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7月18日(金) やはり特定秘密保護法は廃止するしかない [秘密保護法]

 「戦争できる国」を作るための作業が進行しています。戦争するためには、自衛隊を国軍化して軍事的な能力を高め、海外に派兵できるような法制度を作らなければなりませんが、これは集団的自衛権の閣議決定によって突破口が開かれました。
 訪米した小野寺防衛相は、さっそく強襲揚陸艦を視察して導入する意向を示し、来年度予算でオスプレイ17機を購入する計画を明らかにしています。沖縄米軍基地に配備されているオスプレイが厚木基地に飛来し、横田基地にも来ようとしてしていますが、これは自衛隊によるオスプレイの導入と訓練に向けて国民を慣らすためでしょう。

 これに加えて、「戦争できる国」を作るためには、それを支えることのできる社会が必要です。政府の言うままに戦争を支持し、ときには進んで協力する社会なしには戦争を遂行することはできません。
 そのための体制作りが世論の統制と操作であり、情報の隠ぺいと秘匿です。軍事機密を隠すこと、不都合な情報を知らせないこと、誤った情報を信じ込ませることなどが狙われています。
 昨年の臨時国会で成立した特定秘密保護法は、そのような体制作りのための根幹をなすものです。それだけに国民の懸念は大きく、マスコミ界や学界などからの反発や批判も強力なものでした。

 このような反発や批判に驚いた政府は、一定の対応を余儀なくされます。その一つが、昨日開かれた有識者会議「情報保全諮問会議」でした。
 ここでは特定秘密保護法の運用ルールが議論され、特定秘密の指定・解除に関する政令と運用基準の素案が提示されました。素案は留意事項として、必要最小限の情報を必要最低限の期間に限って特定秘密として指定することや基本的人権、報道・取材の自由の尊重を明記したうえで、秘密を指定できる行政機関を防衛省や外務省、警察庁など19機関に限定し、特定秘密に指定可能な分野とした防衛、外交、特定有害活動(スパイなど)防止、テロ防止の4分野23項目を55項目に細分化しています。
 また、政府による恣意的な秘密指定や廃棄を防ぐ監視機関として内閣官房に府省庁の事務次官級でつくる「内閣保全監視委員会」(仮称)を設置して運用基準が守られているかどうかをチェックし、内閣府に審議官級の「独立公文書管理監」(同)、その下に「情報保全監察室」(同)を置いて行政文書の管理が適正かどうかを監査するとしています。

 しかし、これらの監視機関はいずれも内閣官房や内閣府に置かれるもので、いわば身内の組織です。政府にとって都合の悪い情報が隠されてしまうのではないか、という懸念が払拭されるわけではありません。
 特定秘密に当たる情報については55項目に細分化されましたが、どの文書がどの項目に当てはまるかの解釈は各省庁に委ねられ、特定秘密の指定期間も各省庁の判断次第です。また、秘密として指定された期間が30年以下の文書は、「歴史的公文書」に当たらなければ首相の同意を得て廃棄できますが、「歴史的」の定義は不明確で勝手に廃棄されてしまう可能性もあります。
 内閣府に新たに置かれる「独立公文書管理監」は、特定秘密を直接見て監視するわけではありません。各省庁の大臣らに特定秘密の提出を求めて運用基準に合わないと判断すれば指定解除を要求できるとされていますが、強制権限はなく情報開示を拒否できます。

 要するに、このような素案によっても、何が秘密なのかを秘密にすることができ、秘密の範囲がどんどん広がり、それが秘匿されたまま半永久的に公開されない危険性があります。特定秘密保護法がもっている根本的な欠陥は全く是正されていません。
 土台が傾いて建てられた欠陥住宅は、どのように飾り立ててみても住むことはできないのです。取り壊すしかないでしょう。
 このような欠陥法は、施行されることなく廃止されるべきです。それが「戦争できる国」づくりの一環であるとすれば、なおさら施行させてはなりません。

 日本は国民主権の国です。機密情報といえども国民の財産であり、行政や特定の機関が隠したり占有したりすることは許されないのです。
 一時的に保護されることがあっても、最終的には国民に知らされることが保障されなければなりません。もともと、情報は国民のものなのですから……。
 それに例外を設けた特定秘密保護法は、情報における国民主権を否定しています。どのように運用を工夫してみてもこのような本質を変えることはできず、きっぱりと廃止する以外の選択肢はありません。

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