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11月11日(火) にわかに吹き始めた解散・総選挙の風 [解散・総選挙]

 会津若松の近郊にある「大江戸温泉物語あいづ」の一室で朝7時のNHKニュースを見ていたら、「解散・総選挙」という言葉が耳に飛び込んできました。「本当にやるつもりなのか」というのが、率直な感想です。
 すでに、『週刊文春』などが12月14日投票説を流していましたから、驚きはしませんでした。それをNHKが朝7時のニュースの冒頭で報じたために、俄然、現実性が高まってきたというわけです。

 このニュースを会津の温泉で聞いたのは、新潟から会津若松まで只見線で旅をしていたからです。9日に魚沼市で9条の会の講演があり、その日は浦佐に泊まって、翌日、そこから小出経由で只見線に乗車し、只見からは代行バスで会津川口へ、そして再び列車に乗り換えて会津若松までという行程です。
 只見線は3年前の大水害で2つの鉄橋が破損し、今も只見と会津川口の間は不通になっています。その間は代行バスが走っていますが、2時間以上も待ち時間がありました。
 只見での待ち時間にレンタサイクルを借りて只見湖までサイクリングしましたが、周りは秋色に染まっていました。只見線の沿線も会津からの帰り道の高速バスの沿線も紅葉真っ盛りで、それは綺麗なものでした。

 その紅葉見物の旅も、にわかに生じた「解散・総選挙」の風によっていささか生臭いものになってしまいました。安倍さんは、勝負に出ようというのかもしれません。
 消費税を10%に引き上げる再増税の判断に絡んで、年内に衆院解散・総選挙に踏み切って是非を問うことを選択肢にして検討に入ったと伝えられているからです。NHKがこう報じた意味は大きいと思います。
 政府関係者によれば、今国会会期中に解散し「12月2日公示―14日投開票」か「12月9日公示―21日投開票」とする案が浮上しているそうです。公明党の山口那津男代表も、年内の衆院選に対応する態勢を取ると表明しています。

 現在、自民党は衆院で300近い議席を持っています。これは望むことのできる最上の結果でしたから、今度総選挙をすれば議席を減らすことは確実でしょう。
 それなのに、なぜ、安倍首相は解散・総選挙を口にしたのでしょうか。二つのマイナスと一つのプラスを勘案して、そうするのが得策だと思い至ったのかもしれません。
 二つのマイナスというのは、「政治とカネ」をめぐる不祥事の続発とアベノミクスの前途に対する不安です。一つのプラスというのは、APECの機会に中国・韓国の両首脳との会談を演出できたことです。

 「政治とカネ」の問題で2人の女性閣僚が辞任しただけなく、その後も似たような問題が続発し、安倍政権の体力が低下し続けています。内閣支持率は40%を超えているとはいえ低下傾向を示しており、もっと低くなる前に選挙をやりたいという考えなのかもしれません。
 アベノミクスについても、黒田日銀総裁が長期国債買い入れ額を年間30兆円増額して80兆円にすると発表したために株価が急騰しましたが、その効果がいつまで続くか分かりません。株高に国民が幻惑されているうちに、その支持をかすめ取ってしまおうと考えたとしても不思議ではないでしょう。
 これに加えて、中国の習近平主席や韓国のパク・クネ大統領と言葉を交わすことができ、外交上の懸案解決への見通しが出てきたかのように取り繕うことができました。解散・総選挙の話が、これらの会談の直後にNHKによって報道されたのは偶然ではないように思われます。

 こうして、安倍首相は賭けに出ようとしています。この先、安倍政権をめぐる環境が好転する材料が乏しいからです。
 とりわけ、消費税の再増税をめぐる判断では、頭を悩ましてきたにちがいありません。今のような経済状態の下で消費税を上げたくないけれど、上げなければ三党合意を無視したことになって責任を問われ、上げれば景気はさらに悪くなって日本経済が破たんする可能性が高まります。
 こうして、進むもならず退くもならない「袋小路」に入り込んでしまいました。窮した安倍首相は、壁をぶち破って「出口」を作ろうとしているのではないでしょうか。

 それが、消費税の再増税を先延ばしし、経済対策などで国民の不満をなだめたうえでの解散・総選挙の実施という「奇策」の意味です。消費税再増税についての国民の意思を問うということであれば、総選挙の大義名分も立つということなのでしょう。
 しかし、壁を打ち破って「出口」が作れるかどうかは、ぶつかってみなければ分かりません。意外に厚くて、はじき返されてしまうかもしれません。
 安倍首相が実際にこのような賭けに出るかどうかは、今のところ不確実です。しかし、直近の経済指標が明らかになる11月17日頃には、それも明確になるでしょう。

 安倍政権打倒を主張していた私からすれば、これは願ってもないチャンスです。解散・総選挙に追い込み、選挙で敗北させて安倍首相の再選を阻止することをめざさなければなりません。
 安倍首相自身の思惑がどうであれ、この機会を生かして安倍政権打倒を実現することに全力を傾けるべきです。衆院で圧倒的多数の議席を持っているにもかかわらず解散を口にせざるを得なくなったということは、安倍政権が行き詰まっていることの明白な表れです。
 私は10月21日付のブログ「『大目玉』を食らって辞任に追い込まれた『目玉』閣僚」で、「水に落ちた安倍は打て」と書きました。今の安倍首相は自ら「水に落ちた」ことを認め、這い上がれる岸を探しているようなものです。

 安倍首相を取り巻く「袋小路」の壁をさらに厚くし、「出口」などできないようにしなければなりません。岸から這い上がれないようにし、さらなる深みに追い込んで追撃を加える必要があります。
 このような状況であればこそ、再び言いたいと思います。「水に落ちた安倍は打て」と……。

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