SSブログ

12月18日(火) 千葉4区での野田首相の当選を違憲・無効とするべきだ [選挙制度]

 「違憲状態」のままでの選挙がいかなる意味で正当性を持ち得るのか。今回の総選挙では、このこともまた深刻に問われる結果となりました。
 最高裁が「違憲状態」だとの判決を出し、選挙直前に「0増5減」を決めてお茶を濁したものの区割りを変える余裕がなく、「違憲状態」のままで衆院選が実施されたからです。

 このような、人口比例に基づかない選挙区の区割りで「一票の格差」が是正されずに実施された衆院選は違憲だとして、弁護士グループが一斉に提訴しました。東京1区など計27選挙区での選挙無効を求めたもので、全国14の高裁・高裁支部すべてに提出されています。
 昨年3月、最高裁は格差が最大2.30倍だった2009年の衆院選を違憲状態だと判断しています。今回も是正が間に合わないまま選挙が行われましたが、有権者の数が最も少なかった高知3区と最も多かった千葉4区の格差は2.43倍に広がりました。
 弁護士グループは、公職選挙法の規定に基づいて高裁と最高裁は百日以内に速やかに無効判決を出すべきだと主張しています。他方、別グループに属する広島県の弁護士らも、今回の衆院選の無効を求める訴訟を広島高裁に起こしました。

 「違憲状態」とした昨年の最高裁判決から1年半以上も経っています。すぐに是正に取り組めば充分に間に合ったはずですから、是正のための合理的期間は過ぎていると判断され、「違憲」とされても仕方ないでしょう。
 これまでの判例では、格差が著しく不平等な場合が「違憲状態」、その状態が相当期間続いている場合が「違憲」とされてきました。最高裁判決では衆院選についてこれまで「違憲」が2回、「違憲状態」が3回出ていますが、選挙を「無効」だとした判決はありません。
 今回も「違憲状態」から一歩進めて「違憲」判決が出る可能性が高く、「無効」判決が出る可能性も皆無ではありません。ただし、選挙を「無効」だとした場合、選挙後の首班指名や法律の制定など全ての根拠が失われることになります。

 最高裁は、一方では「無効」判決を出して立法府の怠慢を厳しく批判したいと考えても、他方では全体を「無効」とした場合の影響の大きさを考慮して躊躇するかもしれません。このジレンマを解決するには、大きな影響を与えない形で「無効」判決を出せばよいのです。
 選挙全体を無効とせず、特定の選挙区を選んで「違憲」かつ「無効」とし、当選を取り消すのです。その特定の選挙区としては、一票の価値が最も軽くなっている千葉4区が最適でしょう。
 ここでの選挙を「無効」とし、野田首相の当選を取り消すべきです。やろうと思えばすぐにできたはずなのに、消費増税への言い訳のために「身を切る改革」論を振りかざして野党が反対する比例定数の削減を抱き合わせ、「一票の格差」是正をサボり続けてきたのは野田首相ですから、当選無効のペナルティを課す対象としては最もふさわしいでしょう。

 これを「一罰百戒」とするべきです。裁判所は野田首相に厳しい罰を与え、立法府に対して怠慢をいさめ、小選挙区制の廃止など選挙制度の抜本的な改革を促すべきではないでしょうか。

nice!(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

トラックバック 0