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4月3日(火) 社会保障改革のための増税は所得の再分配に役立つものでなければならない [消費税]

 「成長と財政再建で大連携を」
 このような表題の下に、『日経新聞』4月2日付で岡部直昭客員コラムニストは、またも「政府、与野党、そして日銀は脱デフレの名目成長目標を共有し、地球規模の成長戦略と財政再建で大連携するときである」と主張しています。だから、消費増税を、というわけです。
 昨日のブログで指摘した「将来へのツケを減らすための消費増税」というペテンの典型だと言ってよいでしょう。

 消費増税は財政再建を目的としたものではなく、社会保障改革のための財源を賄うためだとされているからです。しかも、長期にわたるデフレの下、阪神大震災で打ちひしがれ、復興増税の負担を強いられ、TPPによって外国からの攻勢にさらされようとしているこの時、消費増税は中・長期的には景気の悪化を招く可能性の方が大きく、税収増ではなくさらに財政を悪化させるにちがいありません。
 そのうえ、消費税の税率アップによる社会保障改革については、「そもそも社会保障の財源に充てるために消費税を引き上げるのが適切なのか」という大きな論点があります。これは、『東京新聞』4月1日付の社説「なぜ消費税引き上げなのか」が提起している問題でもあります。
 この社説は、「増税分を社会保障に回すのはもっともらしく見えます」としながら、次のように反論しています。

 「しかし、社会保障が『政府の所得配分』機能そのものである点を踏まえれば、その財源も所得再配分にふさわしい税目によって賄われた方が望ましい。それは所得税や法人税です。
 高所得者により重い負担を求める累進構造を備えた所得税や利益を出した法人に課す法人税を財源に、政府が弱者への安全網を整える。それこそが所得再配分、すなわち社会保障の原理原則であるからです。」

 所得の再分配によって社会の平等化を図ることは、社会保障のみならず、政府による施策全体に貫かれるべき理念でしょう。まして、社会保障においておや、というわけです。
 とりわけ、新自由主義政策と規制緩和によって貧困化と格差の拡大が大きな社会問題となっている今日の日本において、これらの問題こそが解決されるべき最大の課題になっています。税と社会保障の一体改革もまた、その解決に資するものでなければなりません。
 逆進性のある消費税の増税は低所得者の税負担を増大させ、貧困化をさらに進め、格差をいっそう拡大させることになるでしょう。そのような「一体改革」は「改革」の名に値しません。

 『東京新聞』の社説が主張するように、「高所得者により重い負担を求める累進構造を備えた所得税や利益を出した法人に課す法人税」によってこそ、貧困化の是正と格差の縮小を図ることができます。この点でも、消費増税は理念なき逆立ち増税だと言わなければならないでしょう。

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