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7月17日(水) 参院選での課題は与党の過半数を阻止し、改憲議席の3分の2突破を防ぐこと [論攷]

〔以下の論攷は、八王子革新懇の『革新懇話会』第58号、2013年6月25日付、に掲載されたものです。〕

 いよいよ参院選が公示されました。この選挙の課題は、自民党と公明党の合計議席が過半数を超えないようにすることであり、改憲議席の3分の2突破を防ぐことです。
 この選挙の争点として、安倍首相は盛んに「ねじれ解消」を訴えています。マスコミ各社も、衆院と同様に参院でも与党が過半数を獲得して「ねじれ」が解消されるかどうかが、この参院選での最大の争点であるかのような報道を行っています。そうなれば、政策決定のスピードが上がり、「決められない政治」が解消されるのだと。
 しかし、このような争点設定は誤っています。もし、「ねじれ」が争点であるとすれば、その解消ではなく継続こそが必要なのです。そのためには、自民党と公明党という与党が、参院で過半数議席を突破することを阻止しなければなりません。

 もし、衆院と同じように、参両でも与党が圧倒的な多数を占めて、衆参両院の「ねじれ」がなくなれば、与党の思うままの国会になってしまうでしょう。ブレーキを外された自動車のように、国会は暴走を始めるに違いありません。
 与党が提出した法案は、圧倒的な多数を占める衆院をスンナリ通過するでしょう。そして、これまでは大きな壁となっていた参院でも、そのまま成立してしまうことになります。こうして、安倍首相のやりたい放題の政治が始まります。これまで「参院が抵抗するから」、あるいは「参院選があるから」ということで自制されていたタカ派政策も、次々と実行に移されていくにちがいありません。
 アベノミクスによる物価高などの生活破壊、消費税率の引き上げ、社会保障の切り下げ、生活保護費の削減、労働の規制緩和とブラック企業の拡大、雇用の破壊、TPP(環太平洋経済連携協定)への参加、原発の再稼働、日米防衛協力の強化と米軍普天間基地の辺野古移設、オスプレイの飛行訓練などの悪政の数々が、次々と実施されていくことになります。「ねじれ」があったからこそ、安倍首相の思い通りにはならなかったのです。その悪政への「ブレーキ」を取り払って良いのでしょうか。

 今回の参院選でのもう一つの課題は、改憲勢力の議席が3分の2を越えないようにすることです。具体的には、自民党と日本維新の会の議席が、改選されない議席との合計で162議席を越えないようにしなければなりません。
 みんなの党も改憲に賛成していますが、96条先行改憲には消極的です。「その前にやらなければならない課題がある」と言うのです。公明党も「加憲」を主張しており、改憲そのものには必ずしも反対ではありませんが、96条改憲には腰が引けています。96条先行改憲ということに限って言えば、この2党は微妙な立場です。
 改憲阻止を確実にするためには、自民党、日本維新の会、みんなの党、公明党の4党の合計議席が、非改選と会わせて162議席を越えないようにしなければなりませんが、これはかなり困難でしょう。差し当たり、自民党の回復を阻み、日本維新の会を壊滅させることによって、この両党での3分の2議席の突破を防ぐことが必要です。
 自民党は、参院選向けての公約集で改憲路線を後景に退かせ、安倍首相は参院選での遊説でも、それほど改憲を公言していません。しかし、このような「目くらまし」に騙されてはいけません。経済を前面に出して国民の支持を集め、参院でも改憲勢力が3分の2以上になったら一挙に改憲発議を行おうとしているからです。このような「作戦」を阻止するためにも、改憲議席の3分の2突破を防がなければなりません。

 この二つの課題を達成するためには、これらに対抗する政党に頑張ってもらう必要があります。たとえ、いかにだらしなくブレまくっていても、1人区で自民党の議席を減らすためには民主党に頑張ってもらう必要があります。民主党内にも改憲派はいますが、少なくとも党としては96条改憲に反対しているからです。
 それに、1人区で自民党の当選を阻止しなければ数が足りません。民主党に自民党を蹴落としてもらう必要があります。定数の少ない選挙区では、自民党と対抗できる政党に議席を取ってもらい、少しでも自民党の議席を減らさなければなりません。
 しかし、安倍内閣の暴走を許さないための議席、政権批判の最適にして効果的な「受け皿」は共産党です。東京都議選と同様、比例区では共産党の躍進を実現しなければなりません。全国どこでも投票でき、一票も無駄にならないのですから、比例区での投票は重要です。

 また、都議選の結果、多くの選挙区で共産党候補が当選する可能性が出てきました。報道によれば、議席を争っているのは、東京を初め、埼玉、千葉、愛知、大阪、京都などのようです。これらの選挙区では、ぜひ議席を獲得してもらいたいものです。
 安倍首相は選挙の応援演説で、「かつて橋本内閣のときに『自民党圧勝』と新聞に書かれて(結果的に)大敗した。たった1~2%の人たちが態度を変えるだけで選挙区は逆転されてしまう」と語ったそうです。この「1~2%の人たち」の「態度」を変え、自民党を大敗させるために、最後まで諦めないことが重要でしょう。
 昨年暮れの総選挙に際して、私は『しんぶん赤旗』に、次のような共産党への期待の言葉を寄せました。今回の参院選にあたっても、同様の期待を表明したいと思います。ただし、総選挙で対決する相手は「民自公」でしたが、今回は「自公」です。

 今回の選挙は、これからの日本の進路を大きく左右するものになろうとしています。改憲勢力が国会で3分の2以上を占め、憲法96条が改定されるかもしれないからです。それに、脱原発、消費増税の撤回、反TPP、沖縄米軍基地とオスプレイの撤去、貧困と格差の是正、社会保障の充実、領土問題の平和的解決など、重要政策が目白押しです。しかも、政党の数は多く、有権者はとまどっていることでしょう。
 このような星雲状態になっている政党状況の中で、共産党は北極星のようなものです。明確な政策を掲げて、その位置は揺るぎません。道に迷ったら、この党を基準に判断すればよいと思います。自公という連立の対極にあるのが共産党ですから、政策の中味からいえば「二極」です。「第三極」といわれる諸政党はその間に位置しています。
 自公へのきっぱりとした異議申し立て、変革に向けての明確な意思表示を行うのであれば、選挙結果が衝撃的であればあるほど効果的です。共産党への一票こそ、そのようなものとなるにちがいありません。

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