日に海江田経産相が「運転停止中の原発の再稼働は可能」との見解を表明したところにありました。21日には、玄海原発について住民の参加を限定した国の説明会の計画は「身勝手なやり方だ」として市民グループが県に抗議しています。
 そして、その翌日(22日)に、問題のメールが送られていたのです。番組形式の説明会が開かれたのは6月26日で、その3日後の29日、海江田経産相は福島原発の事故後初めて佐賀県の玄海町を訪問し、安全性を説明したうえで、町長に直接、原発の再稼働を要請しています。

 つまり、停止中の原発の再稼働方針は経産省が打ち出したもので、その突破口として狙われたのが玄海原発だったのです。番組形式の説明会の主催者も県ではなく経産省であり、説明したのも県の役人ではなく経産省の下にある原子力安全・保安院の担当者でした。
 この説明会で玄海原発の再稼働について、反対ではなく賛成の方向が強まることを最も願っていたのは、一体、誰なのでしょうか。それは九電よりも、むしろ経産省の方だったのではないでしょうか。
 九電の元副社長や元常務は「よろしく頼む」などと部下に伝えたと報じられていますが、この言葉はさらに別の方から伝えられていたということはなかったのでしょうか。東の東京・霞が関の方向から……。

 菅首相のストレステスト実施の指示によって海江田経産相は「はしご」を外されたと言われています。それ以上に「はしご」を外されたのは、停止中の原発の稼働再開を急いでいた経産省であり原子力安全・保安院だったように思われます。
 今回の「やらせメール事件」の背後に、果たしてこれらの勢力の画策はなかったのでしょうか。「やらせメール」をやらせたのは、一体、誰の指示だったのか、九電社内に限らず、とことん追及してもらいたいものです。
nice!(1)  トラックバック(0) 

nice! 1

トラックバック 0