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12月27日(金) 安倍首相の靖国神社参拝に抗議する [首相]

 この人には、総理大臣としての資格はありません。国や国民の利益よりも、個人的な「思い」の方を優先したのですから。
 A級戦犯が祀られ、侵略戦争を美化している宗教施設に現職の総理大臣が白昼堂々と参拝したことの意味は極めて大きなものがあります。安倍晋三首相の靖国神社参拝に強い憤りを持って厳重に抗議するものです。

 総理大臣の時に「靖国神社に参拝したい」という「思い」を遂げて、安倍さんはスッキリしたかもしれません。しかし、そのために中国や韓国との関係はもとよりアメリカとの関係も悪化し、日本が国際的に孤立することは確実です。
 岸田文雄外相は「個人の心の問題と認識している」とする一方、「こうした問題が政治・外交問題化するようなことは避けなければならない」と述べています。しかし、靖国参拝が「個人の心の問題」にとどまらず、直ちに「政治・外交問題化するようなことは避け」られません。そんなことも分からないようでは、外相としての資格はないでしょう。
 現に、中国外務省の報道官は「中国政府は、日本の指導者が粗暴にも中国とその他のアジアの被害国の国民の感情を踏みにじり、公然と歴史の正義と人類の良識に挑戦した行動に強い憤りを示す」とする談話を発表し、韓国政府も「嘆かわしく怒りを禁じ得ない」と非難する声明を出しています。さらに、在日米大使館まで「近隣諸国との緊張を悪化させるような行動を取ったことに米政府は失望している」とする事実上の批判声明を発表しました。まさに「四面楚歌」とも言うべき状況になっています。

 新藤義孝総務相は「私的参拝、個人の行為だ。どんなときでも自由に自分の気持ちに従い参拝すればいい」と語っています。しかし、「私人として」などという言い訳は通用しません。
 第1次内閣のときに参拝できなかったことを「痛恨の極み」として、第2次内閣での機会を狙っていたのですから。安倍さんにとっては、総理大臣であるときに総理大臣として参拝することこそ重要だったのです。
 「私人として」参拝したいのであれば「私人」の時にやればよいのであって、何も「公人」の時に出かける必要はないはずです。中国や韓国との関係を悪化させ、日本外交を傷つけることを避けたいというのであれば、首相でなくなってからいくらでも参拝できるのですから……。

 参拝後に発表した談話で、安倍首相は「国のために戦い、尊い命を犠牲にされた御英霊に対して、哀悼の誠を捧げるとともに、尊崇の念を表し、御霊安らかなれとご冥福をお祈りしました」と述べていました。しかし、そのような場として宗教施設でA級戦犯が合祀されている靖国神社は全くふさわしくないということ、もし、そのような祈りを捧げたいのであれば千鳥ヶ淵の戦没者墓苑に行くべきだということは、先般来日して千鳥ヶ淵の戦没者墓苑を訪れたアメリカのケリー国務長官とヘーゲル国防長官が先例として示したではありませんか。
 また、安倍首相は記者団に、「中国や韓国の人々の気持ちを傷つける考えは毛頭ない」とし、「理解してもらうための努力を重ねていきたい」と語りました。しかし、「努力」しなければ「理解」してもらえないようなことを、何故わざわざやったのでしょうか。
 参拝を自粛しても中・韓両国との関係は変わらず、好転する兆しがないからだと説明する「識者」もいます。しかし、事態が好転しないからといって、どうして悪化させるようなことをしなければならないのでしょう。

 安倍首相は、これまで靖国神社を参拝した吉田、中曽根、大平、橋本、小泉などの先輩の首相の名を挙げて弁解していました。しかし、このような言い訳は通用しません。
 これらの首相が参拝したどの時代であっても、首脳会談すら開けないほど中韓両国と日本との関係が悪化していたでしょうか。そのどの首相であっても、改憲や集団的自衛権の行使容認をめざし、自衛隊を国防軍にしようとしていたでしょうか。
 周辺諸国との関係が極度に悪化し、国家安全保障会議の設置や特定秘密保護法、防衛費の増額や武器輸出3原則の骨抜きなど軍国主義的なタカ派政策が全面的に発動されるなかでの靖国参拝であるという点で、今回の参拝はこれまでとは大きく異なっています。その悪影響もこれまでとは格段に違う大きなものとなり、経済的にも重大な損失を被ることになるでしょう。

 安倍首相は、一昨日、沖縄の仲井真県知事と会談して米軍普天間基地の辺野古移設を強要しました。「空手形」を乱発して米軍基地の存続と強化を仲井真さんに飲ませようとし、仲井真さんはこの圧力に屈してしまいました。
 このような形で沖縄に米軍基地を置かなければならないのは、周辺諸国との緊張が止まないからではありませんか。沖縄の負担軽減を言うのであれば、その原因となっている周辺諸国との緊張を緩和するために努力するべきでしょう。
 ところが、その翌日に、安倍首相は靖国神社に参拝したのです。この行為が、中国や韓国の批判や反発を招き、両国との緊張をいっそう高めるであろうことを十分に知りながら……。

 一方での沖縄米軍基地の存続と強化、他方での靖国神社参拝による周辺諸国との緊張激化――これが、この二日間に安倍首相の行った行動です。そのような行動が日本周辺の平和と安全保障環境の改善に役立つどころか、さらに悪化させることは明らかです。
 このような緊張激化とタカ派政策の悪循環を絶たなければなりません。靖国神社に葬られるような人を二度と再び出さないためにも……。

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