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2月24日(日) TPP参加問題についての日米共同声明に騙されてはならない [TPP]

 注目された安倍首相の訪米でした。対北朝鮮政策や日米同盟の強化、そして環太平洋経済連携協定(TPP)への参加など、いずれもシナリオ通りの決着となりました。
 当然、それは予想されていたことです。そのような筋書きでの合意があったからこそ、安倍さんはアメリカに行ったのですから……。

 焦点はTPP参加問題にありました。これについての日米共同声明は次のようになっています。

 両政府は、日本がTPP交渉に参加する場合には、全ての物品が交渉の対象とされること、および、日本が他の交渉参加国とともに、2011年11月12日にTPP首脳によって表明された「TPPの輪郭(アウトライン)」において示された包括的で高い水準の協定を達成していくことになることを確認する。

 日本には一定の農産品、米国には一定の工業製品というように、両国ともに2国間貿易上のセンシティビティーが存在することを認識しつつ、両政府は、最終的な結果は交渉の中で決まっていくものであることから、TPP交渉参加に際し、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではないことを確認する。

 両政府は、TPP参加への日本のあり得べき関心についての2国間協議を継続する。これらの協議は進展を見せているが、自動車部門や保険部門に関する残された懸案事項に対処し、その他の非関税措置に対処し、およびTPPの高い水準を満たすことについて作業を完了することを含め、なされるべきさらなる作業が残されている。

 この日米共同声明は、一方では交渉の内容には前提があること、しかし他方では、それへの参加には前提がないことを確認したものです。安倍首相の言うように、交渉そのものにおいて「聖域なき関税撤廃が前提でないことが明確になった」わけではありません。
 交渉の内容に明確な前提があることについては、共同声明の最初の段落で明示されています。ここで、「全ての物品が交渉の対象とされること」、「『TPPの輪郭(アウトライン)』において示された包括的で高い水準の協定を達成していくことになること」が確認されているからです。
 つまり、「聖域なき関税撤廃」を目指すための交渉であり、その対象は「全ての物品」であって例外がないことは、ここで再確認されています。アメリカ側の言い分は、そのまま盛り込まれているというわけです。

 しかし、同時に「両政府は、最終的な結果は交渉の中で決まっていくものであることから、TPP交渉参加に際し、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではないこと」も確認されています。つまり、「参加に際し」ては、全ての関税を撤廃すると約束しなくてもいいですよ、それは交渉の結果決まるものなのですから、というわけです。
 これは安倍さんに対する「助け船」です。参加への呼び水と言っても良いでしょう。
 共同声明は交渉の「入り口」について書いているのに、安倍さんはそれを交渉の「出口」で認められたかのように言い換えています。「最終的な結果は交渉の中で決まっていくもの」だとされているのに……。

 安倍首相は国民や与党の自民党・公明党を騙しているわけです。いや、安倍さん自身も、騙されているのかもしれません。これまでも、日本の政府や国民がアメリカによって騙されてきたように……。
 こうして、異常なほどに「愛国心」を強調している安倍首相によって、日本の市場はアメリカに売り渡されようとしています。そうなれば、農業だけでなく、医療も保険も金融も食生活も、経済と社会生活の幅広い領域で壊滅的な打撃を被ることになるでしょう。

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