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10月8日(水) ストップ! 集団的自衛権行使 たたかいの展望(その1) [論攷]

〔以下の論攷は、『憲法運動』9月号、通巻434号、に掲載されたものです。6回に分けて、アップします。〕

 ご紹介いただきました五十嵐でございます。この3月に法政大学を退職しましたが、講演などで忙しい毎日です。平日にレジメを作って週末に講演をするという。これもみんな安倍さんのおかげです。
 その安倍さんは大暴走をしています。この人は右にしかハンドルが切れない。そんな人がスピードアップして暴走を続ける。危険ドラッグを吸いながら運転しているのではないかとの危惧を持たざる得ないほどの暴走ぶりです。
 大企業優先、対米従属、民主主義破壊という、3拍子そろった戦後最低・最悪の首相です。 最低・最悪の首相による憲法破壊、集団的自衛権行使容認という、平和国家としてのあり方の大転換がすでに始まっているわけですが、それをどう阻むのか。我々には何ができるのかを、今日はみなさんと一緒に考えてみたいと思っています。

Ⅰ 集団的自衛行使容認による憲法9条の空洞化

(1) 安倍首相はなぜ行使容認をめざすのか

 すでに、集団的自衛権行使容認については、学習したり、話をされていると思います。一言で言ってどういうことか。これは日本を海外で「戦争する国」にする、これまでより戦争しやすい国に変えてゆくということです。
 これまでであれば、日本が攻撃されなければ反撃できなかった。集団的自衛権を行使できれば日本と「密接な関連にある他国」が攻撃されれば、日本が攻撃されていなくても反撃することができる。今までよりも戦争に加わっていく、あるいは戦争に引きずり込まれていく危険性が増大することになります。戦争についての敷居が低くなることは明らかであり、国民が不安に思うのは当然のことです。
 なぜそれを目指すのか。日米同盟を米英同盟のような強固な攻守同盟に変えたいということだろうと思います。そして、戦前のような列強の一員として、大国としての威信を回復 し、やがては国連のあり方を変えて、当面は安保理の非常任理事国、ゆくゆくは常任理事国になるという野望を抱いているのではないだろうかと思います。
 よく安倍首相は、お祖父さんである岸信介のDNAを受け継いでいるといわれています。話としては面白いかもしれませんが、実際にはかなり現実的な目標を胸に抱いており、そのためにアメリカと対等な形で同盟を強化することをめざしています。「軍事同盟は血の同盟である」と言っているわけですから、日本も血を流すという日米関係、日米同盟を双務的なものに変えていく。そうすることで、日本の国際的な地位を高めたいと考えているのではないでしょうか。
 とりわけ、安倍さんの個人的体験でいえば、湾岸戦争やイラク戦争のトラウマ、悔しい思いがかなり深く影響しているように思います。湾岸戦争の時、戦争が終わって、戦後クウエートが出した感謝の新聞記事の中には日本の名前がなかった。イラク戦争の時には、アーミテージ米国務副長官に、「お金だけではなく実際の部隊を送れ」、「ブーツ・オン・ザ・グラウンド」とねじ込まれた。これに抗しきれずに、イラクのサマーワに陸上自衛隊を派遣する。バグダット空港に航空自衛隊を派遣する。この航空自衛隊の派遣については憲法違反であるという判決がその後、名古屋高裁で出されましたが、このようなことを繰り返したくないというのが、第一次安倍内閣以来の安倍首相の思いではなかったかということです。
 また、国際的な外交・安全保障面においても、「戦後レジームからの脱却」を図るという、戦後の国際秩序をひっくり返すという狙いが、ここには込められています。しかし、これについてはアメリカが心配している点でもあります。集団的自衛権行使容認は以前からアメリカが日本政府に促してきたわけですから、これを実現することについては歓迎する。けれども、それを戦後国際秩序の「ちゃぶ台返し」をひそかに狙っているような、あるいはその危険性があるような安倍首相にやらせてよいのかという心配がある。この点がアメリカ の懸念材料の一つといっていいのではないかと思います。

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