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7月4日(金) 集団的自衛権行使容認の閣議決定、拉致問題解決に向けての新展開、習中国国家主席の韓国訪問の関連性 [国際]

 集団的自衛権行使容認の閣議決定に続いて、北朝鮮の拉致問題解決に向けての日朝協議が開かれ、制裁の一部緩和が決まりました。同時に、中国の習近平国家主席が訪韓して中韓首脳会談が開催されています。
 立て続けに、極東における平和と安全にかかわる重要な出来事が生じたことになります。そして、この3つの出来事は相互に深く関連していることを見逃してはなりません。

 集団的自衛権行使容認の閣議決定に対して、中国と韓国はともに批判的な見解を明らかにしています。特に「仮想敵国」とされている中国の反発は強く、このような日本の政策転換に対応してさらに軍事力を強化すると見られています。
 そうなれば、東シナ海での緊張はさらに高まり、偶発的な衝突の可能性も強まるでしょう。新たな軍拡について、安倍首相の好戦的政策への対応としてやむを得ないものだと、中国は内外に対して説明することができます。
 つまり、安倍内閣の集団的自衛権の行使容認は、中国の軍拡への格好の口実を与える結果となるでしょう。日本の安全保障における抑止力は高まるのではなく、逆に低下することになります。

 このような中国の対応を韓国は批判せず、連携強化で合意しました。その背景には、この間の中韓両国の政治外交的・経済的な結びつきの強まりがあります。
 政治外交的な結びつきを促進した重要な要因は、安倍首相の登場でした。これによって両国は警戒感を高めただけでなく、従軍慰安婦問題や靖国参拝への批判という点で立場を共にし、集団的自衛権の行使容認の閣議決定についても警戒ないしは批判的な立場で共通しています。
 また、日中両国間の関係悪化という間隙をついて、中国という巨大市場への進出を強めたいという韓国政府の思惑もあったでしょう。そのようなチャンスを韓国に与えたのも、安倍首相の中国敵視政策でした。

 こうして中韓両国は接近し、何回もの首脳会談を開いて「親戚」のような関係を強めることになります。これに対して危機感を抱いたのが北朝鮮でした。
 中国の習近平主席が北朝鮮よりも先に韓国を訪問することは、伝統的に深い関係にあった中国の後ろ盾を失うことになります。このような危機感を強めた北朝鮮が接近を図ってきたのが日本でした。
 拉致問題の解決に向けて北朝鮮が急転換を示したのは、そのためだったと思われます。今度こそ全面的な解決が図られ、それが核開発やミサイル問題の解決にも結びつくことを強く期待したいと思いますし、その可能性は小さくないように見えます。

 このような形で拉致問題などの解決が図られれば、次に浮上するのが日朝間の国交正常化交渉でしょう。ここでも新たな進展が生じ、極東での緊張が緩和されることを期待したいと思います。
 そうなれば、朝鮮半島有事などという悪夢は雲散霧消してしまうにちがいありません。集団的自衛権行使容認について国民を説得するために掲げられたパネルの非現実性が際立つことになります。
 本来、このような対話と交渉でこそ日本の安全は確保されるべきであるということを、国民の多くが理解することになるでしょう。安倍首相の主張と政策転換がどれほど現実離れしていて時代錯誤の空論であるかということも……。

 しばしば外国での演説で安倍首相は、力づくでの現状変更に反対であると主張してきました。国外で主張することを、どうして国内で実践しようとしないのでしょうか。
 今回、安倍首相は憲法という最高法規を守らず、一片の閣議決定によって力づくでの現状変更を行いました。このような愚行によって自らの言葉の説得力を大きく失わせてしまったということに、安倍首相は気付いていないのでしょうか。


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