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10月2日(火) 安倍首相は早く国会を開き集団的自衛権の解釈変更について国民に説明するべきだ [集団的自衛権]

 集団的自衛権の解釈変更による行使容認に執念を燃やす安倍さんは、やはり「妄想」に基づく「暴走」なのではないのか。『毎日新聞』9月30日夕刊の「特集ワイド」に掲載された北沢俊美元防衛相のインタビュー記事を読んで、そう思いました。
 だって、北沢さんは、安倍さんの狙いについて「さっぱり分からんね」と答えているのですから。私を含めて、多くの人はそう思っていることでしょう。「さっぱり分からんね」と……。

 北沢元防衛相は「集団的自衛権の行使、容認すべきでしょうか」という問いに対して、「私は自衛隊も日米安保も絶対に必要だと思うけれど、これには反対です」と答えています。古典的な9条解釈改憲論で、自民党内で「保守本流」といわれた旧大平派や旧田中派、旧福田派などの潮流と同じ立場だといって良いでしょう。
 これに対して、「保守傍流」とされる潮流が自民党内にありました。旧三木派は左派傍流で、旧中曽根派が右派傍流になります。
 現在の安倍首相は中曽根-森-小泉の流れを汲む右派傍流ですが、もはや「傍流」とは言えないかもしれません。安倍流の「右翼の軍国主義」路線が、自民党内で主流になってしまったのですから……。

 また、北沢元防衛相は「行使できないと『日米同盟の信頼関係が損なわれる』と言われています」との問いに、「あのですね。米国は行使容認の必要性は感じていませんよ」と答え、次のように証言しています。

 「防衛相在任中に当時のゲーツ米国防長官と8回会談したほか、米政府やシンクタンクの多くの要人に会ったけれど、公式・非公式問わず『日本政府は集団的自衛権行使を容認すべし』との意見は全く聞かなかった。2005年まで国務副長官だったアーミテージさんだけは『容認すべきだ』と言っていたけど」

 米国の知日派として知られる「ジャパン・ハンドラーズ」には、リチャード・アーミテージ、ジョセフ・ナイ、マイケル・グリーン、カート・キャンベルなどがいますが、北沢さんは「アーミテージさんだけは『容認すべきだ』と言っていた」と述べています。湾岸戦争のときに「ショー・ザ・フラッグ」、イラク戦争では「ブーツ・オン・ザ・グラウンド」と自衛隊派遣を露骨に要求したアーミテージ元国務副長官であれば、それも当然でしょう。
 しかし、このアーミテージと共に、3回にわたって「アーミテージ・ナイ・レポート」をまとめたジョセフ・ナイはどうだったのでしょうか。このような発言は行わなかったのでしょうか。
 いずれにしても、「容認すべきだ」というのはアーミテージ個人の例外的発言で「公式・非公式問わず……全く聞かなかった」というのは、きわめて重要な証言です。当時も今も、集団的自衛権行使容認は米国政府の公的な要請であるかのように報じられていますが、それは全て「誤報だ」ということになるからです。

 さらに、北沢元防衛相が「だから現状では米国は行使容認の必要性は感じていない。あれば必ず言ってきますよ」と述べているのも重要なポイントです。第2次安倍内閣発足以降、安倍首相とオバマ大統領は2月と9月に2回の首脳会談を行っており、その時に安倍首相は集団的自衛権についての解釈見直し作業を進めていることを説明しましたが、いずれの場合にもオバマ大統領はそれを支持する発言を行わず、黙殺しています。
 つまり、オバマ大統領からは何も言われていないということになります。これほど重要な事実を、どうして日本のマスコミはきちんと報じないのでしょうか。
 北沢さんは「米国は能力のない日本に守ってもらおうなんて期待していない」とも述べています。だから、何も言ってこないのだと……。

 「となると行使容認の本当の狙いは何でしょう」。記者は続いて質問していますが、誰でも、こう聞きたくなります。
 それに対する北沢さんの答えは「いやあ、さっぱり分からんね」というものです。「安倍さんもタカ派でやってきているのだろうけれど、周りから『集団的自衛権が使えないと普通の国じゃない』とか言われて飛びついたんじゃない? 9条改正も難しい、96条改正も不評、じゃあ解釈改憲だと。何がしたいのか見えないんだよ。」
 集団的自衛権を使えるようにして、安倍首相は何がしたいのか? まさか戦争がしたいなどと、いくら安倍さんでもそう単純に考えているわけではないでしょうが、その行きつく先が霧に包まれているように見えます。

 安倍さんには、国民にきちんと説明する義務があります。世界から誤解を受けていると考えているのであれば、その誤解を解く努力をするべきでしょう。
 しかし、そのどちらも行わず、アメリカに行ってシンクタンクでの講演で「私を右翼の軍国主義者とお呼びになりたいのであれば、どうぞそうお呼びいただきたい」と居直ってしまう。これで周辺諸国との関係が改善できるとでも思っているのでしょうか。
 現に、韓国の朴槿恵大統領は30日、訪韓中のヘーゲル米国防長官と会談し、日韓関係について「歴史や領土問題について、しばしば時代に逆行した発言をする(日本の)指導部のせいで、信頼が形成できない」と語って安倍政権を改めて非難し、早期の日韓首脳会談に否定的な考えを示しました。このような言動を行う安倍首相の「本当の狙いは何か」という疑問が、内外で高まるのも当然でしょう。

 参院選前に通常国会が幕を閉じてから、短期間の特別国会を除けば、すでに3ヵ月間も国会が開かれていません。国会は長い「夏休み」に入ったままです。
 安倍首相は外国に行って原発の放射能汚染水について「状況は完全にコントロールされている」と大嘘をついたり、「積極的平和主義を目指す」と言って大見得を切ったりする前に、安倍首相が考えている「本当の狙いは何か」国民にきちんと説明するべきでしょう。所信を明らかにして国政の進むべき方向を審議するためにこそ、国会があるのですから……。

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