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10月6日(日) 連合第13回定期大会を傍聴してきた [労働組合]

 これではまるで「青菜に塩」だなー。労働組合ナショナルセンターの連合(日本労働組合総連合会)第13回定期大会を傍聴した感想です。
 大会は10月3日(木)と4日(金)に東京国際フォーラムで開かれ、私は初日だけの傍聴でしたが、まったく元気がありません。一日目の議事は予定より1時間早く終了するなど、「闘う労働組合」とは程遠い姿にガッカリしてしまいました。

 連合の定期大会を傍聴するのは、これで3回連続になります。古賀前事務局長に直接お願いして傍聴券を手配していただきましたが、その古賀さんが事務局長から会長に選出されたのが4年前の第11回定期大会でした。
 この時は直前の総選挙で政権交代が実現して民主党中心の連立政権が発足し、首相になったばかりの鳩山民主党代表が挨拶(私は交通機関の乱れのために遅刻し、この挨拶を聞くことができませんでした)するなど、喜びと熱気に溢れた大会でした。東日本大震災の半年後に開かれた前回の第12回定期大会には野田佳彦新首相が出席し、連合は震災復旧のボランティア活動に全力で取り組んでおり、使命感に燃えた情熱と行動力を感じさせるものがありました。
 しかし、今回の大会に安倍首相は「公務のために」欠席し、そのような熱気や使命感のどちらも感じられませんでした。昨年暮れの総選挙で再び政権が自民党の手に戻り、直前の参院選でも民主党が大敗したのですから、それも当然でしょう。

 大会では、「ストップ・ザ・格差社会! すべての働く者の連帯で『安心社会』を切り拓こう!」というスローガンが掲げられていました。古賀会長の冒頭あいさつでは、労働分野の規制緩和を許さず、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を保障する社会的うねりをつくること、2014春季生活闘争で家計部門の所得の向上を実現し、デフレ経済の悪循環を絶ちきることなどが新たな運動展開の課題として示されました。
 一昨日の規制改革会議では派遣労働に関する規制緩和を求める意見書が出されるなど、新自由主義的な規制緩和に向けての新たな攻勢が始まっています。これと対峙すべき連合の役割は極めて大きく、この点での奮闘を期待したいと思います。
 春闘での賃上げについては、討論の中でも積極的な取り組みを求める発言が相次ぎ、統一ベア要求闘おうとの呼びかけもありましたが、統一ベア要求を掲げるとの答弁はありませんでした。今後の中央委員会で春闘方針を論議する際に再び問題になるでしょうが、連合としてのベア要求を掲げ、正規だけでなく非正規労働者の賃上げに向けての具体的な方針を打ち出してもらいたいものです。

 また、討論の中では、脱原発に向けて、再稼働を許さず再生エネルギーへの転換に向けての具体的な方針を提起してもらいたいとの要望も示されました。他方で、エネルギー政策について、「現実的建設的なものとなるように」との意見も出されています。
 これにたいして南雲事務局長は「最終的には、原子力エネルギーに依存しないという方向で政策展開したい」と答弁するにとどまりました。「脱原発」や「原発ゼロ」という言葉がなかったのは残念です。
 小泉元首相ですら脱原発を主張するようなご時世で、状況が大きく変わってきています。放射能汚染の危険にさらされている原発関連産業で働く労働者の組合こそ、1日も早く原発依存から離脱することを求めるべきではないでしょうか。

 今回の大会では、10年ぶりに「連合の政治方針」の改定が提案されました。しかし、「政権交代可能な二大政党的体制をめざす」という基本的な方針に変更はありません。
 このような方針の適合性については、十分な検討が必要だったのではないでしょうか。政権交代が挫折したのは民主党の未熟さのせいでしょうが、同時に、それを全面的にバックアップしてきた連合の対応にも問題があったように思われます。
 この点についての総括は極めて不十分だという印象です。連合の政治方針についての討議で発言したのが、たった2人にすぎなかったというのも意外でした。

 そのうちの1人は、憲法改悪反対の一大運動を連合が中心になって展開すべきだと主張し、集団的自衛権の行使容認の動きについても警鐘を鳴らすべきだと発言しました。これは注目すべき指摘ですが、これへの拍手はパラパラで、改憲や集団的自衛権という言葉が登場したのはこのときだけです。
 もう1人も、新自由主義に対抗する広範なリベラル勢力の結集が必要だとし、民意が反映されない小選挙区制の問題点を指摘しました。これも重要な発言だったと思われますが、小選挙区制について検討し研究することは問題ないというレベルの答弁で、その総括が明らかにされることはありませんでした。

 南雲事務局長は、憲法問題について、これまであった「憲法改正を俎上に乗せることは時期尚早と判断する」との記述を削除したことについて、「自民党が改憲草案を出してきている現状では不安がある」との意見があったことを紹介しながら、「憲法は不磨の大典ではない」と説明していました。また、答弁でも、危惧の念に対する理解を示しつつ、「憲法の平和主義を貫徹するということを明確にしたうえで改悪はさせないという強い意志を持っている」と強調しました。
 これらのやり取りからも、憲法をめぐって連合内に様々な異論のあることがうかがわれます。今後、改憲の動きがさらに具体的になった場合、「憲法改悪反対の一大運動」に取り組めるのでしょうか。
 とはいえ、南雲事務局長の言葉通り、自民党の狙う9条改憲阻止のために力を尽くし、「憲法改悪反対の一大運動」を展開してもらいたいものです。予算案では、大衆行動費に重点的に配分したとのことですから、今後の「大衆行動」に注目したいと思います。

 たとえ弱点や不十分さがあっても、連合は基本的には労働組合です。労働者の権利を守り、利益を実現するという原点だけは、どのような状況になっても忘れて欲しくないものです。
 今回の大会を傍聴して、「連合よ、初心に帰れ」との思いを強くしました。もっと元気を出して働く人々の砦となり、「あって良かった労働組合」と言われるような実績を挙げてもらいと、改めてそう思った次第です。

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