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1月27日(日) 自衛隊の国防軍化 変える必要性があるのか [論攷]

〔以下のインタビュー記事は、「金曜討論」『産経新聞』1月25日付に掲載されたものです。〕

 ――自民党が改憲草案で、自衛隊の国防軍化を掲げた
 「9条に手を加えて国防軍とすることの必要性・必然性が理解できない。安倍首相はさらなる装備の充実化を目指し、集団的自衛権の行使を可能にしようとしている。さらに憲法を改正し、国防軍化しなければできないこととは何かを説明してもらいたいものだ」

 ●国際的に孤立する

 ――国防軍にした場合、予想される米国などの反応は
 「日本は戦後、国際公約として、海外へ軍隊を派遣して侵略戦争などはしません、ということで国際社会への復帰を認められた。その一つの証として憲法9条があり、専守防衛を国是として軽武装路線をとってきた。それを変えることになれば、周辺諸国だけでなく、欧米からも懸念や批判が表明され、日本は国際的に孤立することになるだろう」
 ――自衛隊を国防軍にすることは「復古的」ということか
 「全部が戦前の体制になるとは考えられない。しかし、国防軍化は国際社会との約束を反故にし、海外で戦争できる体制にもっていこう、ひいては徴兵制もということになるかもしれず、その意味では復古的で、国際的な趨勢に逆行している」
 ――国防軍化には憲法改正が必要になってくるが
 「改憲するには莫大な政治的エネルギーが必要だろう。国民投票で否決される可能性もあり、改憲側としてもリスクがある。当面する景気回復や震災復興などを差し置いて、今、取り組まなければならない課題なのか」

 ●9条の理念堅持を

 ――憲法9条と自衛隊の関係はどう考える
 「本来的には戦力不保持であり、自衛隊は違憲だと思う。しかし、国民的了解として『軽武装はやむを得ない』と定着している。『戦争に巻き込まれるのではないか』と国民が不安に思うような重武装も非武装も避けるべきで、自衛隊の増強には歯止めをかけなければならない。軍備管理・軍縮による軽武装化はどの国でも目標とするべきで、そもそも9条の規定を実現できるような内外状況をつくるのが政治の課題ではないか」
 ――外交努力で例えば北朝鮮の核・ミサイル開発を防げるか
 「では、自衛隊を増強すれば防げるのかといえば、無理だろう。それよりも外交交渉が重要だ。国際社会でも、ハードパワー(軍事力)に頼るパワーポリティクスは時代遅れとの声が高まっている」
 ――現在の自衛隊で国の守りは十分だと考えるか
 「今の装備は過剰だ。尖閣の守りにしても戦車などは不要だろう。自衛隊の半分くらいは緊急援助隊のようにして、災害救助を主たる任務とすべきだと考える」


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