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8月8日(水) 民自公3党は消費増税法案の成立と「近いうちに」解散・総選挙を行うことで合意した [政局]

 注目されていた民自公3党の動向ですが、今日一日の折衝を通じて決着したようです。消費増税法案を成立させ、「近いうちに」解散・総選挙を行うということで……。

 野田佳彦首相は今日の夜、自民党の谷垣禎一総裁、公明党の山口那津男代表と国会内で会談し、消費増税を柱とする税と社会保障の一体改革関連法案について「3党合意を踏まえて早期に成立を期す。成立した暁には近いうちに国民に信を問う」ことで合意しました。
 自民党は法案成立に協力する条件として衆院の解散・総選挙の確約を求めていました。これについて首相は、「近いうちに」が指す時期については明言せず、「首相として解散時期を明示することは控えなければならない」と語りました。
 これで、野党6党が提出した内閣不信任案と問責決議案の否決、一体改革関連法案の成立が確実になりました。しかし、これらの採決に当たって、民主党内から造反が生まれる可能性が高く、分裂劇が再演される可能性があります。

 しかも、ここで合意された「近いうちに」とはいつのことなのか。この点が明らかにされていません。
 最も早ければ、今国会の会期中、9月8日までということになります。しかし、その可能性は低いでしょう。
 解散・総選挙があまり早いと民主党はもたず、あまり遅いと自民党がもちません。常識的には、9月に予定されている民主党の代表選と自民党の総裁選でそれぞれが再選された後、10月に臨時国会を開いて解散・総選挙ということになる可能性が高いと思われます。

 ヒョッとしたら、3党首の会談で解散の時期について具体的な約束があったのかもしれません。もし、野田首相が解散を先延ばししようとしても、自公両党にとっては公債特例法案を「人質」にとっておけば、再度、解散を迫ることが可能です。
 輿石東幹事長などの民主党執行部としては、解散をできるだけ先に延ばしたいと考えています。この会談の始めには、野田佳彦首相と谷垣禎一自民党総裁、山口那津男公明党代表、樽床伸二民主党幹事長代行、井上義久公明党幹事長、石原伸晃自民党幹事長が同席しましたが、輿石民主党幹事長が顔を出していないところに、民主党の党内事情をかいま見ることができます。
 野田首相は、解散時期を早めるように求める自民党と、先延ばしを計ろうとする民主党執行部の板挟みになりました。3党合意を優先して解散へと突き進もうとすれば、「野田おろし」などの動きが強まる可能性もあり、当面の危機を乗り切ったように見える野田首相にとって、容易ならざる状態は今後も続くでしょう。

 急転直下、事態がこのような形で決着した背後には、マスコミと財界からのすさまじいまでの巻き返しがあったと思われます。昨日の新聞各社の社説は、「3党合意と自民党 法案成立の責任どうした」(産経新聞)、「一体改革法案 党首会談で事態を打開せよ」(読売新聞)、「最優先すべきは消費増税法案の成立だ」(日経新聞)、「民主と自民 改革潰しは許されない」(朝日新聞)、「消費増税法案緊迫 合意の破棄は許されぬ」(毎日新聞)というように、東京新聞を除いて、自民党の対応を批判し、3党合意の順守と消費増税法案の成立を求めるものばかりでした。
 また、経団連の米倉弘昌会長は今日の午前、消費増税法案の早期成立が政局の緊迫化で見通せなくなっている現状について、「党利党略に走らず、国の将来のために3党合意通り粛々と進めてほしい」と苦言を呈していました。スポンサーである財界から自民党に対して、強力な圧力がかかったにちがいありません。
 公明党が最後まで3党合意の破棄に抵抗したのも大きかったでしょう。このような包囲網に屈服した結果が、当初は受け入れを拒否していた党首会談への出席であり、「近いうちに」という玉虫色での決着だったのです。

 今回の合意で、消費増税法案の成立は確実になりました。そして同時に、民主党の瓦解と総選挙での惨敗も、ほぼ確実になったと言って良いのではないでしょうか。

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