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4月24日(火) 「政治改革」を焚きつけたマスコミの責任も小さくない [選挙]

昨日のブログで、小選挙区比例代表成立制の推進論者の責任ということで、政治改革の旗を振った学者を批判しました。しかし、その責任を問われなければならないのは、「原子力ムラ」と同様に「政治改革ムラ」とも言うべきサークルです。
 政治家・政党・学者に加えて、マスコミと財界が、この「ムラ」の住人です。特に、マスコミが問われるべき責任は学者に勝るとも劣りません。

 過った「政治改革」において、マスコミの中でも特に新聞の役割と責任には大きなものがありました。日本の新聞は、戦前において侵略戦争を支持し、60年安保闘争では「7社共同宣言」によって闘争に冷や水を浴びせ、政治改革では小選挙区制導入の推進力となり、新自由主義的な構造改革でも規制緩和の旗を振り、今また税と社会保障の一体改革で消費増税を焚きつけています。
 とりわけ、政治改革での役割は、犯罪的とも言えるほどです。小選挙区比例代表並立制の導入に直接関わっていたのですから。

 「政治改革」の名で小選挙区制導入のさきがけとなったのは、89年6月に発足した第8次選挙制度審議会でした。この審議会が90年に海部内閣に答申したのが、小選挙区比例代表並立制です。
審議会の会長には小林与三次読売新聞社長が就任し、27人の委員人中11人が読売、朝日、毎日、日経、産経、NHK、テレビ東京など大手メディアの関係者でした。しかも、日本新聞協会の会長、各新聞社の社長、論説委員長、解説委員など、社説などを通じて世論の形成に大きな影響を与えることができる立場の人ばかりです。
 それは、竹下首相が世論対策を重視したからにほかなりません。竹下さんの狙い通り、田中首相が小選挙区制導入を意図した73年にはいっせいに反対したマスコミは、政治改革では小選挙区制導入を推進する側に回ってしまいました。

 マスコミが展開したキャンペーンの先頭に立ったのは、8次審に会長を送り込んだ『読売新聞』です。たとえば、「社説」で「『政治改革』の先送りは許されない」(1994年1月14日付)、「『改革』実現へ活路を求めよ」(1月22付)、「妥協し『政治改革』を決着させよ」(1月27日付)などと焚きつけました。
 また、与野党の合意に当たっては「合意の意義と成果を評価したい。……戦後の政治史に大きな一歩をしるす改革と言える。……小選挙区比例代表並立制の導入が決まった以上、政治は変革を余儀なくされるだろう」(社説「政治改革を実らせるために」1月30日付)と手放しで評価し、期待を表明していました。
 確かに、政治は変わりました。良くなる方にではなく、悪くなる方に。

 その意味で、政治改革は「戦後の政治史に大きな一歩をしるす」ものとなりました。その結果、政治は劣化と閉塞状況に向けて「変革を余儀なくされ」たことになります。
 『読売新聞』は、この過去をどう総括しているのでしょうか。「政治改革」の美辞麗句によって国民を欺き、日本の政治をぶっ壊してしまった罪を自覚しているのでしょうか。


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