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10月4日(金) 安倍首相の改憲論を公然と批判した在韓米軍高官の発言 [国際]

 『朝日新聞』10月2日付12面の「国際欄」に小さな記事が掲載されていました。「ワシントン」発の二段記事です。
 そこには、こう書かれていました。

 在韓米軍高官は1日、憲法9条の改正などを巡る安倍首相の発言や日本国内の議論について「この地域の役に立たない」と批判した。記者団に語った。
 この高官は「憲法と自衛隊(のあり方)の見直しの議論について、ここ数カ月の安倍首相の発言をすべて読んだが、率直に言ってこの地域の役に立たない」と話した。また、「憲法9条改正が非生産的だという意味か」と問われ、「(この地域で)そのように見られるかもしれないことは明らかだ」と話した。
 この発言を受けて、米国防総省のリトル報道官は「米国は日米韓協力の拡大を期待している。歴史的な緊張はあるが、民主主義など共通するつながりに基づく未来があることも認識している」との談話を発表した。

 これについて、時事ドットコムhttp://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2013100100986では、「日本の憲法改正『無益』=米軍当局者が批判」という表題の下、もう少し詳しく報じられています。その内容は、以下のようなものです。

 【ソウル時事】在韓米軍当局者は1日、安倍政権が目指している憲法9条の改正について「地域にとって無益だ」と批判した。ソウル市内で一部記者団に語った。隣国である中韓両国との関係に良い影響を与えないとの認識に基づく発言で、米軍当局者が日本の憲法問題に明確な立場を示すのは異例だ。
 当局者はこの中で、「過去数カ月間、安倍(晋三)首相が語ってきたことを(報道などで)全て読んだが、率直に言って地域にとって無益だ」と指摘。具体的には「憲法の変更をめぐる議論」を問題視した。当局者はまた、9条改正が非生産的だという意味なのかと問われ、「(地域で)そういうふうに受け取られる恐れがあることは明白だ」と応じた。
 ただ、この後ソウル市内のホテルで記者会見したロックリア太平洋軍司令官は、北朝鮮をはじめとする脅威に対処するため憲法を変える必要があると感じた場合、「日本など地域各国の政府は議論を行う必要が出てくる」と強調。日本国内の動きに一定の理解を示した。 
 司令官はまた、日本が地域各国と安全保障面での協力を強めていることにも「極めて有用だ。全ての同盟国やパートナーに歓迎されており、良い兆候だ」と評価した。
 司令官と当局者の見解には大きな開きがあり、米軍内で日本の憲法改正に関する見方が定まっていないことを浮き彫りにした。

 最後の指摘が重要でしょう。「司令官と当局者の見解には大きな開きがあり、米軍内で日本の憲法改正に関する見方が定まっていないことを浮き彫りにした」という指摘が……。
 米軍であれば、安倍首相の目指している9条の改憲による自衛隊の国防軍化、集団的自衛権の行使容認などについて諸手を挙げて賛成しているように思われがちですが、ところがどっこい、そうではないというのですから……。
 私は、オバマ米大統領の対応から、安倍路線を支持する国防省サイドとそれに批判的な国務省サイドの違いがあると考えていました。しかし、この記事によれば、国防省傘下の「米軍内」にも、このような違いが存在しているということになります。

 ロックリア太平洋軍司令官が安倍路線を支持するのは当然でしょう。しかし、「在韓米軍当局者」が安倍路線を批判するというのは意外でした。
 安倍さんとしても、意外だったのではないでしょうか。米軍であれば、当然にも9条改憲と「軍国主義」化路線を支持してくれていると思い込んでいたでしょうから……。
 しかし、この高官は「安倍政権が目指している憲法9条の改正について「地域にとって無益だ」と批判したというのです。具体的には「憲法の変更をめぐる議論」を問題視し、「9条改正が非生産的だという意味なのかと問われ」、「(地域で)そういうふうに受け取られる恐れがあることは明白だ」と応じたそうです。

 さて、安倍さんはどうするのでしょうか。このような意見に反論するのでしょうか。
 それとも無視したまま、「無益」で「非生産的」な9条改憲の試みを続けるつもりなのでしょうか。

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