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9月11日(日) 融和・協調最優先の「政局内閣」の弱点を示した鉢呂経産相の辞任 [内閣]

 野田首相は舌打ちをしていることでしょう。最も警戒していた失言が、鉢呂さんの口から飛び出してしまったのですから。

 鉢呂吉雄経済産業相は昨日の夜、衆院議員宿舎で野田佳彦首相と会い、辞任を申し出て了承されました。東京電力福島第一原発の周辺自治体を「死のまち」と表現し、福島視察後に記者団に「放射能をつけちゃうぞ」などと語ったことの責任をとったわけです。
 内閣発足から9日目で、原子力行政を所管する閣僚が辞任する事態になりました。野田首相の任命責任が問われるのは当然で、厳しい政権運営を迫られることになるでしょう。
 それにしても、何という子供っぽい失敗でしょうか。新聞で「舞い上がり失言」だとのコメントを見かけましたが、まさにその通りでしょう。

 自民党の場合には、確信犯的な失言がありました。民主党の場合には、大臣になったうれしさのあまり舞い上がってしまい、立場をわきまえず言ってはならないことを言ってしまう失言が目立つような気がします。
 政権運営についての不慣れといってしまえばそれまでですが、ここにもきちんとした背景があるように思われます。
 一つは、選挙互助会としての性格が強い民主党のあり方です。もう一つは、適材適所についての配慮よりも、党内融和・野党協調を最優先した今回の組閣のあり方です。

 前者については、小選挙区制の悪影響の一つとして指摘した点です。9月7日のブログ「政治改革の失敗によって自縄自縛となった日本政治」で、私は「民主党には、小選挙区で現職に対抗して立候補するために加わったような人が少なくありません。1人しか当選できない小選挙区制では現職以外の政党を選ぶ必要があり、野党時代の民主党はそのための選挙互助会でしたから、理念・政策が二の次となるのも当然でしょう」と書きました。
 鉢呂さんがそのような人であったかどうかは分かりませんが、選挙で当選したい、大臣になりたいと思い続けてきた人が民主党に多いことは事実でしょう。その分、願いがかなった時の喜びは大きく、思わず「舞い上がって」しまう人も出てくるというわけです。
 今回の鉢呂さんや前回の失言で復興担当相を辞任した松本さんなどが、その例なのではないでしょうか。思わず漏らしてしまった配慮のない発言が命取りになったわけです。

 本来であれば、このような人を大臣に据えるべきではなかったでしょう。それが実現してしまったのは、もう一つの事情によります。
 大臣としての適格性よりも、党内融和のために出身グループへの配慮を優先させたからです。この点で、野田首相の任命責任が問われるのは当然でしょう。
 私は9月3日のブログ「党内融和・対野党協調最優先の「政局内閣」」で、「党内融和のために、大臣としての適性よりも所属グループへの配慮を優先させたからです。そのために、新入閣が10人にもなり、外務、財務、経産、官房長官などの重要閣僚にも、これらの未経験者を起用することになりました」と書きました。このとき、すでに鉢呂経産相への危惧を表明していたわけですが、その他の外務、財務、官房長官は大丈夫なのでしょうか。

 それにしても、脱原発依存政策からの転換を表明した菅前首相、いずれは原発はなくなると言っていた鉢呂前経産相など、原発推進政策に反対または消極的な首相や大臣の辞任が相次いでいます。これは偶然なのでしょうか。
 せめて、野田首相には、きちんと適材を見極め、経産省の操り人形にならず脱原発依存政策を貫けるような人材を後任に据えてもらいたいものです。間違っても、前原さんのように、アメリカや財界におもねるような確信犯的な暴言を吐くような人を選ばないように気をつけてくださいよ。

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