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9月11日(火) 久しぶりに中国を訪問して感じたことのいくつか [旅]

 昨日のブログで、「これまでの訪中と今回とでは、若干の違いがありました。それを含めて感じたことがいくつかあります」と書きました。以下に、いくつかの感想を書かせていただきます。

 第1に、古さと新しさです。最初に中国を訪れた23年前、私が一番驚いたのはトイレの汚さです。この「トイレ問題」は中国旅行の大きなネックになっており、以前よりは改善されたものの、依然として、不潔である、鍵が閉まらない、ペーパーが切れている、詰まっていて水が流れない、などという問題が散見されました。
 交通マナーの悪さも、あまり変わっていないようです。しかし、自転車の大部隊が姿を消し、自動車の数が増え、交通ラッシュや環境破壊という新しい問題が生じているようです。
 他方、中国人はところ構わず痰を吐くため、以前は所々に「痰壺」が置かれていました。今回は、これが綺麗に姿を消していて、驚かされました。

 第2に、経済発展に向けての潜在的な力の大きさです。23年前の中国は、日本の高度経済成長前のような雰囲気でした。農村部は、私が育った新潟の田舎よりも遅れているような印象を持ったものです。
 しかし、今回訪問した西域は、「西部大開発」の掛け声の下、急速な開発が進んでいました。蘭州の郊外には高層マンションが林立し、現在も各所で工事が行われています。
 橋の架け替え、高速鉄道の建設、道路の拡幅と新設など、砂漠の中での工事もありました。陽関などの農村部でも、葡萄の生産だけでなく、干し葡萄やワインの製造という商業化に成功し、立派な住宅を建て、屋根には温水装置が乗っていました。

 第3に、以上の両者の観点からとくに注目したいのは、新エネルギー開発に向けての取り組みです。蜃気楼が見えていた砂漠の彼方に、数え切れないほどの風車が現れたときには、大変、驚きました。
 この地方は風が良く吹くそうで、その通り道を計算して風車を立てているそうです。地平線の彼方まで続く数限りない風車の姿は、壮観と言うしかありません。
 また、太陽光発電のためのパネルも、砂漠の一部に敷き詰められていました。西安交通大学の鄭学長は、このような新エネルギー開発については大学としても力を入れて取り組んでいると強調されていました。

 第4に、中国が潜在的に所有している「歴史の力」を再認識させられたということです。これは中国に行くたびに実感させられる点です。
 敦煌の「莫高窟」は随や唐の時代にできたものであり、秦の始皇帝陵や兵馬俑はそれ以前の先史時代に遺されたものです。それが、今の中国にとって、いや世界にとって大きな文化遺産となり、兵馬俑の発見によって一つの町までできました。
 今回の私たちのように、世界中からその文化遺産に触れるためにやってきます。何という優れた「遺産」でしょうか。これらの「遺産」が今日の中国に資するところ、極めて大きいと言うべきでしょう。

 第5に、中国という国の広さです。すでに、23年前の第1回訪中時に、この広さは実感させられました。シーサンパンナ景江から昆明に戻るとき、2泊3日の「路線バス」に乗ったからです。
 この間、バスの乗客は一緒に食事をして、同じ宿に泊まりました。この時も、「中国は広い」と思いましたし、2回目の東北部の旅でもその広さを実感することができました。
 しかし、今回の広さは、それを上まわるのではないかと思います。バスに乗っていて、1時間ほど眠ってから目覚めても周りの景色にそれほどの変化はありません。アラブ首長国連邦(UAW)を訪問したときも砂漠というより「土漠」を目にしましたが、一木一草もないゴビ砂漠の荒涼たる景色は、その広大さを強く印象づけるものでした。

 第6に、日中両国の一般庶民による「草の根交流」の根強さです。今回は、「尖閣問題」があり、反日感情が強まっているのではないか、日本人と分かると嫌がらせなどをされるのではないか、などの心配がありました。
 しかし、それは全て杞憂でした。楡林窟や莫高窟では現地の日本語ガイドがついて親切に案内してくれましたし、日本からの観光客もいつもと同じようでした。敦煌のホテルでは日本語が飛び交い、土産物屋の売り込みも普段と変わらないしつこさです。
 このような関係は、何があっても、もう後戻りできないでしょう。政府間でどのような紛糾や対立があろうとも、日中両国の草の根レベルでの交流を途絶えさせることは不可能だ思いますし、そうさせてはなりません。

 感想はもっとたくさんありますが、長くなりましたので、これくらいにしておきます。最も開発が遅れているとされている西域でも、一旅行者にさえ、そのエネルギーと発展への潜在力を充分感じ取れるものだったということを、最後に強調しておきましょう。
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