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10月23日(水) 言論・報道・表現の自由が音を立てて崩れようとしている [国会]

 「なんと正直な」と思いましたね、21日の予衆院算委員会での安倍首相の答弁です。安倍首相は、石破自民党幹事長の質問に答えて、次のように説明しました。

 石破幹事長 重要な情報を管理するために特定秘密保護法を制定すべきだ。
 首相 各国情報機関との情報交換は、秘密厳守が大前提だ。日本版NSC(国家安全保障会議)の機能を発揮させるためにどうしても必要だ。

 石破さんは、本当は「重要な情報を『隠蔽』するために特定秘密保護法を制定すべきだ」と言いたかったのではないでしょうか。これに対して安倍首相は、「日本版NSC(国家安全保障会議)の機能を発揮させるために」、このような法律が必要だと答えました。
 この答弁からは、「特定秘密」とは各国(米)情報機関から提供される軍事機密であることが分かります。日本をアメリカと共に「戦争できる国」にするため、集団的自衛権の行使を認め、「日本版NSC(国家安全保障会議)」を設置し、その「機能を発揮させるためにどうしても必要」なものとして「特定秘密保護法」を制定しようとしているわけです。
 しかし、そのアメリカは国際的な覇権を失いつつあり、イランとも和解し、世界戦略を転換しつつあります。それなのに、このような法律を制定しようとしているのは何故でしょうか。

 そのもう一つの理由は、政府によって隠したい情報を隠せるようにするためでしょう。何が「特定秘密」であるかは「秘密」にされているのですから……。
 政府の恣意によって「特定」の「秘密」が指定され、それが保護されることになります。国民の知る権利は大きく損なわれるでしょう。
 「知る」ために情報を集めたり、内部告発したり、漏らしたりすれば、法律に基づいて罰せられることになります。これほど、為政者にとって好都合な法律があるでしょうか。

 この法律は、自民党の憲法草案の先取りでもあります。現行憲法21条には「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」とありますが、自民党の憲法草案の21条2には「前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない」と書かれているからです。
 ここには、「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由」に対する例外規定が定められています。「特定秘密」の保護が認められれば、これも憲法21条の例外とされるでしょう。
 かくして、日本は公安警察と自衛隊情報保全隊の天下となることでしょう。言論・報道・表現の自由が音を立てて崩れようとしていると言わざるを得ません。

 自民党は総選挙で「日本を取り戻す」というスローガンを掲げました。このスローガンの前には、「戦前の」という言葉が隠されていたのではないでしょうか。
 「戦前の日本を取り戻す」――安倍首相の本当の狙いはそこにあるようです。この点にこそ、安倍首相の時代錯誤性が端的に示されているように思われます。

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