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8月6日(土) 佐賀県知事の「やらせメール」指示メモを入手した『AERA』のスクープ [原発]

 とうとう出ましたね。佐賀県知事の「やらせメール」指示メモの内容です。

 今日は戦後66年のヒロシマ原爆の日です。原爆と原発という同じ核のあり方とその被害を問う特ダネだと言うべきでしょうか。
 このメモを入手して掲載しているのは、朝日新聞が出す月刊誌『AERA』です。今日の『朝日新聞』に、その宣伝が出ていました。
 「スクープ 佐賀『知事がやらせ指示』メモ入手」「九電3人組との秘密会合『全記録』と知事要請メールを入手」というのが、その見出しです。中味は、『AERA』をご購読いただきたいと思います。

 と、言いたいところですが、実は、その中味の一部が今日の『朝日新聞』夕刊に出ていました。新聞で報ずるだけのニュース・バリューがあると判断されたのでしょう。
 その記事の見出しは「原発再開へ『首相がリスク』 佐賀知事発言、九電メモに」というものです。記事には、次のように書かれています。

 メモによると、古川知事は停止中の玄海原発2、3号機を再開するため「(県議会の)議員への働きかけをするよう支持者にお願いしてほしい」と要請した。
 さらに「危惧される国サイドのリスクは『菅総理』の言動だ」と指摘した上で、「発電再開に向けて総理自身のメッセージが発せられない。首相の言動で考えているスケジュールが遅れることを心配している」としている。(以上、引用終わり)

 このメモについては、「九電側はメモ内容と実際の知事発言は異なるとしているが、メモが事実なら知事は政治的に厳しい状況に追い込まれる」と、書かれています。そりゃ、話した言葉通りではなく多少の違いがあるかもしれませんが、話してもいないことを聞いた側がメモするなどということはありえません。
 そんなことをしたら、発言をねつ造したことになってしまいます。メモを作成した九電幹部3人は知事を陥れるために嘘を書いたということになりかねません。
 もし、古川知事が「そんなことは言っていない。メモはデタラメだ」というのであれば、裁判にでも訴えて法廷で白黒をつけるべきです。それができないというのであれば、やはりメモは本物だということになります。

 そもそも古川知事は、俗に言う「九電一家」の一員で、中立的な第三者ではありません。お父さんは九州電力の社員で、玄海原子力発電所のPR館の館長だった人です。
 古川知事本人も、「古川康後援会」や資金管理団体「康友会」に知事就任2年後の05年から毎年、玄海原発所長、佐賀支店長現副社長(元佐賀支店長)などから累計で約50万円の政治献金を受けていました。役職が交代したときに引き継がれていますから、個人献金の形を取った事実上の企業献金です。
 つまり、古川知事は九電の「身内」で、本人の気持ちとしては、できるだけ早く玄海原発を再稼働させたいと思っていたわけです。その気持ちが、「(県議会の)議員への働きかけをするよう支持者にお願いしてほしい」「危惧される国サイドのリスクは『菅総理』の言動だ」「発電再開に向けて総理自身のメッセージが発せられない。首相の言動で考えているスケジュールが遅れることを心配している」などの発言から、はっきりとうかがい知ることができます。

 これらの発言が、県政を預かる知事としての公正・公平な立場を逸脱していることは明らかでしょう。先に表面化した「やらせメール」指示に加えて、このような発言を行っていたとすれば、新聞記事が指摘するように、「知事は政治的に厳しい状況に追い込まれる」のは当然です。
 しかし、これは佐賀県知事と九電との特別な例ではありません。このような自治体の首長と電力会社との癒着や腐れ縁は、多かれ少なかれ、どこにでもあったのではないでしょうか。
 つい最近も、九電が川内原発3号機の増設を申し入れていたとき、福岡市で上演されたミュージカル「ミス・サイゴン」の観劇券2枚を伊藤祐一郎鹿児島県知事に無償で提供していたこと、これは知事の側から求めたもので知事は夫妻で観劇していたことなどが発覚しています。知事は「増設のことは頭の中に何もなかった。まずいという意識は全くない」と話しているそうですが、「まずい」と思わない方が問題なので、それほどに癒着関係が日常化していたということになります。

 なお、この『AERA』8月15日号の宣伝の横に、小さく、『法政大学 by AERA』の広告も出ていました。これは、法政大学を特集した別冊号です。
 この号には、大原社会問題研究所も取材され、2頁分の記述があります。クーゲルマンへの献辞の入ったマルクス署名入り『資本論』の初版本など、ほとんどが研究所秘蔵の「お宝」の写真ですが、記事の中には私のインタビューも登場しています。
 定価780円(税込)で、現在発売中です。近くの書店などで目にとまるようなことがありましたら、お買い求めいただければ幸いです。

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