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7月1日(日) 本来出て行くべきは小沢ではなく民主党を裏切った野田ではないのか [政局]

 一昨日の『毎日新聞』6月29日付に緊急全国世論調査の結果が出ていました。6月27~28日に実施されたものです。
 この調査の結果は誠に興味深いもので、民意はアンビバレント(両義的)な状況を示しています。端的に言えば、消費増税法案の成立をめざす野田内閣の行動も、それに反対して造反した小沢グループの対応も、ともに支持されていないということです。

 主な調査結果は次のようになっています。

野田内閣を支持しない     53%
消費増税法案の成立を望まない 63%
小沢の行動を支持しない    71%
消費増税への造反は処分すべき 57%

 最初の2つの設問への回答は、野田内閣に対して厳しいものです。これだけ苦労して消費増税法案を衆院で通過させたのに、国民はそれを評価せず、今国会で成立させるべきではないというわけです。
 もう一つ、野田首相が行った次のような決断に対しても、民意は賛成していません。

大飯原発の再稼働方針を支持しない 51%

 つまり、消費増税法案の衆院通過と大飯原発の再稼働という野田首相が行った重大な政治決断は、いずれも国民によって支持されていず、民意に反するものだったということになります。

 それでは、このような民意に添っていた小沢さんの行動は支持されたのでしょうか。後の二つの設問への回答を見れば、必ずしもそうなってはいません。
 7割の人が小沢さんの行動に反対し、6割近くの人が厳しい処分を求めています。実は、共同通信社も世論調査(6月26~27日実施)を行っていて、そこでも小沢さんらの行動を理解できないが59.8%、小沢新党に期待せずが79.6%という結果が出ています。
 しかし、共同通信調査の政党支持率では、民主17.1%、自民22.1%、衆院選比例代表での投票予定では、大阪維新の会12.9%となっており、これと小沢新党に期待する15.9%を比べれば、それほど低いわけではないという見方もできます。とはいえ、論理的に考えれば、野田さんへの反対は小沢さんへの賛成になるはずなのに、必ずしもそうなってはいません。

 その理由の第1は、小沢さん自身にあります。「陸山会事件」や政治資金集めをめぐる疑惑、政党解散に伴う不明朗な会計処理など、「金権腐敗」政治にどっぷり浸かった「ダーティー小沢」としての印象が強く焼き付いているからです。
 第2に、新党を作っては壊してきたこれまでの政治経歴の問題もあります。新党結成といっても、国民にとっては「またか」と受け取られていることでしょう。
 これまで、何度も同じような光景を見せられ、新党に期待をかけてはそれをぶっつぶす形で期待を裏切ってきたからです。今回もまた、「消費増税法案への反対」という「大義」の旗を掲げているとはいえ、中途で裏切られるのではないかという警戒感が先に立つのでしょう。
 第3に、このような国民の印象や警戒感を払拭するための努力を、小沢さん自身、あまり行ってこなかったという問題があります。「口べたで説明不足」という小沢さんの弱点が、ここでも災いしているということになります。
 政治資金にまつわる疑惑や不実記載について、国会での釈明や国民への説明はほとんどなされませんでした。消費増税についても、それに代わる財源や社会保障の将来構想については、「国民生活が第一。」と繰り返すだけで、具体的なビジョンや提案が示されたわけではありません。

 しかも、第4に、このような弱点を増幅するような形での集中砲火を、検察やマスコミから浴びせられてきました。検察審査会による強制起訴の背後にはねつ造された調書があり、裁判での証拠にも検察によって偽造されたものが含まれていました。
 最近も妻・和子さんが支援者に宛てて書いたとされる手紙が『週刊文春』で公開されるなどマスコミのほとんどは「反小沢」で、とりわけ大手の新聞は小沢さんを厳しく批判してきました。それと異なった論陣を張っているのは、夕刊紙の『日刊ゲンダイ』くらいしかありません。
 マスコミは、連日、消費増税を煽り立て、それに反対する小沢グループを「悪役」に仕立ててきました。だから、私はこれを「マスコミ」ではなく「マスゴミ」、つまり「大量のゴミ」だというわけですが、このような情報にさらされ続けてきた民意が、矛盾するような形で歪んでしまうのもやむを得ないと言うべきでしょう。

 そもそも、消費増税に反対した小沢グループの行動を「造反」というのは間違っています。「造反」したのは、野田さんなど民主党の執行部の方だからです。
 政権交代を実現した09年の総選挙で、民主党は自民党政治を転換することを掲げ、「消費税は4年間上げない」と約束しました。この約束を破って自民党と公明党に擦り寄り、上げないと言っていた消費税を増税しようとしているのは野田さんで、政権交代に際しての約束を守ったのは小沢さんの方ではありませんか。
 民主党のマニフェストを尊重し、基本政策を守ろうとしているのが小沢さんで、自民党に屈して民主党を明け渡してしまったのが野田さんです。したがって、あるべき民主党に「造反」したのは野田さんであり、本来、民主党から出て行くべきは、小沢さんではなく野田さんの方ではないでしょうか。

 しかも、世論調査によって示された民意は消費増税法案の成立を望まず、大飯原発の再稼働にも反対しています。このような民意からすれば、それに反した行動をとり続けている野田首相こそが、厳正に処分され、民主党を追い出されるべきでしょう。

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