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8月4日(土) 内閣不信任案提出で「踏み絵」を踏まされる自民党と公明党 [政党]

 参院での消費増税法案の採決前に、野田内閣不信任案が提出されることは確実になりました。野田内閣は「まな板の鯉」になるわけですが、それと同時に「踏み絵」を踏まされる自民党と公明党はどう対応するのでしょうか。

 昨日の午後、共産党や新党「国民の生活が第一」など野党7党は国会内で党首会談を開き、消費増税関連法案の成立を阻止するため、参院での法案採決前に野田内閣に対する不信任決議案を提出する方針で一致しました。提出時期は幹事長・書記局長レベルで詰めるということですが、参院特別委員会の中央公聴会が終わる7日にも共同提出する方向で調整が進む見通しです。
 これに対して、野田佳彦首相は民主党の輿石東幹事長と首相官邸で会談し、消費増税関連法案について10日の参院採決を目指すよう指示しました。党執行部側は20日以降の採決方針を示していましたが、お盆前採決を求めた自民党側は強く反発しており、自公両党の不信任案への同調を回避するために採決日程での譲歩が必要と判断したようです。
 この指示に基づいて、民主党の城島光力国対委員長は自民党の岸田文雄国対委員長と会談し、特例公債法案などへの協力を条件に消費増税法案の採決を10日とすることを提案しましたが、岸田国対委員長は条件付きに難色を示し、回答を留保しました。

 内閣不信任案の提出は、消費増税法案の成立をめざす野田首相にとって大きな「壁」となるでしょう。それとともに、3党合意によって「同じ船」に乗った自民党と公明党にとっても、対応に苦慮する「踏み絵」を意味します。
 もし、不信任案に賛成すれば3党合意は雲散霧消し、消費増税法案の成立は不可能になります。もともと、消費税10%への引き上げは自民党の案ですから、これまでの苦労が水の泡となります。
 もし、不信任案に反対すれば3党合意は守られ、消費増税法案は成立します。しかし、自民党と公明党は、反対できるのでしょうか。

 第1に、不信任案に反対した場合、解散・総選挙は遠のきます。同一国会での「一事不再議」のルールがあるため、消費増税法案採択後に不信任案を出すことができなくなるからです。
 第2に、一年以内に任期満了を迎えて実施される総選挙において、民主党と共に自公両党は消費増税の共同責任を問われ、「火の粉」を浴びることになります。とりわけ、支持者に消費増税反対論が多い公明党は、このような「火の粉」を振り払うことができるのでしょうか。
 第3に、不信任案の採決に際して、内部からの造反が生じて分裂状態に陥る危険性があります。3党合意を破棄して否決し、今国会で野田政権を衆院解散に追い込むべきだとする緊急声明を出した小泉進次郎青年局長ら自民党の中堅・若手の衆院議員は不信任案に賛成するかもしれません。

 こうして、民主党だけでなく、自民党と公明党もまた、苦境に立たされることになりました。それも当然でしょう。
 参院での審議において、3党合意のデタラメさが明らかになり、消費増税は、「社会保障と税の一体改革」ではなく、「公共事業と税の一体改革」のためであることがはっきりしてきたからです。
 今も、世論の半数以上は消費増税関連法案の成立を望まず、強い反対運動が展開されています。そこに、タイミング良く提起されたのが、今回の共産・社民・みんな3党のイニシアチブによる野田内閣不信任案でした。

 今日と明日、国会議員は選挙区に帰るでしょう。Eメールや電話などで議員個人に働きかけたり、地元の個人事務所に要請に赴いたりすることが効果的ではないでしょうか。
 民衆による意思表示は、何も首相官邸前や国会周辺でなければならないということはありません。選挙区の地元で個々の国会議員に働きかけることも、民衆運動の一つの形であると言うべきでしょう。
 下から政治を動かしていく好機でもあります。その大きなチャンスが、今、訪れました。

 消費増税関連法案の成否をめぐって、激しい攻防が展開されようとしています。それは「日本の暑い夏」として、後世の歴史に記録されるかもしれません。


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