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8月12日(月) 麻生副総理が「学んだらどうか」と言った「ナチスの手口」に安倍首相は学ぼうとしているのではないか [憲法]

 昨日のブログで、「安倍首相が画策している解釈改憲+実質改憲(国家安全保障基本法の制定)による「集団的自衛」権の行使容認は完全な逆行であり、戦争準備の愚行である」と書きました。ここで指摘した「解釈改憲+実質改憲(国家安全保障基本法の制定)」というやり方こそ、麻生副総理が「ナチス発言」で「学んだらどうか」と言った「手口」であり、安倍首相はまさにその「手口」に学ぼうとしているのではないでしょうか。

 麻生副総理は、問題の発言で「憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね」と言いました。この内容自体は史実に反し、麻生さんの無知を示すものですが、麻生さんが本当に言いたかった趣旨は「ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって」いたような形で、「だれも気づかないで変わった。あの手口」をこそ学ぶべきだという点にあったように思われます。
 反対運動によって世論が沸騰するような喧噪の中ではなく、静かに「だれも気づかない」うちに、粛々とした工作によって「ある日気づいたら、現行憲法が変わって」いたというような「手口」こそが、望ましいものだと言いたかったのでしょう。それが、今、安倍さんのやろうとしている解釈改憲と実質改憲(立法改憲)の組み合わせによる「だれも気づかないで変わった。あの手口」なのではないでしょうか。

 さすがに麻生さんです。安倍さんとはことなった発想によるアドヴァイスだったと言うべきでしょう。
 麻生さんは吉田茂の孫で、吉田は解釈改憲によって粛々と再武装をすすめてきました。他方の安倍さんは岸信介の孫で、岸は日米安保条約の改定を正面から提起し、歴史に残る安保闘争によって退陣に追い込まれました。
 麻生さんは安倍さんに、岸のような失敗を繰り返すことなく、吉田のようにやったらどうかと忠告したかったのでしょう。その喩えに、うろ覚えのナチスなどを持ち出し、無知をさらけ出してしまったから、大きな批判を浴びたのでしょう。

 安倍さんは、この麻生さんの忠告を受け入れたように見えます。96条先行改憲論は後景に退き、明文改憲に向けては、当面、国民投票法の改定に取り組みつつ、自民党改憲草案についての対話集会を開くなど、一定の時間をかけるつもりのようです。
 その代わりに着手しようとしているのが、集団的自衛権の行使容認と国家安全保障会議(日本版NSC)の新設、それに情報保全法の制定という課題です。これらについては、秋の臨時国会で大きな問題になるでしょう。
 すでに、集団的自衛権の行使容認については安保法制懇での検討を再開させ、内閣法制局長官のクビをすげ替えるという荒技まで行使しました。安保法制懇の答申が出たら、国会で安倍首相が解釈の変更を明言し、それを内閣法制局長官が裏付ける答弁を行うための準備が着々と進んでいます。

 このような憲法解釈の変更を確実にし、アメリカと共に戦う戦争準備のための体制づくりとなるのが、国家安全保障会議の設置です。そのために制定されるのが国家安全保障基本法ということになるでしょう。
 また、秋の臨時国会での制定がめざされている情報保全法も、このような戦争準備と密接な関わりがあります。そこで保全されようとしているのは、一般の情報であるというよりも、アメリカから提供される軍事情報であると思われるからです。
 この法律も、国民の知る権利や報道の自由、表現の自由を制限するためのものであり、「公益及び公の秩序を害する」として表現の自由を規制しようとする自民党改憲草案の21条2項を先取りするものです。まさに、法律の制定による憲法の実質的な改定、すなわち実質改憲(立法改憲)ともいうべき裏技だと言うべきでしょう。

 このようにして、安倍内閣は日本国憲法の内実を変え、いつの間にか現行憲法が変わっていたというような状況を作り出そうとしているようです。それはやがて、いつの間にか国民が戦争に巻き込まれていたという恐ろしい状況に結びつくことになるにちがいありません。

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