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1月29日(火) 誤った政策にはそれ相応の報いがやってくるものだ [首相]

 物事には、原因と結果があります。もし、政策的な誤りを犯せば、それ相応の報いがやってくるものです。
 そのような誤りを犯さないためには、過去を振り返って因果関係を見極める必要があります。近年、このような誤った政策によって無惨で悲惨な結果がもたらされる例があまりにも多すぎるように思われますから、なおさらそのような作業が必要でしょう。

 このような誤った政策の筆頭にあげるべきものは、原子力発電事業の推進政策でした。福島第1原発の過酷事故によって16万人もの人が故郷を追われ、県内外で生活することを余儀なくされています。
 原発が事故を起こした直接の原因は東日本大震災でしたが、原発がなければ放射能漏れなどは起きず、長期の避難が必要になることもなかったでしょう。福島の人々を故郷から追い出し、生活の場を奪ったのは原子力発電所の存在でした。
 それは、福島だけの問題ではなく、地震列島である日本には54基もの原発が存在し、なかには活断層と疑われる地層の上に乗っかっている危険きわまりない原発もあります。それを再稼働するなどというのは、過去の過ちに新たな過ちを付け加える愚行にほかなりません。

 第2には、小泉政権の構造改革でしょう。これによって新自由主義的な規制緩和が進められ、非正規労働者が増大して貧困化と格差の拡大が生じました。
 このようにして日本の経済と社会をぶっ壊した責任者は、構造改革の旗を振った小泉元首相であり、ブレーンとしてそれを支えた竹中平蔵さんです。秘書として辣腕を振るった飯島勲さんも、そのような責任を問われるべき一人でしょう。
 ところが、この竹中さんは経済再生本部の下に設置された産業競争力会議のメンバーとして、飯島さんは内閣官房参与として、安倍政権で復活しました。またもや「経済成長」の旗を掲げ、すでに破綻した「トリクルダウン」理論を唱えて規制緩和に邁進しようとしています。

 第3は、小選挙区制です。それがいかにデタラメな制度であるか、いかに大きな混乱と災厄を日本政治にもたらすかは、今回の総選挙の結果、多くの国民の知るところとなりました。
 この制度のデタラメさは自民党の得票と議席の増減に、象徴的に示されています。自民党は、前回09年の総選挙で大敗して政権を失い、今回の総選挙では比例区で2議席増、小選挙区ではなんと173議席も増やして政権に返り咲きましたが、その得票数は比例区で219万票減、小選挙区で166万票減と、前回よりも減っていたのです。
 票を減らしたということは支持する国民が減少したということですが、それにもかかわらず議席を増やして政権に返り咲くことができました。こんなとんでもないインチキが許されるのでしょうか。

 第4に、イラク戦争への加担の間違いをあげなければなりません。今回のアルジェリアでの人質事件を引き起こした遠因がここにあるからです。
 すでにこのブログでも書いたように、イラク戦争まではアラブの人々によって日本が敵視されることはありませんでした。そのような友好関係や日本へのイメージを大きく変えてしまったのが、小泉元首相によるイラク戦争の支持と自衛隊のサマーワへの派遣だったと言えるでしょう。
 これによって、日本もアメリカと同じ立場に立つ「多国籍軍」の仲間だと見られるようになったのではないでしょうか。当時、「イラク戦争への荷担はいずれ大きな問題を生む」との批判がありましたが、今回の事件はその批判が正しかったことを裏付けているように思われます。

 第5に、尖閣諸島の国有化も、間違った政策決定による大失敗だったと言うべきでしょう。この点では、石原慎太郎前都知事の責任が大きいということは明らかです。
 日中間の対立が高まり、新たな紛争の恐れが生じただけでなく、日本の経済や貿易、観光業にとっても甚大な打撃となり、大きな被害をもたらすことになりました。それがいつまで続き、どれほどの規模になるかは、未だに不明です。
 日中間の紛争の激化を望まないアメリカの意向もあって、安倍首相は当面、中国を刺激しないように対応しています。しかし、総選挙で尖閣諸島への公務員常駐や船溜まりなどのインフラ整備を主張していた過去は消えず、いずれ右翼的な支持者からの突き上げが強まることは避けられないでしょう。

 昨日の所信表明演説で、安倍首相は「危機突破内閣」を標榜しました。しかし、その「危機」が誰によって、どのように生み出され、強まってきたのか、安倍さんは全く理解していないようです。
 それは、自民党や民主党の歴代内閣による誤った政策の結果であり、その責任の一端は途中で政権を投げ出してしまった安倍さん自身にあります。そのことを自覚し、反省したうえでなければ、さらに拡大された形で過去の失敗を繰り返すだけでしょう。
 その結果、「危機突破内閣」どころか、「危機発生内閣」になってしまうかもしれません。大胆な金融緩和によって収入増なき物価高が生じ、大規模な財政出動によって借金の山がいっそう大きくなり、経済成長を名目とした構造改革の再起動によって貧困と格差がさらに拡大する可能性があります。

 そうならないことを願っており、このような不幸な予想は、ぜひ外れて欲しいと思います。多くの国民にとっては、その方がずっと良いのですから……。
 しかし、多分、この予想がはずれることはないでしょう。これまでも、そうであったように……。
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