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3月2日(金) 野田首相と谷垣自民党総裁の極秘会談をどう見るか [政局]

 とうとう、3月に入ってしまいました。春、間近というのに、法政大学の多摩キャンパスは、先日降った雪で今も真っ白です。

 このところ、『日本労働年鑑』の原稿集めと編集に忙殺されて、ブログに書く余裕がありませんでした。ご無沙汰してしまい、申し訳ありません。
 お陰様で、2月中に集めるべき原稿は全て揃い、編集作業は順調に進んでいます。執筆などでご協力いただいた皆様に、この場を借りてお礼申し上げます。
 とはいえ、まだ、原稿を読んで調整したり、手を入れたりする作業が残っています。最終的には私が全て目を通して手を入れますので、しばらくの間、繁忙期は続きます。

 ところで、この間も日本の政治はどんどん悪くなっているように見えます。西に「思想調査」に執念を燃やす市長がいれば、東には「憲法破棄」を叫ぶ都知事がおり、その間には「南京虐殺はなかった」と断言する市長まで登場しました。
 地獄のふたが開いたということでしょうか。それとも、大阪での「橋下人気」に便乗して、この際だから言いたいことを言おうということなのでしょうか。
 「橋下ブーム」を生み出した大阪の人は、「どつき漫才」を見ているような気持ちで面白がっているのかもしれません。でも、そのうち、「どつかれて」いるのは自分たち自身だということに気づかされるにちがいありません。

 野田首相と谷垣自民党総裁の極秘会談という珍事もありました。両者ともに否定していますが、否定しなければならないようなことを、どうしてするのでしょうか。
 これも、小選挙区制の害悪の現れの一つで、2大政党の政策的接近という背景があります。しかも、野田首相が最大の課題としている消費増税では違いがなく、その他の政策でも民主党は自民党に急接近しています。
 民主党が掲げていた「政治主導」は破綻し、旧自民党時代の「官僚主導」に戻りつつあるからです。「王政復古」ならぬ「官政復古」によって民主党も自民党も同じ方向をめざすことになり、それを確認するための極秘会談だったということでしょう。

 しかし、このような2大政党の接近は、大きなジレンマを抱えています。小選挙区制ですから、選挙になれば互いに当選を競わなければならないからです。
 民主・自民の両党内からの反発が強まっているのは、消費増税への反対論とともに、このような選挙での不安があるからです。とりわけ、、「敗北必死」とされている民主党にとっては、総選挙が早まることは到底認められないでしょう。
 会談をどちらが呼びかけたのかは不明ですが、谷垣さんが投げたエサに野田「どじょう」が食らいついてしまったのかもしれません。もしそうなら、美味しそうなエサを投げて魚を釣り上げようという野田さんのやり方を、谷垣さんに真似されてしまったことになります。

 というのは、公務員の給与削減問題で、野田さんはこのようなやり方を取ったからです。多分、消費増税問題でも、同じようなやり方が取られるでしょう。
 公務員の給与削減は連合系の組合まで受け入れ、共産党以外の政党が賛成して改正法が成立しました。労働基本権の付与をエサにして給与削減を呑ませ、結局、削減だけを実現させたわけです。
 同様に、消費増税も、社会保障の改革をエサに呑ませ、結局、増税だけを実現しようとしているわけです。「一体改革」とは言っても先ず出てくるのは消費増税法案で、社会保障改革関連法案は、その後、順次に出すというのですから。

 いつまで、見え透いた手口に騙され続けるのでしょうか。原発の「安全神話」に騙されてきたことへの反省が迫られたばかりだというのに……。
 政権が交代すれば全てが上手くいくという「政権交代神話」、米軍基地がなければ安全は保たれないという「抑止力神話」、財政再建や福祉の充実には消費増税しかないという「消費増税神話」などなど、国民を騙す神話はまだまだその辺に転がっています。
 神話は、そう信じられているというだけで、真実ではありません。「神の国」の物語に惑わされることなく、人々が実際に暮らすこの「地上の国」をどうするのか、もっと真剣に考えるべき時に来ているのではないでしょうか。

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