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5月13日(火) 集団的自衛権の行使容認を目指す安倍首相の「暴走」はクーデター同然の茶番劇だ [集団的自衛権]

 集団的自衛権行使容認をめぐる情勢が風雲急を告げています。明日にも安保法制懇が答申を出し、首相側は週内に事例集を中心にした「基本的な方向性」を提示して検討を求め、公明党の了承を得て閣議決定を行いたいとの考えだといいます。
 集団的自衛権の行使容認をめぐっては、そのこと自体についてだけでなく、憲法解釈の変更を閣議決定で行うというやり方についても厳しい批判があります。それを無視して「出来レース」を組み立て、強行突破しようとしている安倍首相の政治運営は「暴走」というしかなく、断じて許されるものではありません。

 そもそも安保法制懇は首相の私的諮問機関であって、その構成員は安倍首相の「お友達」ばかりです。自分と同意見の「有識者」を集めて思い通りの答申を出させ、それを根拠に憲法の根幹を180度転換させようというわけですから、クーデター同然の茶番劇です。
 しかも、このようなやり方もそのメンバーの多くも、すでに第1次安倍内閣の二番煎じにほかなりません。安保法制懇は07年に首相の私的諮問機関として発足し、首相退陣後の08年に報告書をまとめて福田康夫首相に提言しましたが、たなざらしになったという経過があります。
 それから6年が経ちましたが、一体、どのような不都合があったというのでしょうか。今回、このような形で再び同じような動きが繰り返されることが、なぜ必要なのでしょうか。

 今日の『朝日新聞』の報道によれば、政府が「基本的な方向性」に盛り込む予定の事例は以下のようなものだといいます。
【集団的自衛権】
●公海上で米艦船への攻撃に対する応戦
●米国に向かう弾道ミサイルの迎撃
●日本近隣で武力攻撃した国に武器を供給するために航行している外国船舶への立ち入り検査
●米国を攻撃した国に武器を提供した外国船舶への検査
●日本の民間船舶が航行する外国の海域での機雷除去
○朝鮮半島有事の際に避難する民間の邦人らを運ぶ米航空機や米艦船の護衛
【集団安全保障】
●国際平和活動をともにする他国部隊への「駆けつけ警護」など自衛隊の武器使用
●国際平和活動に参加する他国への後方支援
【グレーゾーン事態】
●日本の領海に侵入した潜水艦が退去要請に応じない場合の対処
○離島に上陸した武装集団への対処
【注】●は政府がこれまで安保法制懇に示した事例。○は今回、新たに追加された事例。

 いずれの事例も、ほとんど現実的にはあり得ない荒唐無稽なものです。リアリティがないのは、具体的事例への対処の必要性よりも行使容認という目論見の方が先にあるからです。
 とりわけ、批判的な姿勢を崩さない公明党を説得するために、あれこれとこじつけの理由を列挙せざるを得なくなっています。しかし、いずれの事例においても相手国の攻撃を引き出して日本を戦争に巻き込む危険性が際立つという皮肉な結果になりました。
 公海上で米艦船への攻撃に応戦すれば反撃を受けるでしょうし、米国に向かう弾道ミサイルを迎撃すれば、今度は日本が狙われます。外国船舶への立ち入り検査を強行すれば反撃されるかもしれませんし、外国の海域での機雷除去も戦闘中であれば反撃されるでしょう。

 集団的自衛権が行使される場合、当初において日本は攻撃されていません。しかし、それを行使して同盟国を守ろうとすれば、直ちに日本は新たな攻撃対象とされ、戦争の当事者になります。
 戦争の埒外にある日本は、自ら進んで戦争に加わることになるわけです。それが、日本の安全を高めることになり、積極的に平和を守ることになるのでしょうか。
 しかも、守るべき最大の同盟国であるアメリカは、ベトナム戦争でもイラク戦争でも、偽りの情報を元に不正義の戦争を行ったという実績があります。そのアメリカと運命を共にし、生命を無駄にしたアメリカの若者と同様に日本の若者の生命を危険にさらすことになっても良いのでしょうか。

 現在のような情勢の下で集団的自衛権の行使が容認されれば、周辺諸国との関係が悪化することは避けられません。「日本周辺の安全保障環境が激変」し、緊張が激化することは明らかです。
 そんなことも、安倍首相には分からないのでしょうか。世論や反対意見を無視してクーデター同然の茶番劇に狂奔する安倍首相こそ、日本の安全を損なう最大の脅威になっていると言わなければなりません。

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