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9月29日(月) 集団的自衛権とは何か たたかい まず知ることから [論攷]

〔下記の論攷は、『しんぶん赤旗』9月28日付に掲載されたものです。〕

 集団的自衛権の行使を認める閣議決定がなされました。これに基づいて法律が変えられようとしています。海外で「戦争する国」になるためです。安倍首相は閣議決定を急いだのに、関連する改正法の提出と審議は来年の統一地方選挙の後だといいます。国民の関心が薄れ、ほとぼりがさめるのを待っているからでしょう。

 本音や狙いは

 集団的自衛権とは何か、それを行使できるようになれば、何がどう変わるのか。このような疑問に、安倍政権は答えようとしていません。本当のことを知られたくないのです。知らそうとしない政権に対するたたかいは、知ることから始まります。その第一歩は集団的自衛権とは何かを学び、広げていくことでしょう。
 そのための武器のひとつで、わかりやすく学べる手軽な一冊が川口創『「立憲主義の破壊」に抗う』(新日本出版社、1000円)です。著者の川口弁護士は、名古屋高裁で違憲判決を勝ち取ったイラク自衛隊派兵差し止め訴訟の弁護団事務局長を務められました。
 本書は、集団的自衛権について、屈強なおとな(日本)がプロレスラー(アメリカ)と一緒になって子どもをボコボコにやっつけるようなものだと喝破するなど、安倍政権の本音や狙いを知るうえで役立ちます。また、自民党が検討している国家安全保障基本法の紹介と分析を行うことで、「自民党が進めている憲法破壊の見取り図」も示していて参考になります。
 もう少し専門的な立場から書かれているのが、伊藤真『やっぱり九条が戦争を止めていた』(毎日新聞社、1250円)です。著者の伊藤弁護士は司法試験をめざす若者を対象とした「伊藤塾」の塾長で、「憲法の伝道師」として知られる憲法の専門家です。
 本書では、集団的自衛権を実際に行使したのは「米英ソ仏というたった四つの軍事大国のみ」、「集団的自衛権の行使を認めるということは、自衛隊員が他国のために戦死することを国民が覚悟すること」などの指摘があり、解釈の変更についても「盗人が刑法の解釈を変更して、空き巣くらいはOKとするようなもの」と批判しています。

 幅広い視野で

 さらに専門的な立場から集団的自衛権にかかわる法的問題などを多面的に検討したのが、奥平康弘・山口二郎編『集団的自衛権の何が問題か―解釈改憲批判』(岩波書店、1900円)です。編者の奥平さんは憲法学者で、山口さんは政治学者です。
 本書には、半田滋、御厨貴、長谷部恭男、柳沢協二、青井未帆などの専門家17人の論攷と丹羽宇一郎前駐中国大使、村上誠一郎自民党議員、北沢俊美元防衛相の3人のインタビューが収録されています。多彩な顔触れによって幅広い視野から多様な論点が網羅されており、この問題を深く考えたいという人にお薦めです。
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