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2月15日(金) インターネットによるレイバーネットTV の放送【特集:イガジン、安倍“危機発生内閣”を斬る!】に出演した [日常]

 久々の「テレビ出演」ということになりましょうか。昨晩放送されたインターネットによるレイバーネットTV【特集:イガジン、安倍“危機発生内閣”を斬る!】に出演しました。

 11日のFMラジオ放送とは違って、時間も十分あり、好きなように話をさせていただきました。放送は今からでも視聴可能ですので、http://www.ustream.tv/recorded/29271868にアクセスしていただければ幸いです。
 前回のFMラジオ放送の時と同様、この放送に向けて、準備するためのメモを作成しました。今回の放送では、このうちの8割ほどは話せたと思います。
 実際の放送とは異なる部分もありますが、私が言いたかったのはこのようなことだということをご理解いただくために、これも公表しておきたいと思います。安倍内閣について考える参考にしていただければ幸いです。

インターネット・テレビに向けてのメモ

1,総選挙の結果について

*総選挙はご存知の通り、さんざんな結果だった。ガッカリした人も多かったと思う。でも、たった一つ良いことがあった。それは小選挙区制がいかにデタラメな選挙制度であるかが誰にでも分かるような形で示されたことだ。

*最大の問題は、自民党の得票が減ったのに、議席が増えたこと。09年より、小選挙区でも比例代表区でも得票数を減らしたのに、議席を増大させた。インチキと言うほかない。自民党は過半数の議席を獲得したが、投票したのは、小選挙区で有権者の25%、比例代表区では16%にすぎない。有権者の4分の3、6分の5は、自民党を支持していない。

*それなのに自民党が圧勝したのは、小選挙区のマジック。同じような力を持つ3つの政党が候補者を立て、A党が34%で、B党33%、C党33%の得票なら、A党の候補者が当選する。全ての選挙区で同じような現象が起きれば、34%の得票率で100%の議席を占めることも可能。次の選挙でB党が34%を獲得すれば、議席率は100%だ。たった得票率1%の変化で、100%の議席が変わる。

*政治改革がめざした二大政党制による安定した政治などは嘘っぱちだった。政権与党がオセロ・ゲームのように変わり、政治は極めて不安定になった。選挙制度を抜本的に改めて、民主主義にふさわしい比例代表制的な制度に変えなければ、日本の政治が現在の混迷状態から抜け出すことは不可能だ。

2,安倍内閣の顔ぶれについて

*安倍内閣は戦後最悪・最低の内閣だ。これまでで最悪の内閣は、「美しい国」を掲げて「戦後レジームからの脱却」を目指し、結局は政権を放り出してしまった第1次安倍内閣。最低の内閣は、漢字をろくに読めず、感じも悪かった麻生内閣。結局、総選挙で負けて政権を失った。

*この2人が中心になり、総裁選に立候補できずに挫折した谷垣さんが加わっている。失敗し、挫折した古い政治家中心の内閣に、一体、何ができるのか。総裁選で敗北した石原伸晃さんが環境相、林芳正さんが農水相、自民党の幹事長は石破さんだ。「オレがオレが」と言い出しかねない人ばかり。「船頭多くして 船、山に登る内閣」だ。

*内閣の支持率は高いが、それは4つ援軍があるからだ。一つは円安、二つ目は株高、第3は北朝鮮、第4は中国だ。当面、「猫かぶり戦術」で経済を前面に出しているのが成功している。北朝鮮のミサイル発射や3度目の核実験、中国の警戒水域や領海・領空の侵犯、レーダーの照射などの危機も巧みに利用している。

*レーダー照射については小泉政権や野田政権でもあったと言われている。今回は、わざわざ緊急に記者会見を開いて発表した。危機を煽り、タカ派政策を合理化するための情報操作ではないのか。

3,安倍内閣の政策について

*自民党の失敗をもたらした政策の「最悪の組み合わせ」で、3拍子揃ったワースト・ミックスだ。一つは、古い自民党が失敗した官僚主導利益誘導型のバラ撒き政治、二つめは、これが行き詰まって出てきた新自由主義的な構造改革。これも、貧困化と格差を拡大する結果となって失敗した。三つ目は、新旧の自民党に共通する宿痾、右傾化と金権化という持病だ。安倍内閣は特に前者の病状が重い。まだ、金権スキャンダルは表面化していないが、女性スキャンダルは出てきた。

*このような失敗した政策を、装いを改めて出してきたのは、日本が直面している問題についての解決能力を自民党が持たないからだ。構造改革で地方は荒廃したからバラ撒きをやる。しかし、財政赤字が大きいから、国に頼らず自己責任でやってくれというわけだ。失敗と失敗を組み合わせれば、大失敗になるだけだろう。

4,外交・安全保障について

*安倍首相は民主党を「外交破綻」を招いたと言って批判していたが、現状は、それ以上の破綻状況に陥っている。安倍内閣になってから、外交・安全保障に関連する危機的状況が連続している。「危機突破内閣」などと言っているが、本当は「危機突発内閣」と言うべきだ。

*一昨日、北朝鮮は3回目の核実験を実施した。周辺諸国が力を合わせて牽制し、制止させるべきだったのに、中国とはパイプが詰まって一触即発状態、韓国とも竹島問題でぎくしゃくしている。ロシア軍機は領空を侵犯し、アメリカからは歴史認識問題で批判され、未だに訪米できず、日米首脳会談も開かれていない。完全な手詰まり状態ではないか。

*アルジェリアの人質問題では、日本人が10人も犠牲になった。安倍さんは、危ない星の下に生まれているのではないか。文字通り、「アブナイカク」だ。こんなときに、憲法を変えて自衛隊を国防軍にしたいという。とんでもないこと。アメリカの要請によって外国で戦争するつもりではないかとの疑念を抱かせ、アメリカやイスラエルの仲間になったとしてアラブやイスラムの人々によって敵視され、アルジェリアでの人質事件のように海外で日本人が狙われる危険性を高める。

*自衛隊は専守防衛を旨とし、「自衛のための必要最小限度を越える実力を保持し得ない制約を課せられており」、いわゆる軍隊ではなく再軍備を意味しないとしてきたのが歴代政府の答弁だ。ところが、今度は「自衛隊は軍隊だから国防軍と呼ぶべきだ」と言い出した。自衛隊は軍隊ではないから再軍備ではない、必要最小限度の自衛力にすぎないから保有を許されるというこれまでの説明は何だったのか。これは国際社会への裏切りであり、日本の戦後の歩みを否定するものだ。

*実は、7年前、2006年12月に安倍首相自身が答弁書で、自衛隊は「通常の観念で考えられる軍隊とは言えない」、憲法9条2項で保持を禁じられている「『陸海空軍その他の戦力』には当たらない」と答えている。ところが、先日の国会答弁で突然、「自衛隊は軍隊だ」と答えた。どちらが本当なのか。7年前の答弁書は嘘だったのか。このような「2枚舌」は断じて許されない。

5,アベノミクスについて

*大胆な金融緩和、大規模な財政出動、成長戦略の3本の矢でデフレから脱却するという。しかし、景気を回復することはできず、収入増なき物価高、スタグフレーションになる可能性が高い。円安・株高によって企業業績が回復しても、収入が減り続けた02年から08年にかけての「いざなぎ越え景気」の再版となるだろう。

*この時、国内で投資先を見つけられずにだぶついた資金は金利の高いアメリカに流れ込み、住宅投資の過熱化を招いてリーマン・ショックを引き起こした。今回も、企業が大儲けした利益が国民に還元されなければ、同じような現象が起き、国際的な金融危機を引き起こすことになるだろう。

*安倍さんが大胆な金融緩和を主張したとき、経団連の米倉会長は、思わず「無鉄砲だ」と口走った。日銀の白川総裁も2%のインフレ目標の設定に抵抗したが、日銀法改正をちらつかされて白旗を掲げ、嫌気がさして早期の辞任を発表した。プロなら賛成できない危うい政策だからだ。しかし、安倍さんは平気な顔をしている。シロウトで経済のことがよく分かっていないからだ。

*大規模な財政出動は麻生副総理の持論だが、小泉亜流の安倍さんとの政策的整合性はどうなるのか。結局は、借金を増やして財政赤字を増大させるだけではないのか。安倍首相は小泉首相のブレーンだった竹中平蔵さんを経済財政諮問会議の民間議員にしたかったようだが、麻生さんに反対されて経済再生本部の産業競争力会議に入れた。この竹中さんと麻生さんという2人の関係も微妙。今後、うまくやっていけるのか。

*その竹中さんは、早速、「規制改革こそ成長戦略の一丁目一番地だ」と発言し、安倍首相も同調した。その「一丁目一番地」にあるのは、貧困化と格差拡大で廃墟のようになってしまった国民生活だ。これを更地にして新しい建物を立て、「規制改革」のペンキを塗って売り出そうとでもいうのか。

7,これからめざすべき方向

*09年に自民党は政権を失い、今度は民主党も政権を失った。しかし、自民党が支持を取り戻したわけではない。09年よりも減らしていることは、最初に指摘したとおり。結局、自民党も民主党も日本が直面している問題の解決能力を持たず、国民の期待に応えることはできなかった。安倍政権は以前の自民党よりもひどく、政治を変えて欲しいという国民の要求は、その担い手を求めて空中を彷徨っている。

*国民の要求に応える道の一つは、憲法の理念を具体化すること。憲法は、変えるよりも活かす。これが活憲だ。政治家や公務員は、憲法第99条によって憲法尊重擁護義務をもっているが、我々国民も日々の政治や生活に憲法の理念を活かすために努めなければならない。それが、国民生活を守り、平和で安全な東アジアを実現する唯一の道だ。

*改憲などに時間と政治的エネルギーを無駄使いするのは愚の骨頂だ。東日本大震災からの復旧・復興に全力を挙げ、国民経済と生活の再建にむけて、あらゆる時間と資源、政治的エネルギーを注ぎ込むべき。「3.11」後の教訓は、内需主導の循環型地域社会に支えられた非核の福祉国家を実現しなければならないということ。その際、原発に変わる再生可能エネルギー・ビジネスは、雇用の拡大と地域興しのための有力な手段になるだろう。
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