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9月26日(金) 集団的自衛権を阻むために、 安倍政権の打倒を(その2) [論攷]

〔以下の論攷は、全国学者・研究者日本共産党後援会が発行する『全国学者・研究者後援会ニュース』No. 164(部内資料)、2014 年 9 月 18 日付、に掲載されたものです。2回に分けてアップします。〕

着々と進んでいる既成事実化

 ここで注目すべきなのは、集団的自衛権の行使容認と同時並行的に、戦後日本の政治的な枠組みが着々と改変され、既成事実化が進んでいることである。今後は、これらの一つひとつの現れに反撃していかなければならない。
 まず第 1 に、「戦争する国」に向けての法律や制度の改変である。たとえば、国家安全保障会議(日本版 NSC)と国家安全保障局の新設による戦争指導体制の整備、武器輸出3原則から防衛装備移転3原則への変更による武器輸出への転換、軍事利用解禁を検討する ODA 大綱改定の提言などの動きがあった。今後、集団的自衛権行使容認に向けての自衛隊法など関連法の改定がこれに続く。
 第2に、自衛隊の「戦力」化と在日米軍基地の強化である。たとえば、国家安全保障戦略や新防衛計画の大綱・新中期防衛力整備計画の閣議決定、陸上総隊と「水陸機動団」の編成による日本版海兵隊の新設、水陸両用車、無人偵察機、オスプレイなどの導入計画、佐賀空港へのオスプレイ配備構想、沖縄・普天間基地移設に向けての辺野古沖ボーリング調査の開始などがある。「戦争する国」にふさわしい「戦える軍隊」への変貌にほかならない。
 第3に、世論対策と教育への政治介入である。これについては、主要マスコミ首脳との会食、NHK 会長と経営委員への「お友達」の選任などマスコミ対策、特定秘密保護法と改正国会法による秘密会の設置による軍事機密の秘匿と情報の隠蔽や取材規制、教育再生実行会議主導の愛国心教育、教育委員会や教科書への介入、道徳の教科化などによる「戦争する心」づくりなどを挙げることができる。「戦争する国」になるには、「戦争を支える社会」と「戦える人材」の確保が不可欠であり、そのための準備も着々と進められている。   
 このほか、消費増税と意識的な物価の引き上げ、「世界で一番企業が活躍しやすい国」をめざした「雇用改革」と労働の規制緩和、社会保障サービスの低下と国民の負担増、原発の輸出と再稼働への動き、TPP(環太平洋経済連携協定)への参加など、国民の命と暮らしに対する攻撃は目白押しである。

ついに提起された安倍政権打倒の国民的大運動

 日本共産党の志位和夫委員長は、7月 15 日の党創立 92 年記念講演会で、安倍政権打倒の国民的大運動をよびかけた。その際、志位委員長は、集団的自衛権、暮らしと経済、原発、米軍基地という4つの問題を挙げて、「日本の国を亡ぼし、日本国民を亡ぼす、文字通りの『亡国の政治』ではないでしょうか」と訴え、「安倍政権は、歴代自民党政権のなかでも、戦後最悪の反動政権と言わなければなりません」と糾弾した。
 そのうえで、①「海外で戦争する国」づくりを中止し、憲法9条を生かした平和日本に転換する、②暮らし破壊の「逆立ち」経済を正し、暮らし第一で日本経済を再生する、③原発再稼働をストップし、「原発ゼロの日本」に転換する、④米軍新基地建設をストップし、基地のない平和な沖縄を実現するという「国政の緊急の4つの転換」を提起した。
 すでに明らかにしたように、安倍政権は大企業優先、対米従属、民主主義破壊という3拍子揃った戦後最低・最悪の首相による憲法破壊(壊憲)内閣にほかならない。志位委員長による安倍政権打倒の提起は当然だと言える。
 じつは、「安倍政権打倒」を掲げる行動は、この提起の前から始まっていた。5月 24 日に新宿駅周辺で学生や若者ら約 300 人によって「ファシズム許すな! 安倍政権打倒」を掲げた「怒りのドラムデモ」が行われたことが、「しんぶん赤旗」5月 25 日付の1面で報道されている。その後も、8月2日に代々木公園から出発し、渋谷・原宿で行われた「怒りのブルドーザーデモ」などのように、同様の取り組みがくり返され、秋からも各地で若者たちの行動が計画されているという。
 このような行動の背景には、反原発官邸前行動や沖縄の辺野古での新基地建設に反対する取り組みなどの広がりが存在している。これらの運動を通じて、すでに「デモの復権」は明らかだった。安倍政権打倒の国民的大運動を、このような個々の政治課題での異議申し立ての運動の合流点としなければならない。

集団的自衛権行使容認の閣議決定後の課題

 このような個々の政治課題のなかでも、とりわけ集団的自衛権の行使を阻むためには、通常国会での関連諸法の改定を阻止することが重要である。それ以前に、秋の臨時国会でも審議の場を利用して、可能な限りこの問題を取り上げて追及しなければならない。
 与党の弱い環は公明党である。集団的自衛権の行使容認を全面的に認めているわけではなく、創価学会員など支持者の間には閣議決定に対する戸惑いもある。国会審議を通じて自公の間に楔を打ち込み、少なくとも「限定」の縛りを強めて実際には行使できないようにするべきであろう。
 また、沖縄など各地での議員選挙、10 月には福島県知事選挙、11 月には沖縄県知事選挙があり、来年の4月にはいっせい地方選挙が実施される。これらの選挙で与党を敗北させることも重要な課題となる。選挙での投票を異議申し立ての手段として活用することである。
 さらに、閣議決定の是非を問う裁判闘争を提起し、違憲判決を出させることも有効であろう。すでに、松山市の市民や三重県松阪市の市長などが閣議決定による平和的生存権の侵害を主張し、その違憲確認を求める訴訟の準備を始めている。
 これらの課題と運動で一致できるすべての勢力の合流を図り、国会でも一致点に基づく野党共闘を広げる必要があろう。これらの流れを安倍政権打倒の国民的大運動へと合流させることが今後の最重要の課題となっている。
 安倍政権の打倒とは、安倍首相をその地位から引きずりおろすことであり、最終的には衆院の解散と総選挙の実施を勝ち取ることである。1日も早く安倍政権をやめさせ、国を亡ぼすような政治ではなく、平和と民主主義、暮らしを大切にする新しい政治に切り替えることが求められている。
 「戦中戦後をのり切ってきて、今また、不安な毎日を暮らす」ような社会であってはならない。政治の要諦は、何よりも安心して暮らせる毎日を実現することにあるのだから……。

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