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11月19日(水) 総選挙の争点は安倍首相の存在そのものだ [解散・総選挙]

 安倍晋三首相は昨夜、首相官邸で記者会見し、来年10月に予定していた消費税率10%への引き上げを2017年4月に1年半先送りすること、衆院を21日に解散して総選挙を断行することを表明しました。首相は消費増税の先送りについて国民に信を問うという名分を掲げ、選挙は「12月2日公示、14日投開票」の日程で行われる見通しです。

 師走の忙しい時なのに、突然の解散・総選挙となりました。国民や野党だけでなく、与党の一部からも「なぜ、いま解散・総選挙なのか」という声が出ています。
 それもそうでしょう。いまの与党は衆院の3分の2を上回る巨大な勢力を持っていますし、議員の任期はまだ半分も残っています。
 消費増税の先送りについても、民主党などの野党は受け入れています。それを実行したければ消費増税法の付則18条に基づいて増税を凍結し、そのための改正をすれば済む話でした。

 それなのになぜ、議席が減るリスクを冒してまで解散・総選挙をしなければならないのか。選挙を実施すれば700億円もの多額の費用がかかるというのに……。
 今日の『毎日新聞』では、自民党のベテラン議員が「安倍晋三の安倍晋三による安倍晋三のための選挙」だと嘆いていると報じられていました。この記事を書いた末次省三政治部長は「与党の一部から『私利私欲解散』『ご都合主義解散』といった批判が出るのはもっともだ」と書いています。
 「政治とカネ」の疑惑によって窮地に立ち、集団的自衛権の行使容認の法制化や原発再稼働という難題を抱え、消費増税とアベノミクスの失敗による不況が深刻化すれば内閣支持率の急落は避けられず、野党の選挙準備も整っていない今のうちに解散・総選挙をやって政権基盤を安定させようと考えたのでしょう。政権戦略を最優先にした自分勝手な解散ですから、与党の中からさえ不満の声が出るのは当然だと言えます。

 この選挙では、首相の経済政策「アベノミクス」継続の是非が最大の争点となるとされています。果たして、そうでしょうか。
 もちろん、すでに破たんが明確になっている「アホノミス」をこれからも続けさせるかどうかは大きな争点ですが、それだけに限られるわけではありません。消費税の増税と再増税、秘密保護法の制定と施行、集団的自衛権の行使容認、原発の再稼動、TPP交渉の推進、社会保障の切り下げと負担増、労働の規制緩和と派遣労働の拡大など、安倍首相が実施してきた、あるいは実施しようとしている重要政策の全てが争点となり、国民の審判を受けることになります。
 安倍首相がこれまでやってきたこと、これからやろうとしていること――その全てを許すのかどうか、安倍首相の続投を認めるのかどうかが、今回の解散・総選挙の真の争点にほかなりません。その意味では、個々の政策の是非が問われるというよりも、安倍首相の政治全体に対する審判こそが総選挙の最大の争点であるというべきでしょう。

 安倍首相は今年2月、集団的自衛権についての憲法解釈の変更をめぐって「審判を受けるのは法制局長官ではなく私です」と居直りました。この「審判」の場が、これから訪れようとしています。
 総選挙での投票に当たって選択の基準はただ一つ。安倍首相を喜ばすような結果にはしない――これだけです。

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