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4月14日(日) TPPの暗い部屋に入る前に「罠」にはまってしまった安倍首相 [TPP]

 TPP 交渉への参加は、日本の産業と生活を破壊する沢山の「罠」が仕掛けられた暗い部屋に入るようなものです。「罠」にはまって抜け出せなくなる前に、すぐに飛び出すことを求めます。

 これは、TPP参加交渉からの即時脱退を求める要望書(全国大学教員有志)への賛同とともに送った私のコメントです。この署名への賛同者は、4月11日13時現在で861名+呼びかけ人17名=878名になったそうです。

 政府は12日、TPP交渉参加に向けての日米の事前協議が決着したと発表しました。これで、早ければ7月の交渉会合から参加できる見通しだといいます。
 「賽は投げられた」ということでしょうか。でも、途中での離脱は、極めて困難だとはいえまったく不可能ではありませんし、最終的には国会での批准が残ることになります。
 ずるずると不利な交渉に引き込まれる前に、できるだけ早く離脱するべきでしょう。交渉に参加する前からアメリカに押し切られ、懸念されていた問題点が次々と現実のものになってきているのですから……。

 昨日の『日経新聞』は、一面で「TPP,日米協議が決着 自動車は追加交渉」と客観的に報じていますが、3面では「急いだ合意 目立つ譲歩」「農業保護の代償に 日米、自動車交渉難航も」という記事を掲載しています。TPP交渉に前のめりで旗を振ってきた『日経新聞』でさえ、「結果次第ではTPP交渉参加への高い代償を払わされることにもなりかねない」と懸念を表明せざるを得ないものでした。
 昨日の『朝日新聞』も、一面で「TPP 車は大幅譲歩」と書き、「日米合意文書 農産品例外の余地」とバランスを取っていますが、「TPP 危うい国益」という見出しの下、「高い『入場料』を払わされることになる日本にとって、交渉に参加する意義はかすんでいる」と報じています。そして、農産物の例外扱いについても、一面の見出しの下とは裏腹に、次のように書いています。
 「しかし、米国にいる日本政府の関係者はこう打ちあける。『5品目など論外。1品目もとれる見通しは立っていない。聖域などまったくない』」と……。

 TPPに一貫して批判的な立場をとり続けてきた『東京新聞』は、もっとはっきりと書いています。「焦る首相 譲歩重ね」「自動車・保険 不利に」と……。
 このような「不利」な条件で「交渉に参加する意義はかすんでいる」にもかかわらず、なぜ安倍首相は合意してしまったのでしょうか。なぜ、焦って譲歩を重ねてしまったのでしょうか。その理由は、関係閣僚会議でのあいさつにあるとおり、「安全保障上の大きな意義がある」と考えているからです。
 日米同盟強化のために、日本の市場を売り渡すことになってもやむを得ないというのでしょう。安倍首相のイデオロギー的思考が持っている弱点にアメリカがつけ込んだ結果が、今回の合意だったのではないでしょうか。

 私は前掲のコメントで、「TPP交渉への参加は、日本の産業と生活を破壊する沢山の『罠』が仕掛けられた暗い部屋に入るようなもの」だと指摘しました。今回の日米事前交渉での合意は、このような部屋に入る前に、アメリカが仕掛けた「罠」にはまってしまったようなものです。
 その『罠』から、はたして抜け出せるのでしょうか。このさき、本格的な交渉会合への参加が許されたとしても、そこに仕掛けられた『罠』を日本政府は回避することができるのでしょうか。

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