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2月28日(金) 「裏口」さえぶっ壊す「憲法クーデター」を許してはならない [憲法]

 昨日の『しんぶん赤旗』の一面に、私のコメントが出ました。以下のようなものです。

 保守政治家や改憲論者からも安倍首相の解釈改憲強行発言に批判の声が上がる背景に何があるのか。法政大学大原社会問題研究所の五十嵐仁教授はこう指摘します―。
 「保守や改憲論者でも、民主主義や憲法がどうあるべきかという常識くらいは持っています。それをまったく理解していない安倍首相の異常さが際だっており、それへの驚きもあるのでしょう」とみます。
 同時に五十嵐教授は、憲法改定手続きを緩和する96条改定論をめぐってこの間「立憲主義とは何か」について一定の議論の積み重ねができていたことをあげ、「96条改憲論は手続きを踏んで明文改憲をやろうというものでしたが、今回の場合は〝オレは選挙で選ばれたんだから、思うとおりやらせてもらう。イヤなら次の選挙で落とせばいい〟という独裁的なやり方で、裏口入学どころか裏口すらぶっ壊すようなものです。多くの人が 批判するのは当然のこと」と述べます。

 安倍首相はもともと改憲論者で、当初は9条の明文改憲を狙っていました。しかし、それが難しいとなると、改憲の手続き条項である96条を先ず変えて改憲発議の「ハードル」を下げようとしました。
 しかし、このような姑息なやり方は改憲論者である人々からも「裏口入学ではないか」と批判を受け、どの世論調査でも反対の方が多くなりました。国会での発議のために必要な賛成を三分の二から半分に引き下げようというのですから、それも当然です。
 正門からも「裏口」からも入るのは難しいと知った安倍首相は、いっそのこと門をぶっ壊して中に押し入ろうとしているようです。これが、今回の国会での「オレは選挙で選ばれたんだから、思うとおりやらせてもらう。イヤなら次の選挙で落とせばいい」と言わんばかりの答弁でした。

 これは正規の手続きを踏まない実質的な改憲を意味しています。「解釈だけなら誰でも変えられる」と思っているのかもしれませんが、このようなことを許したら憲法の規範性がなくなってしまいます。
 ときの政権や首相の一存で解釈が変えられ、その意味合いが変更されることになれば、一体、何のために憲法が存在するのでしょうか。常に変わらぬ規範を示すものであるからこそ、憲法は国の「基本法」であり、最高法規としての位置を占めることができるはずです。
 これのような「憲法のイロハ」も分からず「民主主義や憲法がどうあるべきかという常識」がない点で「安倍首相の異常さが際だって」いるからこそ、保守政治家や改憲論者とされる人々からも、その発言に対する驚きや批判、異論が出されているわけです。

 前回のブログで、日本と日本人(もちろん、ほんの一部にすぎないと思いますが)は「ネオ・ナチ化」しつつあるのではないかと指摘しました。その先頭を走っているのが、この国のトップリーダーである安倍首相だと言うべきでしょう。
 この人の言動に励まされるような形で極右勢力が台頭し、周辺諸国の人々を貶み排除するヘイト・スピーチやヘイト・デモが行われ、NHK会長や一部の経営委員の誤った歴史認識に基づく「トンデモ発言」がなされ、果ては『アンネの日記』関連の書籍に対する「焚書」事件が勃発したのではないでしょうか。
 社会の空気がドンドン変わっていき、「本当に戦争が起きるのではないか」と心配しなければならないような状況が生まれています。安倍首相がめざす集団的自衛権行使容認のための憲法解釈の変更によって、このような空気は薄まるのでしょうか、それともますます濃くなっていくのでしょうか。

 同時に、このようなやり方の異常さに多くの国民が気づき、批判が強まっているという、もう一つの翼面も忘れてはなりません。それは「憲法改定手続きを緩和する96条改定論をめぐってこの間『立憲主義とは何か』について一定の議論の積み重ねができていた」からです。
 これは、安倍首相が「裏口入学」を試みて「96条先行改憲論」を打ち出したことによる「成果」であったと思われます。その意味を学ぶうちに、憲法とは国民ではなく時の為政者を縛るものであるという立憲主義に対する理解が深まりました。
 だからこそ、安倍首相のやろうとしていることが「憲法クーデター」にほかならないという本質を見破る力を身につけ、今回の言動の「異常さ」が際立って見えたのではないでしょうか。私もこの間、「9条の会」や革新懇などによる講演会や学習会に呼ばれて沢山話をしてきましたが、それは決して無駄ではなかったということになります。

 ボールは強い力で打ち付ければ、それだけ高く跳ね返ってきます。太鼓は強く叩けば叩くほど、大きな音が出ます。
 改憲をめざして、安倍首相ほど強く打ち付け強く叩く首相は、これまでいませんでした。だからこそ、それだけ強く跳ね返り、大きな音が出ているのではないでしょうか。
 これらの跳ね返りや音をさらに大きなものとし、できるだけ早期に安倍内閣を倒して解散・総選挙を実現したいものです。そして、「イヤなら次の選挙で落とせばいい」という首相の言葉に従って、次の選挙で政権からたたき落とすことが必要でしょう。

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