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1月30日(水) 財界は安倍首相の約束や政府の経済見通しを信用してないようだ [春闘]

 昨日、経団連の米倉弘昌会長と連合の古賀伸明会長とのトップ会談がありました。例年、春闘の始まりに行われているものです。

 この会談で、米倉経団連会長は「自社の存続と発展を続けるため、これまで以上に労使が危機感を共有することが不可欠だ」と述べて雇用重視の考えを示したそうです。これに対して、古賀会長は「経営状況が悪化する中、企業基盤を支えてきたのは労働者。現場の意識を向上するには適切な配分が不可欠だ」と指摘し、賃金の底上げを求めました。
 経団連は1月21日に「経営労働政策委員会報告」を発表し、経営側の春闘方針を明らかにしています。ここでは、基本給を底上げするベースアップ(ベア)を「実施する余地はない」とし、年齢に応じて賃金が上がる定期昇給の延期や凍結の可能性にも言及しました。
 他方、連合はベアの統一要求は4年連続で見送ったものの、定昇の確保を最低限の課題と位置付けています。また、パートなど非正規社員も含めた給与総額の1%増を目指すとしています。

 安倍政権が発足する前から円安・株高の傾向が強まり、最近の週刊誌には「安倍バブル」という見出しが躍っています。政府は1月28日、今年の経済成長について、国内総生産(GDP)の成長率は、物価変動の影響を除いた実質で前年度比2.5%増、生活実感に近い物価変動を反映した名目で2.7%増という見通しを発表しました。
 この間の円安・株高で、輸出関連企業の多くはすでに利益を増大させています。トヨタは昨年、2年ぶりにGMを抜いて自動車総販売数世界一の座を奪還しました。
 しかし、米倉経団連会長は、「これから景気が良くなって経済は成長する」という安倍首相の約束を信じていないようです。デフレ経済の象徴だった名目が実質を下回る「名実逆転」の状態が16年ぶりに解消することになるという政府の経済見通しも、財界には信用されていないのでしょう。

 「大企業栄えて民滅ぶ」という言葉があります。しかし、「民滅ぶ」ような社会では、「大企業」が栄えることもできません。
 企業は、社会の構成員としての大きな責任があります。その最大のものは、雇用を維持し、正当な労働の対価を支払うことです。
 労賃の支払いは人材への投資という意味があり、内需の維持・拡大という意味も小さくありません。このような面での社会的責任を、企業はきちんと果たすべきです。

 長引く不況の下で、デフレからの脱却と日本経済の立て直しが大きな課題となっています。デフレスパイラルという「悪魔のサイクル」(生活苦の増大→消費の減少→国内市場の縮小→景気悪化→生活苦の増大)を、転換させなければなりません。
 これを、積極的な雇用創出→賃上げ・時短→可処分所得・自由時間の増大→消費の増大→景気の拡大という、いわば「天使のサイクル」に変えることが必要です。そのためには、雇用を確保し、賃金を引き上げ、労働時間を短縮しなければなりません。
 米倉さんがまず雇用重視だというのであれば、NECなどの電機・情報産業による13万人にのぼるリストラ計画に真っ先に反対するべきでしょう。古賀さんが賃金を底上げすべきだというのであれば、業績が回復しているにもかかわらず4年連続でベア統一要求を掲げない自動車総連を厳しく指導するべきでしょう。

 デフレからの脱却と経済の再生に向けて、何よりも可処分所得を増やし、安心してお金を使えるような環境を生み出すことが重要です。そのためには雇用の維持と賃金の引き上げが不可欠であり、それは今や国民的な課題となっているということを労使ともに自覚することが必要でしょう。

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